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趣味の、長期ゆるゆるインタビュー企画です。 


by moriko_2011

【会社の先輩・Wさん】【1年目】 未体験ゾーン「妊娠」について聞いてみる(3/3)

W:人間ってめんどうくさいって思った。そういえば

森:笑。なんですかそれ。

W:母乳育児がいいからおっぱいのマッサージしましょうとかさ、妊娠線ができるからクリーム塗りましょうとかさ、動物だったらそんなこと気にしないのにね!って思って。

森:たしかに(笑)いろいろとママになるための準備が。

W:ちゃんとやってないけど。

森:自然体で。

W:なるようになるでしょうって。なんだろうね、本当にこの現実感のなさは。

森:いよいよなのに。

W:うん。いよいよなのにね。カウントダウン。

森:(10ヶ月間)徐々に育ってきたじゃないですか。違和感増しません?

W:違和感はまあ、

森:そんなに(ない)?

W:ある。

森:あ、あります?

W:だって動くんだもん。

森:自分と別の意思が居るって。

W:あと、エイリアンっぽいイメージが浮かぶときもある。

森:私、弟の子ども見たときに、クリーチャー!って思いましたよ。かわいいとかじゃなくて。なんだこの生き物はって。

W:根本的に子ども好きの人とそうじゃない人が、

森:あ、そうなんですかね(苦笑)

W:森さん、子ども好き?

森:あんまり。どっちかっていうと苦手です。かわいいなとは思うんですけど、それなりに。

W:子ども好きの人って無条件で子どもというものが好き。あれは自分にはないなって。
でも、きっとほら、(子どもと)一緒にね、成長するっていうから。

森:そうか、私は子どもが好きじゃないのか。(だからクリーチャーとか思うのか。すごく納得!)

W:私、昔友達に「Wさんも犬飼えば母性が芽生えるかもよ」って言われて、そういうもんなのか、犬でいいのかって思った。

森:母性かー。いい年だから大人になんなきゃなとは思うんですけどね。いや、まだちょっと待ってよ無理だってばーって思うんですよね。

W:母性ねえ(笑)

森:育ってきたー!って感じあります?

W:ああ、「力、強いね。あなた」って思う(笑)

森:笑。そんなパワフルな感じなんですか。

W:あの、ピョン吉みたいな感じ。

森:ええ!おなかん中ですか。どんな感じなんだろうそれって。ピョーンピョーンって。

W:エイリアン(笑)。こういうのも全部聞いてるでしょうね、と思う。

森:そうですよね。「エイリアンじゃねーよ、お前の子だよ」って言ってるかもしんないですよね。

W:でもまだ会ったことないしー

森:まだ見ぬあなた(笑)。結婚適齢期も出産適齢期も仕事がようやく板についてきたぞってときじゃないですか。それ、すごいイヤだなーって思ってて。

W:女の人ってやっぱり、

森:損!と思いながら。子どもが産まれたら、そういう視点でしか見れないものが見れるしって、それはそうなんだろうけどさーって。

W:それが全部プラスかって言ったら、

森:ねえ。(仕事も子どもも)どっちも(100%)は選べんのよなーと思いながら、Wさんとかはどんな心境なんだろうなーって。

W:あんまり、ものを考えてないかも(笑)。ぽかーんとしてる感じ。

森:そっかーって感じですか。でもWさんはちゃんとあるがままを受け入れる感じがする。産休後はいつ仕事復帰するんですっけ?

W:2013年の4月。

森:わー!そうか。そのころにはややごはもう1歳…

W:1歳3ヶ月とか。で、保育園に行っていただいて。一人で。

森:一人で(笑)。歩けないですよ、まだ。

W:歩けるでしょ、やる気出せば(笑)

森:だいぶやる気ですよ、それ(笑)

W:行ってこい!って。

森:道覚えただろって。だいぶ早熟な感じですね。

W:あんまり早熟なのも困るよね。そのあと育たないからね。

森:笑。でも仕事を休むのはちょっとこわそうって思います。戻るときが。

W:うん。ついていけないと思う。やっぱり。

森:お母さんやりながら働くとかすごいですよね。

W:すごいよね。うちの会社もそんないっぱいはいないよね。でも森さんもいつかなるんだよ、きっと。

森:子どもを産むならフリーランスがいいって思うんです。フリーだったら、自分のできる範囲で仕事をやるしかないじゃないですか。でも会社にいたら絶対もどかしくなりそう。いろんなチャンスが周りに転がってて、こういうのもできるのにああいうのもできるのに、でも(そこまで仕事に注力できないから)こんなもんでってのが増しそう。Wさんはうまいことバランスとっていかれそうですけど。

W:サラリーマン、今の世の中ではそんな安定してないかもしれないけど、でもサラリーってすごいよね。

森:すごいですよね。会社にいるってだけで、固定給とチャンスがもらえるってのはすごいなと思いますね。

W:ね。がんばるがんばらないはその人しだい。

森:すごいですよね。これは入ったもん勝ちなのかって思いましたもん。入社して。ね、不思議ですよね、会社。

W:不思議だよね。でも、まあ、ここまで十何年も(この会社で)働いてきたからまあこうなったら続けたほうが(いいかなって)。

森:うーん。

W:フリーランスでちゃんと仕事ができる自信もないし、(子どもが)出てきてどうなるか想像つかない。

森:ちゃんと計画立ててる人ってすごいなと思います。自分のキャリアも、子どももこうでって。自分の人生設計のできてなさよ…って思いますもん。

W:なんとかなるもんよ。

森:なんとかなりますかね。なんとかなるといいなー

W:なんとかっていうか時間はやっぱ過ぎるのでって。

森:そうですね。

W:なんもしなくても過ぎるもんね。

森:年だけはとっちゃいますもんね。仕事をしていて、衰えるのはいやだなーとすごく思います。

W:すごく(笑)

森:年を重ねて、見えないものが見えてくるってのもあるんでしょうけど、今見えているものが見えなくもなるのよねって思いながら。

W:でも私、年々どんどん何にも考えなくなってきている気がする(笑)

森:笑。自由な感じに。

W:阿呆な感じに。

森:笑。そんな。私、昔はわりと自分の直感は信じれたんですけど、こうと思ったら絶対こっちで合ってる!みたいな。自信過剰だったのかな(笑)。最近それがすごくぐらぐらしてきて、なんだこれは!って思いながら(過ごしてます)。まあ、でも選択した方をよくしていくしかないわな、選んじゃったんだし!って感じです。これがおとなになるってことなのかどうなのか、と思いながら。この妥協のし具合よ…って。

W:選ぶこともあんまりないかも。

森:今回の妊娠&出産は、選んだってわけじゃないかもしれないですけど、

W:まあ、人生が動くという感じでは(ある)。それはそう。びっくりですよ。

森:びっくりですか。

W:正直びっくりですね。不思議。この現実感のなさはなんかよくない気はするけど、しょうがないよね。産むときになったら一瞬実感がわくんだろうな、痛いから。

森:痛いですよね。だって人が一人でてくるんですもんね、あんなとこから。

W:すごいよね、産めるようにできてんだもんね、たぶん。

森:そう思うと鶏とかすごいですね。毎日。

W:(鶏の卵は)やわらかいのかなやっぱり。

森:痛かったりはしないのかな。

W:楽ではなさそうだよね、あれも。

森:うん。だってあの大きさですよ、あの身体で。

W:こんなに現実味がうすくていいのかしら。

森:まあでも出てきちゃうときは出てきちゃいますからね。

W:旦那にはこんなに現実味がないって言ったことないわ、そういえば。

森:笑。旦那ちゃんのが粛々と心構えができている?

W:うん。そんな気がする。「もう心の準備できてる?」って言ったら「全然できてる」って言うから。でもそう見えるだけかな。お互いに。

森:かもしれないですよ。旦那ちゃんからみたら「おお、母になっとる」って。

W:思われてるかもね。ビジュアル的に母っぽくなっちゃうしね、どうしても。

インタビューの前日に、出産のときにどう過ごしたいか(音楽を聞きたいとかビデオを撮りたいとか)を書く「バースプラン」を病院に提出したというWさん。「出てくる人(赤ちゃん)に負担のかからない方向で」とだけ書いたと聞いて、Wさんらしいなと思いながら、少々「母」を感じました。
その後しばらくして、無事に元気な男の子が生まれたWさん。次回はすっかり「母」になっているのでしょうか。そして、現実感のなさはお互いにどうなっているのか。お話できるのを楽しみにしています!
# by moriko_2011 | 2012-07-23 21:33 | 04_会社の先輩・Wさん

【会社の先輩・Wさん】【1年目】 未体験ゾーン「妊娠」について聞いてみる(2/3)

森:子どもにこんな習い事させようとかあります?

W:英語ぐらいはしゃべれる人間になってほしいけど。あとはなんだろうね、剣道とか空手とか。

森:おお、しぶいですね。旦那ちゃんはなんかスポーツやってたんですか?

W:スキー部キャプテン。一番下手だったって言ってた。

森:人徳(でキャプテン)(笑)

W:あと、野球もやってたって言ってた。その片鱗はあんまり感じられないけど。

森:Wさんもなにかやってたんですか?

W:習い事はピアノぐらいしかやってない。

森:部活とかは?

W:小学校のときは、あれですよ。紙工作部。

森:ほう!そんな部活が。

W:で、中学入って英会話部に一回入って辞めて、そっからずっと中高と写真部。

森:今も写真撮ったりしてるんですか。

W:だいぶさぼってる。

森:笑。

W:一人暮らししてるときはちゃんと暗室もつくってて。会社入ったあと、24~25歳のときは写真やってたけど、いつのまにか日々の生活に追われ、甘え、

森:なりますよねー…

W:果たして私は何が撮りたかったのかしら?みたいな。そもそも人に伝えたいことなんてないしなって思って。写真にしろ音楽にしろなんにせよ、伝えたいことがないと続かないような気がして。

森:そうですね、たしかに。

W:(人に伝えたいこととか)ない!って。

森:いつぐらいですか、それって。

W:いつぐらいだろう。森さんぐらいの年かな。

森:笑。まさに今。なんか節目だなって思いますね。自分の今の年齢って。(自主制作を)つくり続けるかどうか。会社に属していれば、わりと自動的に、仕事は仕事でそれなりにカタチになっていくし。

W:生活もわりと安定しているし。

森:そこそこの生活が送れるしっていう。私も(チームじゃなくて)ひとりだったらたぶん辞めてるだろうなって思います。

W:24歳ぐらいに写真の専門学校に通ったりして、じゃあ何がしたいの?って思ったら、ん?ってなって。

森:それまではどんなもの撮ってたんですか?

W:なんだろうね。それもすごいあいまいだった気がする。これっていうのがあんまりなかったような気がするわ。

森:街を歩いてて気になったものとか。

W:とかそういうのもあったし、木とか。

森:なんかいいなと思ったものを撮る。

W:全部「内」に向かう感じでしょ。そういうのって。

森:でも、写真って、その人がどういう風に世界を切り取っているかだなと思っていて、言ったらトリミングじゃないですか。どこを見ているかとか。写真を撮る続けるにあたって、これっていうはっきりとした芯があったほうがいいのかもしれないですけど、自ずと(その人というものが)あるんじゃないかなという気がします。

W:撮ったのを、だれかに見せたいとかどっかで発表したいとかそういう欲求は全然なかったので。あれば違ったのかもしれないけど。

森:ああ。

W:伝えたいこともなんかないなと思ったら、技術を磨く分には楽しいんだけど、そっから先に進まないもどかしさがあって、たぶん、あんまりやらなくなっちゃったような気がします!

森:写真を撮って、世界を切り取った時点で、それを共有したいことなんじゃないかなって気がしていて…でも人によるのかな。私の友達も作品を発表していこうとかそういう気があんまりないって言ってて。私はわりと自己顕示欲が強いのか、まあたぶんそうなんだと思いますけど、おもしろいものとかがあったら、みてみておもしろいでしょー!って感じで作品をつくって勝手に発表したりしてるんですよ。

W:うちの旦那ちゃんもバンドをやってて、つくることよりライブが好きみたい。だから全然違うなーと思って。何を伝えたいのとか聞いたことないけど。ないかもしれないし(笑)

森:うーん。(つくったら誰かに見せたいと思うか思わないかは人ぞれぞれなのかなー)

W:(赤ちゃんが)出てきたら、その人の写真を撮ってあげようとは思ってる。ビデオカメラも買ったし。

森:いっぱい写真が撮れそうですね。
…話は変って、子どもができたら仕事(の仕方とかが)変るわーとか思いました?

W:あんまり。昇進させてもらったばかりなのに悪いなーとは思ったけど。まあ、(出産後も)働かなきゃいけないし。仕事辞めたくないし。(産休中で)仕事してないのがときどきやっぱり不安にはなる。

森:うーん。

W:けど、ま、そんな人命にかかわるような大きな仕事じゃないしなって思ったり。

森:でもWさん抜けたのは痛手って言ってますよ、部署のみんな。

W:あら、ありがたいわ。でもちゃんと産休をとって休める会社でよかったなって思う。

森:ああ、産休の制度はあっても(出産するなら)辞めなきゃいけないみたいな雰囲気のところもありますもんね。

W:たぶんいまだにね、いっぱいあるんだろうな。そういうとこは。森さんもいつかはお母さんになるのかな。なるんだろうな。

森:いやー想像つかないですよ、本当にまあ。

W:想像つかないよね。

森:つかないです。結婚も想像つかないですもん、私。無理無理!っていう。
  現実逃避してるだけかもしれないですけど。

W:うん、私もやっぱり(妊娠&出産の)現実感がうすい!いまだに(笑)

森:もはや出てこようとしているのに(笑)

W:たぶん出てきて顔見ても「これ私の子?」って思いそうな気がすごいする。

森:どっきり?って。子どもができるといろいろ変るよっていうけど、どうなんだろう実際?って思います。

W:今んとこはそんなに。

森:「守らなきゃいけないものができる」みたいなことを(思ったりすると誰かが言っていた)。

W:ああ、1回思った。1回って(笑)

森:10ヶ月の間で1回(笑)

W:そう。1回は思った。いつだったかな?普通にスーパー行く道で「ああ、今守れんのは私しかいなんだな」って1回思った。

森:「この子を(守れるのは私しかいない)」って。

W:そんとき1回思った。ね、なんか預かりものな感じが。

森:「自分の子ども」っていうよりは「預かりもの」。

W:「自分の子ども」って感じがあんまり(笑)

森:なんかどこかからやってきたって感じ。

W:なんか人ごと。楽だったからかね。つわりとかがあんまりなくて。みなさんどう思われてるんですかね。
旦那の友達とか自分の友達とかで子どもが居る子はみんな頼もしいというかたくましいというか、ちゃんとお母さんをやっててすごいなって。自分もちゃんとお母さんになるのかな?って(思う)。

森:なるんですかね、やっぱり(赤ちゃんが)出てきたら。

W:ね、なんかやっぱでも現実感がうすい。

森:私も最近本当に現実感がうすいんですよね。すべてに関して。

W:うすいの?

森:地震のあと、転職活動してていろいろあったときも、あ、そっかって感じで。

W:なんかどっか人ごとのような。

森:すごい悩んで、いろいろ自分で考えて決定しているはずなのに、どこかひとごと。まあなんとかなるだろうって。なんでしょうね、これは。

W:なんでしょうね。でも悩んだりしたんでしょう?

森:悩みましたよ。でもどこかでこう…

W:冷めてるというか。

森:冷めてる自分が。「お前がそんなに悩んでも大したことじゃねーんだよ」って(笑)

W:って言う(もう一人の)人が(自分のなかに)居た?

森:って言う人がこの辺に(笑)。そうですよねって思いました。

W:(子どもが)出てきたら人ごとに見るときがありそう。本物かなって(笑)。
…昨日転んだときは痛かった。現実味あるね、痛いって、って思った。血出たし。本当、こんなんで大丈夫かな。

森:出産の現実感のなさですか?みんな現実感あるんですかね。

W:どうなんだろうね。

森:昔の人とかって(今より)もっと早くに結婚して早くに子ども産んでるじゃないですか。

W:それも現実感なさそうだよね。

森:なさそうですよね。あるんですかね。「え?まじまじ?なんか嫁に行って子ども産むとかなってんだけど!」ってなんないんですかね。

W:まあ、でも時間は勝手に過ぎるからね。

森:ふむ。

現実感のなさについて語りながら、スーパーに行く道すがらWさんが思ったそ心境(「母性」?)はいったいどんな感じなんだろうなと思いました。と、このあたりでその3へ続きます。
# by moriko_2011 | 2012-07-22 08:46 | 04_会社の先輩・Wさん

【会社の先輩・Wさん】【1年目】未体験ゾーン「妊娠」について聞いてみる(1/3)

Wさんという、会社の先輩(30代女性)がいます。仕事の能力の高さも、仕事に対する姿勢も、自分のペースをくずさないところも、ちょっと毒舌なところもとても好きで、配属されて同じグループになったときに、この人を目標にしようと思った人です。Wさんは一番近い先輩ではあるものの、私は9年ぶりの新入社員だったので、キャリアからするとなかなかおこがましい話ですが(笑)。

そんなWさんとは、しばらくしてグループが分かれてしまい、一緒に仕事する機会がほとんどなくなってしまって残念やなー…などと思っているうちに、おめでたいことですがWさんが妊娠。予定日2ヶ月前ぐらいから産休に入られました。いよいよ出産間近という時期に、BGMにやたらに昭和歌謡がかかる田町のお店でゆるゆるお話を聞かせてもらいました。


W:明日(11月下旬の某日)から年内に赤ちゃんが出てくる予定。

森:えー!いよいよですね。

W:そう、なんかちょっとドキドキしちゃうわ、とか思ってたら、昨日こけたんだけどね。

森:大丈夫ですか!危ない。

W:膝と手をついたから大丈夫。ひさしぶりに膝から流血。

森:笑。(赤ちゃんは)活発に動いてます?

W:うん。でも、なんか前よりちょっとおとなしくなってきた。

森:出る準備してるんですかね。

W:そうそうそう。おっかない(笑)

森:時が来たって感じですかね。今って何ヶ月目ですか?

W:もう10ヶ月目に入る。臨月ってやつ。

森:わーどうでした?10ヶ月間?

W:早かった。

森:いつのまにやらって感じですか?

W:いまだにときどき、これ嘘かな?って思うもん。

森:笑。どっきり?

W:なんか騙されてる?って(笑)

森:でも、(妊娠は)計画的にですもんね?

W:いや、サプライズ。

森:え!そうなんですか。サプライズ。

W:うん。

森:妊娠が分かったときどうでした?

W:どっきりかな?って思った(笑)。まさか!って。

森:世間のみなさんはやっぱり「よし、つくるぞ」って(子どもを)つくるもんなんですかね。

W:そうみたい。「狙わずできるなんて」って言われた。

森:そうなんですね。今までつくろうみたいなのはなかったんですか。

W:あんまり。まあ、そろそろかなあみたいな感じにはなってたけど、でもまあできないかなって(思ってて)。びっくり。

森:できるときはできるんだって感じですね。産休生活は今2ヶ月ぐらいですか?そんなに経ってないか。1ヶ月?

W:産休は…でももうじき2ヶ月ぐらいになるのかな。

森:(産休生活は)飽きました?

W:すぐ慣れる。楽だわーって。

森:会社いかなくていいわーって。

W:幸せだわーって。意外と暇も楽しい。飽きない。

森:毎日どんな感じです?

W:朝はちゃんと起きて、朝ご飯と旦那の弁当作って、送り出して、あとは俺の時間!って。寝るとか。

森:(私は)朝、起きなくなりそうです。会社に行かなくなったら。

W:いちおう1回は起きる。

森:うん。

W:ちゃんと朝ご飯は食べて、寝る。

森:食べ物の趣味は変らなかったですか?

W:スイカはすごい食べた。

森:笑。言ってましたね、そういえば。

W:あと最近甘いものもすごい食べる。

森:あれですかね、最後の蓄えに入ってるんですかね。

W:(おなかのなかの)こやつが。

森:俺にエネルギーを!って言ってるんですかね。(妊娠して)体質は変りました?

W:朝、目覚めがよくなった(笑)。なんでだろ。

森:(おなかの)赤ちゃんも朝起きるとかあるんですか?

W:赤ちゃんは夜のほうがよく動いてる。夜型。

森:夜に大暴れ(笑)。でも、自分のなかに人がいるって不思議じゃないですか?

W:他人が、

森:他人(笑)

W:入ってると思うと、

森:どっきり?って。

W:だってね、(自分の)分身とはあんまり思えなくて。

森:うんうん。

W:別の人。

森:別の人がいる。しかも別の人、自分のなかで育ってますもんね。

W:性別も違う訳ですし。不思議。

森:(妊娠中は)ずっと不思議な感じですか?

W:うん。誰?って。

森:笑。あなた誰?って。

W:ね。何考えてるかわかんないし。

森:(おなかの中の赤ちゃんと)コミュニケーションできたりするんですか?

W:なんかできてると思えばできてる気がするけど、たぶんできてない。

森:胎教とかしました?

W:(まっさかー!という顔)一回くらいモーツアルト聴いてみたぐらい。でも、そんな趣味じゃないかもと思って、マイケルジャクソンとか聴いてる。

森:マイコー(笑)。名前とか決めたんですか?

W:まだ、決まんないんだよー

森:候補はあるんですか?

W:候補はあるんだけど。最初にリンゴくんがいいって思ったけど、それは猛烈な反対にあって。

森:笑。リンゴくん!

W:うちの母が、「そんなひと山いくらみたいな名前やめなさい!」って。

森:笑。

W:うん、たしかにって(思ってやめた)。

森:(リンゴくんは)赤ら顔であってほしい。

W:たぶん12歳まではその名前でかわいいと思うんだけど。おっさんになったときはきついなって思って。

森:本当だ(笑)。リンゴ部長!とか言って。

W:きついよね?

森:けっこうきついですね。

W:いろいろ候補は出てるけど結局決まんない。
  森さん、自分に子どもできたらこの名前!とか考えたことある?

森:ないです。

W:ないです(笑)

森:あります?Wさん。

W:ない(笑)

森:笑。子どもはこういう風に育てたいとかあります?

W:そこはあんまりイメージが…幸せになってくれればいいな、ぐらい。

森:子どもの人生プランをすごい考えてる人っているじゃないですか。

W:とりあえず大学行くぐらいまではなんとかしようかって言ってるぐらい。あとはご自由にって。保険とかどうしようって思うけど。まあ現実的な話!って。

森:いろいろありますよね。教育ローンとかも。人生のステップをのぼっていく感じですよね。妊娠&出産。

W:なんか、ね。自分にもそんなことが起きるんだって思ったよ。

森:まじか!ってなります?

W:結婚するときも思ったけど。

森:笑。そうなんですか。これが婚姻届というやつか、みたいな感じですか。

W:現実感、薄いな、と思いながら(笑)

森:そんなもんなんですかね。

W:どうなんだろ。

森:どうなんでしょうね。旦那ちゃんは、子どもができて変りました?

W:…忍耐強くなってった(かな)?

森:でも、もともとやさしそうな。

W:うん、やさしい。今日も「ごゆっくり」ってメールくれた。

森:旦那ちゃん(笑)

W:今日はこっそり飲んでそうだけど。

森:笑。

W:たぶん、私がやっぱりちょっといらいらすることが多かったりしたので。

森:Wさんがですか?

W:きー!(って)

森:へー!めったに怒らなさそうなのに、Wさん。

W:やっぱりなんかホルモンの関係ですかね。よくまあ辛抱してくれてるなあと思ったり。

森:そういうのって(いらいらする)時期とかあるんですか?

W:(妊娠中より)産後のほうがひどいらしい。こわっ。

森:そうなのか。ホルモンおっかないですね。

W:でも旦那はそんなに変んないかも。

森:Wさんは妊娠して何が一番変りました?

W:…なんだろう?

森:特には(ない)って感じですか。

W:いらいらするようになったのは確かだけど、今はもう落ち着いた感じがする。一時期はすごい(いらいらしてたけど)。

森:男の人ってどんな感じなんですかね。自分の子どもができるって。女の人とはまた違いますよね。

W:そう、実感ないもんね。

森:ですよね。え?いるの?って感じですよね。

W:それこそどっきり。

森:笑。(赤ちゃんが)出てきたらもっとどっきりですね。

W:どっきりだよ、もう。

森:出たー!って。(出産には)立ち会うんですっけ、旦那ちゃん。

W:そう、いまんとこ結局立ち会うことになってます。(頭のほうを指して)こっち側でね(笑)

森:笑。

W:(出産は)どんなんなんだろうね。おっかない。

森:(おなかのなかの赤ちゃんの)意思を感じるときとかあります?

W:…なんか勝手に動いてんなーとは思う(笑)
  頭が下でよくこの人は血がのぼんないなーとかも思う。

森:笑。

W:あと、自分の親がよく3人も産んでくれたなーと思う。
  きっとこれからのが大変なんでしょうけどね、生まれてからのほうが。

森:なんかその先の長さを考えると、子どもを産むっておっかないってすごい思うんですよね。

W:子ども産んだ人って、なんかたくましい顔になるというか、なんか変る気がしていて。姉とか友達とか見てても。自分もああなるのかなと。なんか腹が据わっているというか。

森:母は強しってなりますかね。

W:なんか「母」って独特のふてぶてしさがあるよね。

森:たしかに。なんですかね、あれは。

W:やっぱり「娘」ではないよね。

森:そうですね。「母」ですよね。Wさんも「母」になるのかー

W:ね。もはやもう図太くなってんのかなーと思う。


ひさびさに会うWさんは、見た目はいよいよ「妊婦さん」になっていましたが、中身は変らずそのままでした。WさんはWさんのままで変ってないですよーと思ったところで、その2へと続きます。妊娠は当事者になってみても不思議な感じなんだなぁ。
# by moriko_2011 | 2012-07-21 23:33 | 04_会社の先輩・Wさん

【大学の友人で画家・池口友理】【1年目】 イケグチワールドについて聞いてみる(3/3)

森:働きながら制作活動してんじゃん?ゆりちゃんも。
  制作一本にしたい!とか思うことはないの?

ゆ:思う!

森:笑。

ゆ:今、(大学の)事務してるんやけど。
  事務って、たぶんできる人にはなんでもないことなんだけど、
  わたしにはそのなんでもない部分が
  すごいむずかしいと思うの。
  だから、わたしやりたくなーいってなる。

森:笑。

ゆ:なんか普通の人が簡単にやってる、
  外とかお店とかで見てると
  普通にやってるなって部分が
  わたしはすごい苦手なんよ。

森:うん。

ゆ:なんかこう、先生に笑顔でおしゃべりして、
  ちゃんと予定を調整して「何時に来てくださいね」っていうのを
  すごい自然に伝えられる人っているやん。
  自分じゃない人はわりと普通にやってるなと思う。
  けど、わたしがやると
  先生に、ストイックに「15時に来てください!」っていう。

森:笑。ストイックに。

ゆ:「あ、あの、わたしはあなたが15時に来てくれないと困るんです!」
  みたいなオーラを出してお願いしちゃったりとかして、
  なんかどうにかならないかなーと思うけど、
  緊張するのもあるし、あんまそういうのが向いてなくて。
  こう伝えなきゃいけないっていう情報があったら
  もうそれにまっしぐらになっちゃう。

森:ずーんって(突き進む感じ)。

ゆ:「お願いします!」みたいな。
  あの感じがたぶん向いてないなって思っちゃう。
  さわやかじゃないわーって思って。
  (PC入力みたいな)事務作業は嫌いじゃないしできるんだけど、
  おしゃべりするほうの事務作業のほうが。なんかあんまり。

森:うん。

ゆ:「製図室に忘れ物したので鍵開けてください」って言われたときに
 「あ、忘れ物したのー待ってねー」みたいなさわやかな事務員もいるはずなのに、
 「あ。忘れ物をしたんですか(キリッ)。では、鍵を開けますので(キリッ)」ってなんかカタイ。
  なんかわかっててもできないっていうか。わたしかなりカタイ事務員だなと。

森:事務員ゆりちゃんを超見に行きたい。

ゆ:いやもうねえ、「しゃべりたくもないし」っていうぐらいの
  変なオーラが出てる。仕事っていう意識があるから
  ちゃんとしなきゃっていうのがあって、それが悪い方向にいってて(笑)

森:笑。

ゆ:ふだん家で「鍵貸してー」って言われたら
  「あ、どうぞー」とか言ってさわやかに鍵貸せるのに、
  学校でそれがあると「はい(キリッ)」って。
  めっちゃやな感じの事務員になる。なんかね、あれ向いてないわ。

森:かしこまりましたー!みたいな感じ。

ゆ:仕事っていう切り替えをやりすぎてるのか、
  仕事がいやだっていうのがもうあるのか、
  なんか全然自信も持てないし、やってて苦痛しかない(笑)

森:笑。

ゆ:たぶんけっこうあがり性。
  友達だといいけど、目上のひととかにしゃべりかけられると尋問みたいになる。
  なんだろうね。敬語がうまくないからかな。
  なんかもうかたまっちゃって、みんながハッピーじゃない。

森:仕事はさ、お金をもらうため(にしてる)って感じ?

ゆ:今(の大学事務の仕事)は流れに自然にのった感じで。
 「ならしてください!」って感じでなったわけじゃなくて。
 (4月からの進路が決まってなかった卒業間近に)
  Y先生から「事務員さがしているんだけど、どう?」って
  声かけてもらって、「あ、やりますやります」って感じで、
  面接して、ぱーって入っちゃったから、
  なんかすごい変な…

森:変な感じ?

ゆ:「お金のため(に仕事)!」って感じでもないし。
  「あ、来ました。今日も(大学に)来ました!」みたいな感じ。

森:笑。今日も来ました。ちょっと苦痛だけどって?

ゆ:「今日もやってきました。来るのが仕事ですよね」みたいな。
  なんか、学生のときにアルバイトしてたときとも
  またちょっと感覚が違うっていうか。
  「毎日行くところがあってよかった」って感じで行ってるのかな。
  だからお金がゼロ円になっても気がつかずに行ってる感じ。

森:笑。

ゆ:やってる仕事も先生たちのサポートていうか、
  先生に関係ある仕事が、ゼミ生だったら無料で手伝いますよみたいな仕事が多いから、
  先生への愛だけで(無償で仕事を)やれるかもしれない。

森:なるほどね。

ゆ:だから全然そんなには仕事してるって感じはしてないんだけど、
  なんかね、微妙な感じ。

森:話は戻るけどさ、テーマ審査の発表のときとか
  話はうまくまとまった?

ゆ:うん。うんっていうか、もうがちがちに
  何分でしゃべるっていう文章をもう全部決めて、読んだ。

森:読んだ(笑)

ゆ:(審査する先生たちの)顔を見ずに、
  紙をこう(顔の正面に持って)ずっと読んで、
  ぷちってPCをクリックしてまた読んでってやったから失敗とかはないけど。

森:うん(笑)

ゆ:その文章も、10回はいかないかもしれないけど、
  5回ぐらいはゼミの先生に、一週間ぐらいまえから見てもらってたから。
  てにをはの細かいとこから漢字の間違いまで全部。

森:これをあとは読むだけだーって(状態でプレゼン)。

ゆ:間違いはないから。
  だからそんなには苦労してないっていうか。

森:さっきゆりちゃんがさ、
 「説明すれば説明するほどださくなるんじゃないか」
  みたいなことを言ってたじゃん。

ゆ:言った(笑)

森:わたしはけっこう言葉で考えるタイプなの。
  デザインも、ヒポ(←趣味で続けているクレイアニメーション制作活動のこと)で
  こういうのつくりたいっていうのにしても。
  どこがどうおもしろいのかっていうのを
  一番最初に言葉でぎゅっと凝縮してからつくりはじめるタイプで。
  もちろん直感的にこれ!ってときもあるんだけど、その場合もいったん言葉にする。
  そうするとアウトプットとして目指すものが、まるっとカタチを現す感じがしてるから
  そういうやり方なんだけど、(ゆりちゃんは)それはない?
  言葉にはしたくない、(この段階では)まだ出さんぞ、みたいな感じ?

ゆ:いや、なんか、言葉にならないっていうか、
 「黄色いいじゃん!」みたいな。「あたし黄色好き!」みたいな。
  なぜ黄色が好きかとかって言い出したら、
 「それうそじゃない?今つくったんじゃない?」みたいな風になりそうなぐらい
  危ういことを言ってることが多いから、

森:うん。

ゆ:だから、なんか説明するの好きじゃないっていうか、
  言えば言うほど自分が自信がなくなってくるというか
 「本当に黄色好きだったかな?」みたいな。

森:ああ。

ゆ:なんかあんまちゃんとしてないっていうか。
  今は家を、住宅の絵を描いてることが多いんだけど、
  それも「住宅、いいな!と思って」ってので描いてて、
  それをすごいつっこまれると、「うーん…わかんない」ってなっちゃう。
 「なんで今住宅か」とか「どっから住宅が来たの?」とか言われても、
 「うーん、なんか住宅がいいと思って」みたいな。

森:うん。

ゆ:なんかすごい危ないっていうか、
  気がついたら(絵の)テーマにしていることとかが多過ぎて、
  言葉にし出すとそっちが作品になっちゃうぐらい考えこまないと
  文章が出てこないっていうか。

森:うん(笑)なんかさ、描く理由は、
  好きだからとか今住宅が描きたくなったからだと思うんだけど、
  なんか描きたくなったきっかけみたいなのってある…と思うんだよね。
  おそらく。すごくふっとしたきっかけだと思うんだけど。
  あるときこんな家を見た、とか。それがすごい昔とかでも最近とかでも。

ゆ:ああ。

森:それがたぶんずっと残ってて、
  今になって描きたくなったとかじゃないかなと(勝手に)思うんだけど。

ゆ:たぶんね、その辺をね、すっ飛ばしてっていうか忘れちゃうから、
  とたん「いいよね!」みたいな(笑)
  なんかね、すごいすっ飛ばしちゃってて、
  忘れちゃってることが多いのかな。なんでかとかは思い出せなくて。

森:でもゆりちゃんの場合は、なんでかは伝えなくても
  作品でそんだけがっと伝えられちゃうから(言葉はなくても)いい気はする(笑)

ゆ:今、いろんな家をいっぱい描いてて。
  それとかも(なんで描いてるかとか)いろいろ質問される。
  一緒に住んでる子にもいろいろ聞かれたりして。
 「うーん…(困)その質問には答えたくありません」みたいな(感じになる)。

森:そうかー(笑)

ゆ:なんかしゃべれるといいなと(思う)。絵を見る方もとっかかりが。
  (言葉がないのは)見る方に親切じゃないかとは思うけど、出てこないんだよね(笑)
  だから卒制みたいに、(作品について)しゃべることが(前提として)決まってたらがんばるかな。

森:うん。

ゆ:でも、卒制はけっこう早い段階から(テーマとかを)文章にしないといけなかったから、
  記録として何考えてたかが残ってて最後までいけたけど。
  今やってるのとか最初から書いてないから
  だんだんもう自分のなかで、むちゃくちゃになって
  なにがなんだかわかんないけどこうなりましたみたいな。
  だから卒制とかはいいかもね。勉強になるかも。

森:うん(笑)勉強にはなった。

ゆ:先生とかに「何するの?何するか書いておいで」って言われて、
  最初っからね、ちゃんと記録が残ってて、
  最終(的につくったもの)と全然違うものを最初言ってたっていう事実もちゃんと残ってて、
  次考えるときにここ(そういう事実とか)がまたね、役に立ったりとかね、あれはよかったね。
  これからもなんか記録するといいかもね。

森:かもね。自分の考えがたどれる記録が残ってるといいなというのもあって
  これ(このインタビュー企画)をやってんだけどね。

ゆ:あ!そんなんすか。

森:でもね、そんなにね、大それたことじゃなくて、
  こう会って話しててもさけっこうそれっきりになっちゃうじゃん。

ゆ:ああ。

森:それを記録として定期的に残していくと、
 「あ、こういう風に考え方が変化してったんだな」とか
 「こういうとこは変んないんだな」とかさ。

ゆ:あるよね。

森:あるよね(笑)

ゆ:あ、来年も(インタビューが)あるんやっけ?

森:来年もあるよ。よろしく。

ゆ:来年はもう「事務楽しー」みたいな。
 「事務天職だわ」とか言って。

森:笑。

ゆ:言ってるかなー

森:さわやかに言ってるかもよ(笑)

ゆ:言ってるかもしれん。
  そうか、(記録が)残っちゃうのか。

森:そう、でもゆるい感じで残すから大丈夫。

天才肌なので、感性でどーん!みたいな発言が飛び出すのかと思いきや、
ゆりちゃんはけっこう賢く謙虚で普通でした。
わたしにとっての彼女の絵の魅力が、インタビュー前後で少し変ったような気がします。

と、こんな感じで残してみたけど、いかがかしら、ゆりちゃん?
じっくり話せてとても楽しかったです。次回もまたよろしくです!
# by moriko_2011 | 2012-06-16 08:28 | 03_画家・ゆりちゃん

【大学の友人で画家・池口友理】【1年目】 イケグチワールドについて聞いてみる(2/3)

森:なんかゆりちゃんはけっこうもう
  自分のスタイルみたいなのがあるじゃん?絵に。

ゆ:あるかなーわかんない。あるかなー

森:(自分のスタイルがあるかないか)そこは自分では謎なとこ?

ゆ:スタイルっていうか。なに描いても
  自分が描いたってばれる絵になるなーとは思ってるよ。

森:笑。

ゆ:ばれるわこれはって。

森:イケグチが描いたぞって(ばれる)。

ゆ:器用じゃないっていうか。
  デザイナーとかイラストレーターの方がもっと器用に(描きわけられる)。
  今日はロシア風みたいな。

森:笑。

ゆ:ないか!ロシア風とか(いうテイストは)ないかもしんないけど。

森:あると思う。

ゆ:あるよね。ロシア風とかヨーロッパ風とか描けるかもしれないけど、
  なんか、わたしは、何描いても

森:イケグチ風?

ゆ:なんかこう残っちゃうというか。

森:残っちゃう(笑)

ゆ:器用じゃないと思う。なんか…出ちゃう。

森:(対象への)ほとばしる愛が(笑)

ゆ:笑。そう、愛が。愛であふれとる。

森:ふーむ。

ゆ:まあ、みんなそういうとこあるだろうけどね。

森:そうだね。なんとなくね、テイストが残るというか。
  学校で勉強してたのはデザインだったじゃん?
  それと絵を描くことってさ、同じ感じ?全然違う感じ?

ゆ:全然違うと思う。
  なんか、学校は、もう、2回生ぐらいで、こら違うなと思った。

森:笑。そうなの?

ゆ:わたしこのまま進んでいく自信がないなと思って。
  だんだん課題も難しくなってくるし、もうついてけないと思って、
  とりあえず日本脱出!と思って留学して。

森:うんうん。

ゆ:で、(留学から)帰ってきて、まあ、嫌なりに課題は(やった)。

森:嫌なりに(笑)

ゆ:いや、なんかもうホテルのCI(コーポレートアイデンティティ)とかいう課題とかあって。

森:うん、あったねあったね。

各自で対象となるホテルを設定して(架空のものでも実在のものでも可)、そのホテルのCI(コーポレートアイデンティティ)/VI(ヴィジュアルアイデンティティ)を定義し、アイテムなどを一式デザインするという課題が、大学3回生のときにありました。ロゴやパンフレット、ポスター、アクセサリ類のパッケージやホテルの公式アイテム、館内のピクトグラムなど、何をどこまでつくりこむかも自由だった気がします。わたしも、正直この課題の作品は過去の汚点で封印しておきたい感じです(笑)今やったら全然違うんだけどな。

ゆ:もう、なになに?って感じで。どうしよう?みたいな感じ。
  で、まあ(3回生からゼミが始まるから)研究室に入ったんやけど。
  ゼミの先生にいろいろ教えてもらって。

森:うんうん。

ゆ:ホテルのCIも自分のやりたいようにやれるように(先生に)
  アドバイスしてもらったりとかして。っていうのが、こう、3回生。
  3回生はまあなんなく(課題も)こなしたわけですよ。

森:(デザインの課題をやるのが)無理と思いながらも。

ゆ:で、4回生が(課題はほぼなくて)卒制だから、自由にやっていいじゃん。
  やりたいようにやろう!デザインとかちょっともう忘れよう(と思って)。

森:なんだコンセプトとかって。そんなん知らないって。

ゆ:そうそう。やりたいようにやろうと思ってやってたら、
  (卒業制作には)テーマ審査、中間審査と審査があって、
  しゃべんなきゃいけないじゃん。

大学4回生は、ほぼ卒業制作に費やします。何をやっても自由なのですが、ただ創作活動をすればよいのではなく、これまで学んできた「デザイン」が根幹にあることが前提条件となっています。課題(テーマ)を抽出して、それに対する答えを検証して、最終的なアウトプット(制作物なり論文なりカタチは自由)を出すこと。最終的な制作物の完成度ももちろんですが、テーマ設定とアウトプットにいたるまでのプロセスが重要になります。そのため(というか最終的にぐだぐだなものを提出することにならないように)、卒業制作には最終審査だけでなく、テーマ審査、中間審査と三段階のプレゼンが設定されています。

森:うんうん。

ゆ:あれが、すっごい嫌で。

森:笑。

ゆ:やりたいようにやってんのに
  なんでわたしは説明しなきゃいけないの、とか
  説明すればするほどダサくなるんじゃないかと思って、
  やだわーと思ってたけど。

森:うんうん。

ゆ:それもまあゼミの先生のアドバイスというか、
 「やると決めたんだからやりなさいよ」という。

森:おおー

ゆ:「夜間(コースで卒業に必須じゃないの)だから
  (卒業制作を)やらないってのも手だよ」っていうのは先生に言われてて。

森:そっか、そうだよね。

ゆりちゃんは夜間コースに在籍していました。昼間コースは、卒業するのに卒業制作の単位が必須ですが、夜間コースは必須ではありません。なので、卒業制作をやってもやらなくてもどちらでも卒業できるのですが、ほとんどの子がやっていた気がします。

ゆ:うん。「いや、でもやりまーす」とか言って。
  言ったわりにはすごいいやがってるっていう。

森:(制作はいいけど)審査が苦痛って。

ゆ:そうそう。そんなんで「やると決めたらやりなさい」という厳しい指導のもと。

森:おお(厳しい指導が)!

ゆ:で、(卒業制作を)やったら、もういろんなことがふっきれちゃって。
  もうデザイナーじゃないわ、わたしは。どうしようと。
  で、今(の画家活動)にいたると。

森:それは卒制の…制作途中で(ふっきれたの)?

ゆ:うん。制作してるときもめちゃくちゃおもしろかったし。

森:うんうん。

ゆ:なんかもう、なに?デザインしてるときは
  もう不安でしょうがないというか。

森:笑。

ゆ:(デザイン課題のときは)週一回の草案チェックが、もう、
  わたしこれでいいのか?と、なんの自信もないというか。
  (卒制のときは)そういうのがなんか無かったから。
  もう、こりゃ楽しいわって。

森:テーマ審査が夏とかだっけ?

ゆ:うん、7月じゃないかな。

森:その段階では、構想というか企画はもう固まってた感じ?

ゆりちゃんの卒業制作の作品は、ベースとなるキリンの絵を一枚描いて、それを100枚模写し、画像加工のソフトでそれらをすべて重ね合わせるというものでした。同じモノを同じように描いているはずなのに一枚として全く同じには描けない。人間の手作業のあいまいさやブレを可視化してみせる。重ね合わせた加工後のキリンの絵はなんとも不思議な雰囲気を放っていたし、一緒に展示されている実際の100枚のキリンの絵はなかなか圧巻でした。こちらでご覧いただけますよ。→ http://ikeguchiyuri.com/works/kirin/index.html

ゆ:うん。同じものをいっぱいつくるっていうのは決まってて。
  そんときはでも5種類ぐらい。
  キリンの絵と自画像もいっぱい描くぞーみたいな。
  あと陶芸でつくったオブジェもいっぱい作るぞーみたいな。

森:立体もあったんだ。

ゆ:すごいいろんなことをいっぱいやるっていうテーマで出してたけど、
  中間審査で、いや、もうこれは時間がないって。

森:笑。

ゆ:こんなにやってたらどれもがいっぱいじゃなくなるってなって、
  で、キリン(の絵)にしぼって。
  しかも、本当はキリンじゃなくて、
  動物園の動物(の絵)を全部やるみたいなことを考えてたのに、
  けっきょくキリンしか(作品にはならなかった)。

森:キリン一点で。

ゆ:もうちょっと莫大な計画が収縮した。

森:いやいや、(作品が)研ぎすまされたんだよ(笑)

ゆ:だから、どっかの審査で
 「なんであなた(が選んだモチーフ)はキリンなんだ?」って聞かれて。

森:なんて答えたの?

ゆ:「い、い、いやーキリン好きなんです」みたいな。
  「動物園にいる動物で一番輝いていたのがキリンです!」みたいな。
  うそじゃないけど。キリンから描いたのは、
  確かに動物園で一番輝いてたのがキリンだったから。

森:首も長いしね。

ゆ:カラフルだし。カラフル?

森:グラフィカルだよね、たしかに(笑)。

ゆ:そう。だから(当初の構想からは)だいぶ規模を縮小した感じなんですよ。
  なんか、なんだろう。(留学で卒業が一年ずれたから)
  3回生のときに、自分の元友達っていうか
  現友達っていうかみんなが卒制(を)やってて、
  それがけっこう刺激にはなった。
  わたしも次やんなきゃなんないんだなっていうのを
  3回生のときに自覚してたっていうか。

森:(卒業制作の作品は)一生の軸になるって言ってたしね。先生も。

ゆ:先輩が(卒業制作を)やってるのともまた違う目で見てたっていうか。
  元同級生っていうか、わたしもこの学年だったはずの子が
  (卒業制作を)すごいがんばってるのを見て、
 「あ、これはわたしもやらねばならん!」と(思った)。

森:やらねばならん!と。卒業するからには。

ゆ:そう、覚えてるよ!新聞広告の。笑いをなんとかっていう(←わたしの卒業制作の作品)

森:ありがとうございます。

ゆ:覚えてる。

森:あれは自分の(本当に好きなもの、興味のあるものが対象というか)原点かもって思うな。卒制は。
  なにやってもいいっていうとやっぱそういうとこに行き着くのかな。

ゆ:ねえ、自由だと自分が出るんだろうね。

森:うーん、そうだろうね。

ゆ:ホテルのCIとかはさ、ホテル好きじゃないと、
  何も出てこなくないか。そんなことないか。
  ホテル泊まった経験もまだ人生で4回ぐらいですけど
  みたいな人にはなかなかむずかしいと思うんだけど。

森:そうだね、うん。
  なんかさ、大学のときはさ、本当にデザインの基礎というか、
  浅くじゃないけど、広くいろんなことをって感じじゃん。
  社会に出て、こういうのはやったことがないとか
  そういうことがないからすごくよかったなとは思うけど。
  でも、社会に出て仕事をするとなると、わりと
  自分の得意分野で勝負していけるんだなっていうのが衝撃的だった。
  なんか、そんなにいろんな分野をやるもんでもないんだーって思いながら(仕事してる)。

ゆ:そうなのか。

森:わりと。やっぱ一人の人間ができる仕事って限られてんじゃん。

ゆ:笑。

森:苦手分野はそれが得意な人にまかせておけばいいだなと思った。

ゆ:なるほど。

森:でも知識として知っておいたほうがいいから、
  (どんな課題でも)一回は体験しておいてよかったなと思う。
  わたしもさ、プロダクトとかインテリアの課題とかもう全然興味がなくて。

ゆ:わかる。

森:でも、だからこそわたしがその昔つくったのは
  こういう作品なんだな、みたいなのがあったり。
  意外と(プロダクトやインテリアを得意とする人に)
  それがおもしろいねって言われたりすることもあるし。

ゆ:自分の得意分野に(むりやり)もってくる(からおもしろいものができる)。

森:そうそうそう(笑)
  うん、なんか振り返ってみればってのはけっこうあるな。

ゆ:そうか。

ちょっと長くなりましたが、
ゆりちゃんのターニングポイントについて聞いたこのあたりでその3へと続きます。
# by moriko_2011 | 2012-06-15 06:48 | 03_画家・ゆりちゃん

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