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by moriko_2011

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【コマドリスト・泰人さん】【1年目】 コマドリストの生態について聞いてみる(2/3)

泰:こんなことを言いながら、僕、アーティストになる気はあんまないというか。純粋なアーティストというかな、作品を売ってというか。僕の場合だとDVDをつくってとかだと思うけど、そういう気はあんまりなくって。

森:なさそうですよね。

泰:働きたいんですよ。お金を稼ぐ行為をしたいというか、社会との関わりをもうちょっとちゃんと持ちたいというか。だから、広告業界とかそういう中で「アーティストっぽい人」っていう立ち位置でやっていきたい(笑)

森:っぽい人(笑)。でも今はわりと広告とかのお仕事もされて。

泰:うん。だから今はやりたいことをやりたい形でさせてもらってるかな。ま、仕事はそんなにきてはないんですが。

森:そうですか?

泰:うん。数でいうとね、全然。僕の周りの作家のがいっぱいやってる。「今日も打ち合わせでーす」とかいうみんなのツイートを家でごろごろしながら読んでて、僕、仕事ないなーとか思って。

森:笑。でも泰人さんのとこには「いい仕事」がきそうですね。勝手なイメージだけど。

泰:そう!来るときは。

森:しかもスタッフさんもいい人が多そう。変な無理はしない感じの仕事が多そう。

泰:そうね。僕の場合、『オオカミとブタ』で業界内で有名になったから、もうああいうのをつくる人っていう扱い。

森:コマ撮りの人。

泰:最初から『オオカミとブタ』を知ったうえで仕事の話がくるから、そうじゃないものは僕にたぶんもう依頼がこないんだよね。

森:それはどうなんですか?ちょっと気になったりします?

泰:そこは実際困るので。単純に仕事の数が減る結果じゃん?

森:ああ。

泰:この前、はじめて人形をつかってコマ撮りする仕事がきて。人形でのコマ撮りははじめてですがいいですか?って言ったうえで仕事を受けて。そういった技術も身につけていかないとなって思ってる。CMだと人形アニメの割合が高いから。例えば、洗剤のキュキュットとか、風邪薬のコンタック、さらさっていう洋服の洗剤、ドーモくんとか、あとはあれだ!オーラツーっていう歯磨き粉。あれは等身大マネキンなんだけど。

森:あれ、等身大なんですか!そんな大きさで。

泰:むちゃくちゃすごいの。等身大なもんだからセットも人間サイズでできてて、洗面台とかの小道具がね、めちゃくちゃ細かかったりするの!これミニチュアでは絶対無理だなって思ってたら、実物大だった。

森:へー。

泰:そんなマネキンたちをコマ撮りしてたらしいんですが、最近のオーラツーのCMはCGだったりコマ撮りじゃない撮り方のものもでてきたみたいで、それはもしかして予算とかの問題なのかなーって。コマ撮りは撮影日数がかかるから、スタジオを借りるのも、照明機材とか撮影機材を借りるのもすごいお金がかかっちゃうんだよね。

森:スタッフさんの数も。しかも日数分の人件費がかかりますもんね。

泰:仕事も何本か、オブタ式(『オオカミとブタ』でやっている写真の二重コマ撮り)でやったんだけど、それだけの人って思われるのはいやだなと思って。『ウシウシウキウキ』でマスキングテープ使ったりとか、『guitar dog』でギターを犬にしたやつをつくったりとか、ちょっと違うテイストのものもありますよ、こういうコマ撮りもありえますよっていう作品を自主制作でつくって。自分のショーリール(作品集)みたいな感じだよね。

森:ああ。

泰:「うちの商品でこういうコマ撮りももしかしたらできるかもな」って企業側が思ってくれたらいいなって。自主制作は、そういう目的があってやってる。オブタ式はまだ続けるつもりだけど、世の中の広告でオブタ式のものが増えてきたらさ、企業も見る側も飽きるでしょさすがに。

森:多いですよね。TVとかでも観るし。でも初めて見たときは新しい!と思いましたもん。

泰:だから、あれはたまにやる感じで、と思ってる。

森:ひとりでつくってたころと、今、スタッフさんがついてつくるのと、全然違います?

泰:違う。まず、見た目のクオリティが一気にあがるよね。照明さんとカメラマンさんが撮影スタッフに入るから。『オオカミとブタ』のときは、自分でもわかってたけど、あれは素人くさくつくってるんよね。ああ、そうだ。なんでコマ撮りはじめたかっていう理由の一個で、「素人っぽくても許されるだろう」ってのがあったの。

森:そういうテイストってなりますもんね、コマ撮りの場合は。

泰:うん。3DCGだと、もう世の中にはきれいなCGや動きのいいものがいっぱいあって。美大生とか専門学校生がつくったCGとかを見せても単純に技術のなさが目についちゃって、この作品いいねって言いにくいっていうか。僕も一回3DCGを勉強したことがあって、そのとき、スタートラインがむっちゃ先にあるなと思ったの。

森:作品の内容自体を見てもらえるスタートライン。

泰:そう。そのスタートラインに立つまでにどんだけ勉強しなきゃいけないんだって。CGの作品を観るとすごく大変なのを知ってるから、がんばってんなーって素直に思うだけど、でもこれ評価されにくいんだよねって思う。CGはもうきれいなことが前提で、みんな見慣れちゃってるから。

森:それは思いますね。アイデアはいいのに、アウトプットの手段でこんなに(評価が)変るのかって。

泰:それに対してコマ撮りって動きが荒くても、そういう味だしって言い切れるし、あと、内容のアイデアだけで見せれるんじゃないかって思ってて。今は、仕事ではプロの人たちが撮影チームに入ってて、自主制作のときも撮影照明やってる友達に入ってもらって、見た目のクオリティが上がったし、きれいな色合いの表現とかやさしそうな雰囲気とかテイストをつけられるようになったけど。

森:照明でだいぶ変りますもんね。

泰:相当変るね。素人さとプロっぽさの違いはね、照明が一番でかい。カメラ機材よりも照明のが大事だと思う。照明の機材だけじゃなくて知識がいるから勉強と経験が大事で、僕の場合は友人がやってくれるから本当助かってるんだけど。

森:うん。

泰:スタッフが増えたときに映像のクオリティはよくなるんだけど、同時に、自分が何考えてるのかを全部言葉で伝えないといけなくなるんだよね。ある仕事で、大量の写真の修正と合成をレタッチ業者に頼むときに、この写真はこういう風でっていう指示を細かく全部出さないといけなくて。自分のなかでなんとなくで決めていることをちゃんと自分で意識できていないと、できあがってきたものが、あ、これちょっと違うわってなっちゃう。被写体の位置はもうちょっと右がいいなとか。でもそれって、好みだったり、(経験則とか感覚から)無意識で判断してる部分。それを言葉にして人に言わないとわかんないっていうのに気づいた。

森:優秀なスタッフさんとかやと、こちらの意図への反応というか、相乗効果がおもしろかったりしますよね。

泰:こっちが考えてなかったことが返ってきたりとか、やっぱりそれはおもしろいと思う。

森:それに、おんぶにだっこになったらあかんけど。

泰:たしかにそれはいいことだし、多くのディレクターとかが取材でさ「ひとりでつくるよりも他の人と一緒にやることでかけ算になったりとか、自分が思ってもいなかったようなものができてたりするからそれがおもしろいんです」って言うじゃん。たぶんそのとおりだし、(そのおもしろさは)自分も実感するんだけど、ひとりっきりでつくってると100%その人の個性になるから、よくも悪くも濃いものになるんだよね。

森:ええ。

泰:僕のまわりで自主制作でアニメやアートアニメをやってるやつらが、一人っきりで1年間とか2年間とかかけてつくっている作品を見ると、やっぱり濃い。

森:他人の思考が入ってこないですからね。

泰:まったくぶれないから。そういうのが、複数人でつくると、よくも悪くも薄まるというか。で、薄まるとけっこう一般的に受け入れやすかったりする。濃いとさ、わたしこれ絶対嫌いみたいなリアクションあるじゃん。アートとかだったらそれでもいいと思うけど、広告とかだったらできるだけ8割9割の人間に、できれば10割に好かれたいし。

森:泰人さんは、わりと個人でつくりたかったりします?

泰:アイデアに関してはやっぱり一人でやっちゃいたいとこはあると思う。でもカメラとか照明とかは技術がないからお願いしたいかな。アイデア自体も他人としゃべってるのもいいと思うんだけど。僕が監督の場合は最終的な判断は僕がすることになるから、そこで取捨選択すればいいんだけど、…それがね、けっこう難しいんだよね。ひとりで考えて、ひとりでアイデア出して、そのアイデアをひとりで自分でずーっと派生させてるうちは、アイデアの根幹が全然ぶれないのね。でも、その話を他の人にふって、他の人が「ああ、じゃあこういうこともできますね」「こんなのどうですか」って言ってるときに、いいアイデアもあれば悪いアイデアも当然あって。悪いっていうのはアイデアの根幹からぶれ始めるもの。そのストーリーはいいけど、それって今回の手法でやることじゃないなみたいなのも混じってくる。そのときの判断を間違えないようにしないとなって思ってて。実際、少しミスったなーっていうのが過去の仕事にはある。そうとう後になってから、これは違ったかもしれんなーって。やってる最中というか終わった後もけっこう長い間いいと思ってたんだけど…みたいなのはあるよ。

森:ほう。

泰:で、思い返すと、「これ会議で他の人の発言を僕がいいと思ったやつだ!」みたいなのが。ひとりでつくってると、アイデアの根幹がぶれないって点に関しては強いと思う。でも「それがいいことか?」って言われたら、わからんとは思う。新しい人と、今まで会ったことなかった人と一緒に仕事をして、新しいテイストとか新しいアイデアとか出てくるのっていいことだとは思うけど、そればっかりもなーって思うときもなくはない。

森:コマ撮り以外もやろうと思います?

泰:思わなくはない。けど、今のところは思わない。それは興味がないわけじゃなくて、…これは単純に自分のプロデュースの話だけど、「コマ撮り専門です」って言ってるほうがキャッチーだから。で、実際コマ撮りばっかしかやってこなかったから、他がわかんないんだよね。ムービーのやり方とかCGのやり方とか。特にCGなんかはさっきも言ったけど、すごい人たちが多過ぎるので、そこに入っていって勝てるかというと、うーん、負け戦だよね。CGの腕がすごい人と組んで、僕の出したアイデアをなんかしてもらうとかだったら、なんとか何か形にはなるかもしれないけど、僕自身がCGをやってもね。

森:笑。

泰:ムービーは1回だけ、仕事で経験があって。未公開というか流れちゃったんだけど。経済産業省が企画してたイベント(CoFesta PAO)があって。トップクリエイター10人が若手と組んで何かやるって企画で、10人のなかに高橋智隆さんっていうロボットクリエイターの方がいて。その人がつくったROPID(ロピッド)っていう40cmぐらいの身長の男の子のロボットを主役に映画を撮るっていう企画があって、僕が監督になってムービーを撮ってきたんですよ。そんときのカメラマンが本当にすごい人で、僕はただカメラマンの後ろについていっただけみたいな。

森:笑。そうなんですか。

泰:本当すごかった。あれがまさにおんぶにだっこじゃないかな(笑)。それが唯一のムービー経験だから、唯一やったムービーの被写体が人間じゃなくてロボットなんだよね。この経験、全然活かせない気がする。

森:すごい将来、活かせるかもしんないですよ(笑)

泰:そのとき、脚本も僕がやったのね。僕はもともとストーリーを思いつかない人なのね。だからこれまでギミックとか手法のアイデアだけで勝負してたんだけど。そのときはやっぱり脚本がいるので。脚本を書いて、それが選ばれたから僕が監督になったんだけど、やっぱ大変だったね。…大変だった。

森:脚本を書く作業がですか?

泰:うん。ストーリーを思いつくのがやっぱりむずかしくて。ROPID自体すごく魅力的なの。本当にかわいいし、魅力があったのよ。生きてるみたいにも思えるし、ロボットとしての魅力もすごくレベルが高くて、高橋さん天才だなと思うんだけど。だから、ROPIDに何させたいかってうのはけっこうすぐ出てきたの。具体的に言うと、ROPIDにバスに乗ってどこか旅に行ってほしいと思ってた。ROPIDがバスに乗ってるシーンっていうのをふっと思いついて、これすごくいいシーンだろうなって思って。ああ、じゃあどこかに出かけないといけないなって、どこ行こう?で悩んで。こういうシーンがいいなっていうのは出るけど、そこにストーリーのつじつまを合わせないといけない。

森:うん。

泰:当然、無理につじつまを合わせるとつまんない話にしかなんないから、そこらへんはずっと悩んでて。プロデューサーの人とずーっとしゃべってはアイデアが出なくて、アイデアを出したけど全然ダメで、みたいなことをけっこう長い間やってた。撮影してる最中もけっこう後半のシーンとかは最後までいじり倒してた気がする。で、まあなんとかなって、けっこう満足のいくストーリに。作品の出来もすごくよくて。そもそものイベント自体が震災で流れてしまったので、上映される機会がとりあえずなくなってしまったんですけど。

森:公開はされないんですか?

泰:そのイベントが再開されたら上映されるかもしれない。上映されてほしい。

森:観たいです。

泰:ロボット好きだから、あの仕事はおもしろかった。話がそれるけど、僕、SFでアンドロイドとかが大好きなんですよ。ロボットとか、もっというと人口知能(AI)とか自我とか。ROPIDくんの企画書を提出して審査を受けるときも、本当はストーリーボード的なことを書く段階だったんだけど、ROPIDがどういう存在であってほしいかみたいな語りを延々と書いて。ストーリーじゃないなこれって(笑)

森:笑。

泰:早くAIが発達してロボットが心もってほしいと思ってるよ、僕は。で、しゃべってみたい。何を考えてるのかとか。

森:モノが何を考えてるのか。人間でも何を考えてんのか謎やけど。

泰:ね。でもSFの話って結局ロボットとかが出てきたとしても、人間がどういう存在なのかってことがテーマになることが多いから、最終的に哲学的だったり宗教的だったりして、そこが好きで読んでるんですけど。AIとしゃべりたい。あと、早く自分が電脳化したい(笑)

森:ギミック中心でストーリーは思いつかないという話をしていましたけど、それは映像を撮り始めたときから?

泰:最初からずっとそう。小説とかを読むのはすごく好きなの。だけど、ストーリーが出ない。同時にキャラクターがない。こういう性格の男の子とかそういうのが出てこない。『魚に似た唄』は唯一ストーリーがあるかな。

森:『魚に似た唄』はなんかちょっと作品の毛色が違うなと。

泰:あ、あれには登場人物にも目があるもんね。そう、『オオカミとブタ』のオオカミとブタって目がないの。『ウシウシウキウキ』のウシにも目がないのね。ギタードッグも目とか耳をつけてないのね。顔がないものが僕はけっこう好きで。言うなら、あんまりキャラクターを立ててない。キャラクターをあんまり思いつけていないから目を描かないっていうのがあって。登場人物としてなにか出さないといけないから、僕は動物に走っちゃうのね。

森:動物に走っちゃう(笑)

泰:オオカミとブタだったらさ、オオカミはブタを食べるだろうってわかるでしょ、すぐに。ブタも逃げるだろうって。動物ってなんとなく世の中的に性格づけができてるじゃん。猫は天の邪鬼で、犬は純粋とか。トカゲとかだったら何考えてるかわかんないとか。世の中としてキャラクターがすでにできあがってるから、それを使っちゃうんだよね。だから、人間のキャラクターを出すのが一番やりにくいかな。あと、オブタ式のギミックとかを出すと、映像自体が複雑だから、ストーリーまで複雑にすると観る人がついていけない気がしちゃって。だから、ストーリー自体は単純なものにしたくなるとこがあるかな。

森:ええ。

泰:それに対して『魚に似た唄』だけは決して単純じゃないストーリーがある。あれは、むしろストーリーが先に近いかな。まあ同時なんだけど。壁に絵を描きたいっていう手法が最初にあって、ストーリーがでてきちゃったから、じゃあこのシーンは壁に絵を描くってことでできるなって、うまく落とし込むことができて。あの作品だけは特例。自分では、あの作品はギミック自体は凝ってないと思ってる。

森:たしかに人形アニメとペイントアニメですもんね。大きさはすごいけど(笑)

泰:うん。今は、ストーリーとかをだんだん思いつけるようになってきたと思ってる。イラストアニメもやりたいなと思ってたの。手書きでフルアニメで。

森:前、ちょっと言ってはりましたね。

泰:あ、内容言ったことあるね。あれを紙芝居か漫画みたいな形で絵描いて、自分のサイトで連載してみようかなと思ってる。

森:猫村さんばりに連載!一日一コマ!

泰:さすがにそこまでしないけど(笑)。その企画はストーリーとかキャラクターが若干ある。性格とかも。だから逆にギミックは特にないよね。ストーリーがあってキャラクターがあるって場合は、観客はそのお話のなかに没入しないといけないし、そのキャラクターに対して共感しないといけないじゃん。そういうときにそのキャラクターがイラストでできているとかCGでできているとか、人形でできているとかって意識しちゃだめなんだよね。

森:ほう。

泰:画面の登場人物たちがどういう素材でできているのかって意識しているっていうのは客観視してるってことだからストーリーに没入できてないってことなのよ。で、僕の場合はギミックを使って、コマ撮りの手法ですよっていうのを全面に出し続けるから、観てる人はずーっと映像を客観視してるんだよね。これはコマ撮りで、作者の人たちがこういう労力をかけて撮ってんだ、大変だなーと思って観てるわけ。

森:そうですかね?

泰:だと思うけど。少なくとも、『オオカミとブタ』を観てるときは、壁に写真を貼ってるんだなっていうのをずーっと意識し続けることになる。

森:ああ。

泰:作品に没入するかもしれないけど、手法のほうに目がいって、やっぱりちょっとひいた目になる気がする。だから、ジブリとかを観て「パズーがんばれ!」みたいな気分にはなりにくいと思うんだよね。例えば、アニメをやってる人間だと、ジブリを観てても、うわー作画大変!とか思ったりするわけ。それってやっぱりどこかひいて観てるわけだよね。製作の裏側を考えちゃったりしてて。そういう感覚ってストーリーに共感してほしいと思ったら邪魔な気がするのよ。作画大変と思ったうえで、感動することも当然あるわけだけど。僕も普通にしますけど。

森:うん。

泰:感情移入してほしかったら、やっぱり手法がどうこうってあんま認識しないほうがいい気がするかな。いや、でも、ギミックやったうえでストーリーはちゃんとつくれるとは思う。そう思うようになったのもけっこう最近で、前は本当無理だと思ってたけど。実際自分が思いつかなかったのもあるけど、今ならできるかもな。ちゃんとストーリーがあってギミックっていうのも。うん、できるかもね。できる気がしてきた、今。

森:おお!ポジティブな方向へ。

泰:(これまでストーリーを)思いつかないからギミックに走ってたってのはやっぱりある。得意不得意の話だけどね。

自分の強み弱みについて冷静に分析していて、変な背伸びをしないところがこの人の強さと魅力やなと思ったところで、その3へ続きます。
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by moriko_2011 | 2013-04-18 00:11 | 06_コマドリスト・泰人さん

【コマドリスト・泰人さん】【1年目】 コマドリストの生態について聞いてみる(1/3)

『オオカミはブタを食べようと思った。』(以下『オオカミとブタ』)がYouTubeで話題になり、現在は映像作家として活躍する竹内泰人さんコマ撮りの本も出版してはります!)。わたしの一方的なおっかけ(?)から交流が始まり、なぜか現在もヒポポタマスのメンバーともども仲良くしていただいています。

『オオカミとブタ』を見て「このひとの空間の捉え方、すごーい!」と感動したわたしは、彼のサイトに掲載されていた、頭のなかで考えてることをぽこっと取り出しました!という感じの日記を読んで、さらにファンになりました。すごい作品をつくるのに、ものすごく素直な文章(笑)。たまにふっと現れる、独特の視点を出発点としたロジカルな考え方やポリシーがおもしろいです。

同世代の作り手としてあらためてお話を聞いてみたかったので、ちょうど1年前の2012年の4月ごろ、「いただきまーす!」と、梅田の地下であつあつの鉄板オムライスを食べながらゆるく話していただきました。


森:このインタビュー、なんで8年なん?ってつっこまれるんですけどね。

泰人さん(以下、泰):ああ、まあね。

森:いや、わたしがちょうど35歳になるからって。

泰:8年にするのはいいんだけど、35歳はなんの数字なん?

森:え?きりがよくないですか?(わたしは5の倍数はきりがよいと思っています)

泰:まあねー…でもぼくはそこらへんが分かんない。35歳で人生いろいろ一区切りっていうか転機があるって話をさんざんいろいろ聞くんだけど、そうでもなさそうな気がするんだよな。まあ、あるかもしれないけどね。

森:けっこうあっという間な気がするんですけどね、8年。

泰:うん、だろうね。

森:あれーっていう間に過ぎて。だって8年前なにしてました?

泰:20歳だよね、今28歳だから。数えやすいね。えーっとね、20歳でしょ…

(思い出そうとしながら、なぜか苦笑い)

森:なんでそんな苦笑いなんですか?笑

泰:いや。大学生で、3回生になるときか。その時期はバグプロジェクトっていうサークルをやってて。

森:ほう。

泰:TV番組の体裁をとって映像をつくってて、スカパー110っていうチャンネルで実際に放送させてもらってたの。すごいマイナーチャンネルだから観た人が何人いるかわからんようなとこだけど。毎月30分のテープを納品して、1ヶ月の間で深夜に何回か放送させてもらってたのね。メンバーのなかでスカパーに加入しているやつがひとりもいないもんだから、誰も放送を見たことがなかったけど。

森:納品テープはあるけど、幻の放送(笑)

泰:新番組は1月スタートなので、そのサークルの世代交代は2年生の12月前にあるのね。11月にうちらの代で、新しい番組名で新番組をつくって。『賑やかな缶』っていう缶のコマ撮りを最初に撮ったのがそのとき。

森:コマ撮りの作品って授業の課題とかじゃないんですか?

泰:じゃない。僕、大学時代に授業の課題でつくった作品1個もないんだよね。全部サークルか趣味でつくってた。その次につくったコマ撮りの『黒と白の連続』は5月に撮ったはず。だから、その少し前ぐらいだね。8年前の4月は。

森:へー。ちょうどコマ撮りスタートな時期!なんか偶然。
(ちなみにわたしのやっているヒポポタマスも2006年春に結成なので、同じぐらい)

泰:あー。ってことは8年(コマ撮り)やってきたんか。

森:なんでコマ撮りしようと思ったんですか?

泰:理由はいくつかあって。一番は、一番はね…

森:『賑やかな缶』が最初の作品?

泰:コマ撮りでは最初。その前には、アニメっていうほどアニメじゃなくて、書いたイラストをアフターエフェクトで移動させるだけみたいな、モーショングラフィックスとかに近いのを2つぐらいつくってて。その後、実写のコマ撮りをはじめて。はじめた理由は「全部一人でできるから」ってのが一番大きいかな。

森:笑。

泰:サークルに入ったときにメンバーが全然足んなかったの。

森:何人ぐらいですか?

泰:最初ね、5人か6人だった。

森:その人数で毎月30分1本?

泰:オープニングエンディング合わせてだけど。大概は、1チームが10分~15分ぐらいのショートムービーを撮って、あとは自主制作でアニメつくったのを合わせたり、バラエティっぽいことやったりして30分にするんだけど。そのなかで、とりあえず僕が一人で5分の作品をつくってくるって言って。

森:泰人さん枠が。

泰:で、コマ撮りだったら撮影も準備も編集も一人でやれる。ショートムービーだと、役者とかカメラマンとかいっぱい人が要るからさ。最初につくった『賑やかな缶』は、人形をつくるんだったら時間がかかるけど、缶だったらゴミ箱から拾ってくればいいっって。

森:たしかに(笑)

泰:これはすぐできる!と分かってて、というか、すぐできるものを考えて。効果音集のCDとかも持ってたから、これと缶の動きを合わせればコンテンツになるだろうと思ってアイデアをばーっと出して。学校のゴミ捨て場から缶がたくさん入ってるゴミ袋を出してきて、同じ種類の缶を探してきて、水洗いして、とかそういうことやってた。

森:もともと、映像がやりたかった?

泰:えーっとね、映像をつくろうと思ったのは大学に入ってからで。ぼくらの時代だと、大学に入学してからPC持ち始めるやつが多かったでしょ。高校生とか中学生から使ってたやつもいたけど、僕は大学に入るまではPCでなにができるかとか全然知らなかったし。大学に入ったら先輩たちがPCで映像をつくってて、3DCGとかですごいかっこいい作品をつくってる人もいたりして、「こんなかっこいい、おもしろいアニメが個人で制作できるんだ!」って1年生のときに目をキラキラさせるわけですけど。PCを買って、別の学科で少しだけあった映像編集ソフトの授業にもぐりこんで、1年生の終わりにはじめて映像をつくって。で、2年生のときに2個ぐらい作品をつくって。で、3年生になる前に缶のコマ撮りを始めて。

森:『オオカミとブタ』はサークルの活動とは別なんですか?

泰:3年生の12月前にサークルの世代交代がくるから、そこでサークルは抜けて。4年生になってから『オオカミとブタ』を考え始めて。僕は、大学は九州芸術工科大学(以下、芸工)っていう福岡の大学に行って、院は武蔵野美術大学(以下、ムサビ)の映像学科の院に行ったんだけど。『オオカミとブタ』はね、ムサビの院試で作品提出するからそれに向けてつくろうかなと思ったの。そしたら全然間に合わなくて。かなり早い段階でこれ間に合わないなってわかってて。だから院試の面接で、院に入ったらこういう作品つくろうと思いますって言って『オオカミとブタ』の説明をした。写真を使ったアニメーションを今、考えててって。撮影は大学4年生の3月までやってて、編集は院に行ってからの4月からスタートさせて。だから、コンテストとかに映像を出したときの僕の肩書きはムサビの院生なんだけど、映像のなかには明らかに九州の風景が写ってて。西鉄電車とか走ってて。

森:ムサビの院に行こうって決めたのはいつごろ?

泰:大学4年生になってから就職するか院に行くかってなって、僕は院にいきたいって思ってて。親もそれは許してくれてて。でも、芸工の院にそのまま行くのは嫌だなと思ってて。

森:それは専攻できるジャンルがちょっと違うからですか?

泰:いや。僕、4年生のときはプログラミングの研究をやってて、でも映像制作がしたかったから、それもあるけど。もうちょっと交流を広くしたいと思ったの。芸工大はすごく小さい学校で、全部で5学科あるんだけど、4年生になるころにはたいがいの人と友達となれるの。キャンパスも小さいもんだから、知らない人でも、あ、見たことあります、みたいな。そのまんま院に行っても友達増えないなと思ったの(笑)

森:笑。

泰:もっと違う人たちに会いたいというのと、あと、特にアートとして映像をやっている人たちと知り合いたいと思って。芸工大は別にアート色が強くなくて、アート色がないわけじゃないけど、もうちょっと工学的というか。芸術と工学を合わせて芸術工科大学にした大学なので。

森:うちの大学もそんな感じでしたよ。「科学と芸術の出会い」が大学のテーマだった気がする。

泰:その思想はすごくいいと思うんだけど、どっちかっていうかデザイナー寄りだよね。言うなれば、完全な美大生に会ってみたいっていう。で、映像学科の院があるところを調べて、ムサビがおもしろそうだったからムサビに行って。

森:やっぱり、大学と院と全然違いました?

泰:学校の雰囲気でいえばね、全然一緒だった。生徒の雰囲気とかもだいたい一緒。でも芸工のほうが、入試のときに学科試験、勉強の割合がすごく高くて、単純に頭のいいやつらがくる割合が高いのよ。頭がいいのにアートみたいなことやってるやつらのが変なのが多い。賢くてバカなことやってるから。

森:笑。捨て身ですもんね。

泰:純粋に最初っから変なやつらは、むしろほほえましいぐらいで。賢いのに変なことやるやつらのほうが、ちょっとキャラが濃いよね。おかしい(笑)。でも雰囲気は似てるなと思った。たいして変わりないなって。別にムサビの人たちがバカだったとかいうわけじゃないんだけどね。

森:笑。なんとなくわかりますよ。いろんなことを考えて考えて、ここにたどり着くのかこの人たちは…みたいな。

泰:そうそう。妙に理屈っぽかったりね。直感でやってるけど理屈っぽかったり。その裏打ちされた理論でしゃべられるとこわいよね。

森:笑。わたしは大学でデザインを学んだので、作品の意図とかを聞かれたらちゃんと理論でも説明できるようにってのは意識しますね。

泰:大学4年生のときに卒業制作をつくったり卒論を書かなきゃいけなくて。うちの大学もデザイン系だったから、映像作品をつくったとしても何でそれをつくったかっていう説明をちゃんとしないといけなくて。時代とか歴史とかがあって、今これが必要とされてるからとか言って。先輩たちで多かったのは、アニメ作品をつくるんだけど、市の観光アピールのためとか。なにかしらちゃんと社会とのつながりをつくんなきゃいけなくて。なんかやっぱりむりくり理由も作品もつくってる印象があってさ。

森:ええ。

泰:僕は「単純におもしろいと思ったからつくったんです」以外の説明がしたくない人だったので。卒業制作で自分の作品をつくって論文書くのは絶対いやだと思ったの。それで、4年生のときは画像工学のプログラミングをやってるゼミに入って。プログラミングはプログラミングの時代背景がしっかりあるし、こういう仕組みでつくりましたっていうプログラミングの説明をずーっと書いたら論文は完成するんよ。これだったら全然納得して作業しやすい!と(思って)。

森:目的とアウトプットがちゃんと合っていると。

泰:そうそう。別にプログラミングは好きだったから。そこで1年間、先生の指示のもと、先生がつくりたいと思ったプログラミングを僕がしますって言ってプログラミングをしてた。

森:笑。自分のつくりたいっていうものと、デザインの課題としてアウトプットするものってやっぱりギャップがありますよね。

泰:だから、僕、学校の課題はあんまし好きでもなかったのかな。だって、おもしろいものって理屈抜きにおもしろいって言いたいし。それが課題のテーマとずれてると課題としてはダメじゃん。そういうズレ、めんどうくさいなーって(笑)。あくまでデザイナーではなかったんですけど。デザイナーはそこをリンクさせる技術がいるんと思うんですけど。

森:わたしは、別物な感じで考えてましたね。デザイナーとしてつくるものは、自由解答のテストの解答みたいな。

泰:うんうん!

森:それはそれでなんかまあおもしろい。お客さんと一緒に(問題を)解く。で、自分が得意なところが、形をつくったり、色を考えたりとかいうところやからその技術を使うっていう。

泰:そうやって最初から課題があったうえでつくることは僕もやるんだけど。今、仕事でクライアントがあるところからスタートして映像考えたりするのことも多いし。自分がぽんっと思いついちゃったものに対して、むりやりあとから理由づけするのは無理って思った。

森:ああ。


なるほど、だから彼の作品はいやらしさがないんだなと思ったところで、その2へと続きます。
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by moriko_2011 | 2013-04-18 00:02 | 06_コマドリスト・泰人さん

【大学の友人・公務員の近ちゃん】【1年目】 創作意欲はどこへ行く?新婚の公務員男子に聞いてみる(3/3)

森:ここ2年ぐらいなんにもつくっていなくてさ、こんなんやりたいなっての出てこなかった?

近:こういうのやりたいなーってのは出てこんくて、(結婚式の)招待状とかちょっとつくってみたわけじゃがん。そんなたいそうなことはしてなくて、ぱぱーとやったけど。ひさびさにやったら楽しいなーって(思った)。

森:うん。

近:こういうのつくりたいなって、もりこさん、どういうときに思うん?なんか作品みたいなもん観たときに思うのか、そうじゃなくてアイデア的なものが浮かんだとき?

森:アイデア的なもの(が浮かんだときに思う)かな。わたしはけっこう。これこれこうしたらおもしろいじゃん!って。ヒポとかはね、これをつくったらおもしろいかも!とか、みんなで話してて話が盛り上がって、じゃあ実際に作品に落とし込んだらどうなる?みたいな感じ(でつくりはじめる)。でも、最近はね、ちゃんと一回企画を寝かして練るようにしなきゃなと思ってる。

近:ふうん。

森:わーっと始めちゃうから、わたし。

近:これだ!って。

森:これだ!ゴー!って。

近:鉄は熱いうちにうて!って。

森:そう!すぐ冷めちゃうから。このインタビュー企画もそう。先にセッティングしちゃって自分を駆り立てておくというか。(なのにちゃんと更新できてないけど)

近:でもそれちゃんとしとるよな。

森:そうか?

近:うん。もりこさんの尊敬できるとこはそこじゃな。

森:向こう見ずだけど(笑)。

近:今、若干失礼なこと言った気がする。

森:いやいや。

近:尊敬できるとこそこだけみたいな言い方したけん、違う違う。

森:笑。

近:でも、ちゃんとやっとるよなと思って。ヒポのアトリエ借りて、(アイデアが)浮かんだときにそれをつくる場と発表する場をちゃんと自分で想定しとるから、実際につくって、 発表するってことになるんかなと思う。

森:うーん。

近:(僕は)発表する場とか何も考えてなくて、

森:うん。

近:つくったらどうするんじゃろうって。

森:そして、つくらずに終わる?

近:(苦笑)

森:ごめん。

近:そうやな。

森:でもそういうのって一番よくあるパターンだと思うけど。つくってもなー、つくってどうするんだろうなーみたいな(ことを思って結局つくらない)。

近:…ああ、でも最近つくりたいと思ったもんがひとつあったわ。

森:なになに?

近:いい写真を撮って部屋に飾りたいっていうの。

森:おお。

近:部屋とか家とかに写真、飾ってあるのええなって思うじゃけど。かっこいいやつを。だけどあんなんなかなか(値段が高くて)買えんがん。

森:うん。

近:だったらもう自分でつくったほうがいいんじゃないかって。それ最近(つくりたいって)思ったやつやな。あったあった。ようやく出てきました。

森:よかった、出てきて。学生時代もなかったの?こういうのつくりたいなって。

近:…たぶん、こんな感じの作品つくりたいとかいうのはあったかもしれんけど、ゼロからっていうのはほんまに全然なかったんじゃないかな。

森:ふうん。

近:ゼロからっていうか、(こんな感じの作品つくりたい、の)こんな感じっていう以前のところの(何かがあるものはない)。

森:課題が出るからつくる。

近:うん。

森:まあ、それはそうかもね。工繊(←母校)の人はわりとそういう人が多いかもね、きっとね。デザイナー志望だし。

近:草間弥生が、本当にそういうのと真逆の(人)。

森:描かないと死んじゃうみたいな。

近:そう、そういう人らしいがん?それ聞いたとき衝撃受けて。そんな人おんの!と。真逆やなと(思った)。

森:うん。

近:でも、今となっては、でもそれぐらいじゃないとやっていけんなという気はしとる。仕事がくればいい仕事しますよっていうんじゃ仕事こんなって。

森:そりゃそうだろうね。うん。

近:重々承知しております。やりたいやりたいって言っとかんといけんのじゃなって。あれやりたいこれやりたいってのを言ってまわっておかんとだめじゃなと。

森:あれやりたいこれやりたいこれできますあれできますって言ってまわって、

近:ようやく

森:ようやく依頼が来たらラッキー。

近:うん。

森:やっぱり制作系の仕事はしたい感じ?別に今の仕事でも問題ないって感じ?

近:いや、どっちかと言えば。その、なんじゃろ…。(転職活動)落ちたところにどんだけ未練あるん?みたいな話やけど、

森:ちょっと前なんでしょ?落ちたの。

近:うん、一週間前。

森:それはまだ未練もあるだろう。

近:がっつり制作っていうよりかは、キュレーター的な側面のある仕事ができればなと思う。あらかじめ細部まで決められたものを、ただつくって楽しいってだけではないだろうなっていう。コンセプトの部分を考えたい感じ。

森:うん。

近:もし転職せずに、なんか作品つくったりするとしたら、それは家帰ってきてからじゃがん。だったら、朝から晩までそっちに行けたほうが楽しいよなっていう気はしてる。

森:うん。仕事と好きな事が一緒だといいよね?っていうこと?でもない?

近:…そういう感じかな。公務員になったら、やりようによっては自分の時間もとれてここで好きなことできるし、みたいな気がしとったけど、まあできるのはできますけど、これが仕事の部分にきとったほうがそれはいいわなという気がしてきたという感じ、です。

森:…うーん。
  30歳までにさ、転職できなくて、もし何かつくるぞってなったとき何つくる?

近:映画か写真か。

森:映画だったら何撮る?そこまでは決めてないよって感じ?

近:映画っていうか映像?

森:うん。

近:映像か写真で。…なんか消去法でしか浮かばんのが残念なんじゃけど、アートっぽいのはないだろうな絶対、という気がする。

森:ないだろうな(笑)。

近:なんかPVみたいなんとかそんなんは全くないだろうな。

森:うん。

近:でもドキュメンタリーみたいな…ドキュメンタリー?でもドキュメンタリーするんじゃったら写真でしそうな気がするな。ふだん見えんっていうか入れんようなとこ、写真で撮れたらええな。

森:今、何つくってもいいから何かつくれって言われたら何つくる?お金も時間も糸目をつけず。

近:すごいな(その質問)。

森:超VIPなパトロンがついて。

近:……。

森:考え中?

近:それこそ、劇映画的なやつをさせてくれって言うと思います。…すごいなその質問(笑)。

森:じゃあ、職場で今なにやってもいいよって言われたら何する?

近:職場で?美術館つくりましょうよ!って言う。

森:やったらええやん!

近:それはね、そういう課にいかんとできんから。

森:えーでもさ、人をけしかけるとかはできるんじゃないの? この、青いからわけわからんこと言うねーみたいな立場を利用して(笑)。

近:笑。あれじゃ。新人研修のひとつで、町を見て、政策提案するっていうグループワークがあって、

森:うんうん。

近:で、今やりよるんが映画館をつくりましょうよっていうやつ。シネコンにメールを送って。今までそういう話があったかどうかを調べてアンケートを取ってっていうので、ちょうど一週間ぐらい前からやりはじめたとこ。

森:いいじゃん。

近:いい。それはね、もしちょっとでも好感触なんだったら研修終わっても自主的にやろうと思っとる。で、その偉業を残して去る、と。

森:去る(笑)。うん、そうね…。ぼちぼち時間なので行きますか。

近:行きますか。

森:どうもありがとうございました。


インタビューと言いつつところどころ「ええい!」と説教したくなってしまったというか、説教してしまったのは、わたしのが少し先に社会に出たからでしょうか。近ちゃん、好き放題言ってごめんね!

すごくいいものを持っているのに、もやもやした状態のまま、その場の状況になんとなく流されていってしまう(愛すべき)ダメ男子は、近ちゃん以外にもわたしの周りにちらほらいます。
彼らに「あなたのつくるものやあなたの仕事が見たいのよ」と言い続けるためにも、わたし自身もがんばらなきゃなと思うのですが、彼らにとってはそれも変なプレッシャーになったりするのかもしれません。いいもの流しちゃうなよ、ふんばれよ、もったいないよと思うのですけどね。はた迷惑かしら?

ひとまずは、近ちゃんが例の偉業を達成できるよう応援しようかな。というわけで、近ちゃん、次回もよろしくお願いします。
※記事を確認してもらった2013年3月現在、例の偉業はまだ達成されていないようです。
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by moriko_2011 | 2013-03-16 00:04 | 05_大学の友人・近ちゃん

【大学の友人・公務員の近ちゃん】【1年目】 創作意欲はどこへ行く?新婚の公務員男子に聞いてみる(2/3)

近:なんで楽しいかって言ったら、…1年前ぐらいになぜか奥さんと寺巡りをしとって。西国三十三所、四国でいうお遍路さんみたいなのが全国にあるんじゃが。西国っていうのは近畿地方で。奥さんがその(西国三十三所の)手ぬぐいをコンプリートしたいって言い出して。

森:(奥さん)かわいい(笑)。

近:それでちょいちょい(お寺に)行きよったんよ。それで行くうちに、僕、寺とか全然おもんないと思っとったんやけど、あ、全然っていうかね、みんながいうほどの感動がないがんと思ってたんやけど。奈良の長谷寺ってところに行ったんやけど、そこがすごいおもしろくて。何がおもしろいかって言ったら「昔の人の気持ちがわかるわ!」みたいな(ところ)。

森:寺のよさ、わかるわ!って?

近:京都の寺ってけっこうコンパクトなやつが多いと思うんじゃけど、長谷寺って奈良の田舎にあるけんさ、もう山まるごと寺!みたいな感じで。

森:でかい。

近:そう、メインの本堂に行くには、壮大な階段をぐるぐる登っていって、近づいてきた近づいてきた!みたいなことを言いながら(本堂に)行ったら、大きくてめちゃくちゃかっこいい仏像と、建築のいろんな装飾とがあって。あと、そういうところってだいたいお経の響きがいいがん。こんなんやったらテンション上がって信仰するよね、みたいな(こと)。

森:!!いい声のお坊さんのお経やばいよね!なにこれめちゃくちゃかっこいい!ってなる。

(実はこの後、思わず恐山での感動をしばらく一人で語ってしまいました。インタビューやのにな…)

近:笑。あれ、絶対お堂がようできとるんじゃろなって思うよ。響きがすごい。高揚感がない?僕、あれ、トランス状態だと思う。

森:まさに。

近:そういうので、今までよくわかってなかった寺が、一気に自分のなかで基準ができて、おもしろくなるわけです。

森:おお!

近:長谷寺とかだったら、こんなとこだったらそりゃ檀家の人、集まるよ!みたいな。入る入る、僕がその時代の人でも(檀家に)入る!みたいな。

森:笑。

近:っていうのが…何がおもしろいんだろうね、結局(笑)。歴史?

森:きっと変ってないところがおもしろいんじゃない?

近:変ってないとこ?

森:人の感覚が(変ってないとこ)。昔からあるお寺で昔からあるお経をわたしたちが今聞いて、(当時の人の気持ちとして)正しいかどうかはわからないけど、「いや、これだと感動して檀家に入っちゃうわ」って共感できるのが。

近:ああ。あと、あれかも。今までなんとも思っていなかった寺社仏閣というジャンルがおもしろく見えてくるっていうので、世の中捨てたもんじゃないなっていう気持ちが持てた。

森:笑。

近:僕、それでかいと思う。基本的に捨てたもんだと思って生きとるなかで、あ、捨てたもんじゃないな!っていうのでテンション上がりよる気がする。

森:ああ。

近:奥さんが、今、図書館司書の資格を取りに行っとって。

森:おお!

近:ど田舎にくることになるんじゃけん、まあ資格でも取っといたらって。二ヶ月間合宿行ったら取れるらしいし、行ってこいよって、ほぼ無理矢理行かせたみたいな形。広島とか大阪とかでもあるのに、九州の別府に(図書館司書の合宿に)行っとってさ。温泉に入れるって。

森:笑。

近:そこに行って小鹿田焼(おんたやき)っていう焼き物を教えてくれて。僕も(別府に)行って実物を見て、めちゃくちゃかっこいいなってなって。それもやっぱり捨てたもんじゃないな、みたいな(感覚)。昔っからこんなかっこいいもんつくっとった人がおったんじゃな、みたいな。

森:うん。

近:ふんわりしたまま(自分が楽しいとか好きだと思うものについて)うまく言えてない。

森:笑。近ちゃんは自分から何かつくるっていうよりは、キュレーター(≒学芸員。中でも企画を担当する権限を有する人)っぽいのかなと思っていたけど。(自分がいいと思うものを)そとから拾ってくる。見つけてくる。

近:僕もそう思っとる(笑)。…僕もそう思うんじゃわ。自覚としても。

森:うん。

近:コレの良さ伝えたいっていう「いいもの」があったらその「いい」をよく伝えるためにいい文脈をつくって見せれると思うんよね。番組つくるとしても展示とかだとしても。

森:うん。

近:…なんかね、でも、ぼく、30歳までに転職できんかったら、

森:うん。

近:なにかつくらんかったらやってけんじゃろなという気がする。

森:ほう。今は平気なの?

近:今は…転職したい。

森:…うん。

近:その30歳までに転職できんくってなんかつくらんとやっていけれんじゃろうっていうのも、たぶん「つくりたい」っていう衝動からの発信じゃなくて(笑)。こんなくそ田舎で、ただ仕事して帰って寝るだけの人生嫌じゃっていうのでやるんじゃと思う。

森:笑。

近:わかります?

森:うん。

近:なんか別のこともしていたいっていうか、外に広がっていける状態でおりたい。

森:うん。

近:…(今いる)地元にずっと住んでいくという気があまりない。引っ越し用の段ボールはとっておけ!みたいな。

森:笑。でもさ、まわりから見たら、公務員になって、結婚もして、近ちゃんはこのままいくのかなって。

近:思うよね?

森:わたしも思った。

近:思うと思う。そりゃ。

森:しかも、さっきも言っていたけど、近ちゃん、あんまり「自分からつくるぜ!」って感じじゃないしさ。だから、なんかこのまんま、「ちょっとおしゃれな公務員」として、

近:笑!

森:生きていくのかなーと思って(笑)。

近:じゃけん、恐れとるのはそれなんじゃて。

森:恐れとるのは。

近:このまんま、ぬくぬくなんもせず行ってしまったら、ただの「ちょっとおしゃれな公務員」になってしまうけん、

森:笑。ごめん、わたしの言い方がすごく失礼でした。(反省)

近:いやいや(笑)。

森:でもその危険性はけっこう大な気がするな。なぜなら奥さんもおもしろいから、普通に今の生活をしていてそこそこ楽しいし、生活自体を楽しめる感じがする。

近:なんかね、あれじゃわ。もりこさんに、

森:なに?

近:作品の話をされるたびに、

森:うん(笑)。すごくやだ?ごめんね。

近:いやじゃない、いやじゃなくて。大学のときに先生としゃべっとるときのようやって思う(笑)。

森:笑。なんで?そんなことないじゃん!

近:なんていうか、院でも学部でもいいけど、「お前なにがつくりたいんだよ?そこはっきりさせろよ」みたいなのあったがん。学部でもあったがん。なんかふんわりよくわからんことしたりしたら怒られたり。なにがしたいの?ってなったがん。そういうの(特に大学の1~2回生ぐらいのときのこと)を思い出すなーと。ちゃんと考えんとだめやなって気がします。

森:うーん。人にもよると思うけど、わたしはふんわりものをつくるのがあんまり好きじゃないんだよね。なんとなくこれかっこいいでしょ、みたいな。
(※もう本当にセンス抜群の人のそれは別です)

近:なんとなくかっこいいでしょって感じ(でつくるの)は無理じゃな。僕、基本、コンセプトから全部を考えとる気がする。って、だいたいの人、みんなそうなんじゃろうけど。

言いたい放題言ってしまったところで、その3へ続きます。
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by moriko_2011 | 2013-03-16 00:01 | 05_大学の友人・近ちゃん

【大学の友人・公務員の近ちゃん】【1年目】 創作意欲はどこへ行く?新婚の公務員男子に聞いてみる(1/3)

大変ご無沙汰しています。とってもひさびさの更新になってしまいました。

このブログを読んでくださっている方はおそらくほぼご存知かと思いますが、わたしは「ヒポポタマス」というチームでゆるいクレイアニメーションをつくっています。プライベートな活動ですが、そちらでのお仕事や、上映会(ヒポポタマスのヒポ・キネマ2013)の準備に追われ、さらにプライベートなこのインタビュー企画にはすっかり手が回らない日々でした(わたしのキャパがもう少し広かったらいいのでしょうけど!)。インタビューさせていただいたみなさま、ずいぶんとタイムラグがあってゴメンナサイ。必ず書き起こしますので、少し(?)お待ちください。

と、言い訳が長くなりましたが(次回は言い訳を書かないようにしたい)、今回のインタビューイは、ゆるゆるクレイアニメーション集団「ヒポポタマス」のメンバー・近ちゃんです。

ヒポポタマスは、わたしが大学3回生のときに「この人のつくるもん、すごく好きだなー」と思った友人5人を誘って、ほぼ勢いだけで結成しました(※現在、主に作品制作に参加しているメンバーはわたしを含め3人ですが、残りのメンバーもサポートで作業してくれたり、なんとなく気にかけてくれたりと、幸せなことに今もまだゆるゆると活動を続けられています。近ちゃんは「残りのメンバー」の1人です)。

というわけで、わたしは近ちゃんのつくるものがすごく好きで、ヒポポタマスのサイトではこんな風に紹介しています。「~映像専攻、東京藝術大学大学院修士課程に進むも、あれこれあって手堅い社会人。センスはあるが野望がない、サブカル&音楽好き男子。変な柄物の服がよく似合います」。一言で表すと、彼はわたしのなかの「(愛すべき)ダメ男子代表」です。

独特のセンスで生き、独身を謳歌しそうだった近ちゃんは、地元に戻って公務員になり、就職してしばらくして長年遠距離恋愛を続けていた彼女と結婚しました。近ちゃんの結婚式から数ヶ月後に開かれた大学の友人の結婚パーティーに行く前、三条のカフェで、創作意欲についてゆるい感じで語ってもらいました。
(このインタビューをしたのは2011年11月です。ひどい寝かしっぷり!猛省!)


近ちゃん(以下近):これ、インタビュー始めますって言って始めるん?

森:いや、全然。

近:しれーっと(始める)?

森:しれーっと始めて、普通に雑談して、しれーっと終わる感じ。

近:笑。そうなん。

森:私、近ちゃんに聞くことを迷ってて。

近:撮り直しでもいいよ。

森:いやー、一年に一回だから。撮り直しはないない。

近:二度目はないんじゃ?

森:二度目はない。(来年の)二回目はあるけど。

森:近ちゃんは自分の話をあまりしないイメージがある。

近:そうね、そうです。

森:…そういえば、転職活動はどうなったの?

近:落ちた。

森:おお。でも、そこだけ?受けてたの。

近:うーんとね。そこだけ。(受けようかなって)考えたり、(エントリーシートを)出したりしたやつもあったんじゃけど、ここだ!(ここで働きたい!)ってなったのはそこだけで。一週間ぐらい前に落ちたのかな。不採用の連絡がきて。

森:うんうん。

近:僕もう、想定では来年の4月から(そこで)働いとるイメージでおったんよ。

森:笑。面接とか行ったの?

近:行ってない。だから(面接にすら行けなかったっていう)それも驚きで。けっこういいエントリーシートができたと思っとったんよね。けど落ちて。びっくりして。ちょっと心を入れ替えようと思って。

森:心を(笑)。中途だとまた違うもんね。即戦力だから実績がないとだよね。

近:だよね。

森:なんかつくったりしてる?最近。

近:してない!

森:言い切った(笑)。

近:笑。

森:いつぐらいからしてないの?

近:いつぐらいからしてないんじゃろ。もうけっこう前じゃと思うよ。

森:作品つくってたのは、(東京)藝大の院にいた時代まで?

近:2010年は確実にしてないじゃろ。2011年が終わろうとしとるじゃろ。2009年までやな。

森:最後の作品をつくったのが2009年。

近:ボールに乗って転ぶっていうやつ。

森:ああー!

近:あれ、たぶん最後(の作品)。観たっけ?

森:観た観た。

近:あれね…

近ちゃんはわたしと同じ学部でグラフィックデザインや映像制作を学んだ後、東京藝術大学大学院のメディア映像専攻の修士課程に進みました。わたしも当時は東京で働いていたので、年次成果発表会などの際に彼の作品を観に行っていましたが、2年目の途中で近ちゃんは院を辞め、地元に戻って就職しました。

森:何かを「つくりたい」ってのはないの?

近:なんかね、(何かをつくるって)何しよったっけ?って感じ。今。

森:えー!

近:今思い返すと、(何かをつくるとき)何をどうやって何しよったっけ?みたいな。…あ!(自分の)結婚式の招待状つくったよ!

森:近ちゃん!笑。あれ(結婚式の招待状)はよかったよ。なんか近ちゃんらしくて。

近:あれぐらいしかしてないなー。うーん。…「つくりたい」か。

森:「つくりたい」も、今はもうない感じ?

近:そうだね、たぶん…よくわからんのんよね、もう僕は。写真をやるのか、映像がしたいのか、他のなんかWEBをしたいのか、何をやりたいのかがよくわからん。

森:うーん、映像も写真もWEBも手段だもんね。「こういうのがつくりたい」というのとはまた違うのかな?とちょっと思った。

近:うん。

森:逆にどの手段を使うかはなんでもいいっていうか。こういうものをつくりたいというか形にしたくて、それにはどれを使うのがよいかしら?という感じではないの?近ちゃんはそういうもんでもない?

近:…そういうもんではあんまりないような気がする。僕、今まで。
  …(自分は)思いっきり課題型の人間な気がする。

森:うん。

近:写真で(何か)やれって言われたら、写真だったら(題材は)こんなんがいいな、というか。

森:手段が決まれば題材を選べる。で、別に特にぐっとくる手段は決まりきらずみたいな感じなん?

近:たぶん作業として一番好きなのは映像。撮るのも好きだし、編集するのも好きだし。だから映像制作の会社を受けたんやけど。

森:一時やってた写真と映像だったら映像?

近:…うーん。両方好き。好きで、でもなんでまだ映像のほうがやれる気がするかっていうと、

森:やれる気がするって(笑)。

近:笑。写真はわかってなさすぎる。(写真の)奥深い世界をわかってない。

森:光がどうとか。

近:そうそう。フィルムがどうこうとか、プリントがどうこうとか、どの機材がどうこうとか。それがわかってなくて。でも映像ってどっかそういうの関係ないみたいなとこあるやん。携帯で撮ったやつでも、かっこよければ、おもしろければいい、みたいな。それでかな。じゃから映像のほうが好き。ん?好き?

森:疑問形になった(笑)。ドキュメンタリーとか撮る感じ?でもなくて、映像だったらなんでも。

近:…かな。……うーん。…なんかな、今、言われとるところがな、ちょっとこう自覚のある超痛いところというか。

森:笑。何が?

近:「具体的に何がしたいですか?」みたいなところを聞かれるがん?(就職活動の)面接とかでも。そういうときにやっぱちょっと弱い。「絶対何年かかってもこれがしたいんです!」みたいなものが、ない。じゃけん、「コレ」がしたいからこの手段やこの作風を選ぶ、の「コレ」の部分が(自分には)そんなにない。

森:うーん。まあそれはわたしも大してないけどな。

近:え、そうなん?

森:うん。ないけど、ずっとヒポポタマスの活動と会社の仕事をやってて、自分はなんとなくこういうことがしたいのかなってのは、こないだ転職活動をしたときに思った。

近:へえーどんなことがしたいの?

森:(近ちゃんへのインタビューなのに)逆に聞かれてんだけど(笑)。

近:いやいや、もう関係ない。

森:ええ!関係はあるんだけどさ。…わたしは、その辺にいそうな人が日常生活を楽しむきっかけとなるものをつくりたい。それは別に、強制的に「楽しみましょう!」みたいなものじゃなくて、「ちょっと視点を変えてみたら、こう考えてみたら、おもしろくない?」ぐらいのもの。ヒポ作品の題材にもしたけど、電車のなかでおばちゃんが並んでたとかそういうの。そういうのってクスッて自分のなかだけでおもしろかったりするけど、それを作品にして形に落とし込んでみせていくと、(日常生活を楽しむ)きっかけとかまでにはならなくても、なんとなくおもしろいと思ってもらえたりするのかな、と(思って制作してる)。

近:ふーん。

森:そう、なんかね。社会的にどうこうしたいです!とか、ちゃんとした志みたいなものは残念ながらまったくなくて、「なんともない日常でも、こうやって考えたりしたらちょっとおもしろいかもよ」ってのがなんとなく伝わるようなものをつくりたいなって感じ。

近:しっかりしとるな!

森:そんなことはないよ(笑)。だから、キーワードは「日常生活」と「視点を変える」とかになるのかなーここ最近は。

近:僕だって転職活動のキーワードがあれやもん、「好きになれそうな仕事」っていう(笑)。

森:笑。でも(仕事を)好きになれるかなれないかは重要だよ!

近:今のとこでも別にそんなに(そこでの仕事が)絶対いやとかはないけど、もうちょっとこう、(働くなら)文化の薫りがするところに行きたいっていうのがある。

森:うん。

近:文化の薫りって言ったらおかしいな。…(転職活動でこないだ)落ちたところっていうのが、ちょうどもう、まさにこれ、求めとる人材は僕でしょ!とか思っとったんよ。地域のイベントみたいなのもつくるし、地域密着の番組もつくるし、美術の展覧会みたいなのもつくるみたいな(会社)。どこ(の部署)行っても僕でしょ!って思っとって、どこの部署になったとしても絶対楽しんでいけるという自負があったので、4月からの妄想をしてたんじゃけど。

森:笑。妄想。

近:なんていうんじゃろな、もりこさんのやつは、(外に対して)こうしたいっていうけっこう具体的なキーワードが出てくるけど、僕はもっと自分本位なところが。自分が楽しくやれる環境にいたいっていうか。

森:うん。…なんでそこを自分が楽しいと思うかとかをずっと考えていくと何かに行き当たるんじゃないかな。そうでもないのかしら。

近:そうかも。

森:ただ楽しいとかただ単に好きとか、まあそういうただ直感的なことももちろんあるんだろうけど、好きとか楽しいとか思う理由をじっくり考えていくのもよいのかなと思う。


と、わたしがずいぶんえらそうなことを言ったところで、近ちゃんが楽しいと思うものについてもやっと語り始めるその2へと続きます。
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by moriko_2011 | 2013-03-15 23:57 | 05_大学の友人・近ちゃん

【会社の先輩・Wさん】【1年目】 未体験ゾーン「妊娠」について聞いてみる(3/3)

W:人間ってめんどうくさいって思った。そういえば

森:笑。なんですかそれ。

W:母乳育児がいいからおっぱいのマッサージしましょうとかさ、妊娠線ができるからクリーム塗りましょうとかさ、動物だったらそんなこと気にしないのにね!って思って。

森:たしかに(笑)いろいろとママになるための準備が。

W:ちゃんとやってないけど。

森:自然体で。

W:なるようになるでしょうって。なんだろうね、本当にこの現実感のなさは。

森:いよいよなのに。

W:うん。いよいよなのにね。カウントダウン。

森:(10ヶ月間)徐々に育ってきたじゃないですか。違和感増しません?

W:違和感はまあ、

森:そんなに(ない)?

W:ある。

森:あ、あります?

W:だって動くんだもん。

森:自分と別の意思が居るって。

W:あと、エイリアンっぽいイメージが浮かぶときもある。

森:私、弟の子ども見たときに、クリーチャー!って思いましたよ。かわいいとかじゃなくて。なんだこの生き物はって。

W:根本的に子ども好きの人とそうじゃない人が、

森:あ、そうなんですかね(苦笑)

W:森さん、子ども好き?

森:あんまり。どっちかっていうと苦手です。かわいいなとは思うんですけど、それなりに。

W:子ども好きの人って無条件で子どもというものが好き。あれは自分にはないなって。
でも、きっとほら、(子どもと)一緒にね、成長するっていうから。

森:そうか、私は子どもが好きじゃないのか。(だからクリーチャーとか思うのか。すごく納得!)

W:私、昔友達に「Wさんも犬飼えば母性が芽生えるかもよ」って言われて、そういうもんなのか、犬でいいのかって思った。

森:母性かー。いい年だから大人になんなきゃなとは思うんですけどね。いや、まだちょっと待ってよ無理だってばーって思うんですよね。

W:母性ねえ(笑)

森:育ってきたー!って感じあります?

W:ああ、「力、強いね。あなた」って思う(笑)

森:笑。そんなパワフルな感じなんですか。

W:あの、ピョン吉みたいな感じ。

森:ええ!おなかん中ですか。どんな感じなんだろうそれって。ピョーンピョーンって。

W:エイリアン(笑)。こういうのも全部聞いてるでしょうね、と思う。

森:そうですよね。「エイリアンじゃねーよ、お前の子だよ」って言ってるかもしんないですよね。

W:でもまだ会ったことないしー

森:まだ見ぬあなた(笑)。結婚適齢期も出産適齢期も仕事がようやく板についてきたぞってときじゃないですか。それ、すごいイヤだなーって思ってて。

W:女の人ってやっぱり、

森:損!と思いながら。子どもが産まれたら、そういう視点でしか見れないものが見れるしって、それはそうなんだろうけどさーって。

W:それが全部プラスかって言ったら、

森:ねえ。(仕事も子どもも)どっちも(100%)は選べんのよなーと思いながら、Wさんとかはどんな心境なんだろうなーって。

W:あんまり、ものを考えてないかも(笑)。ぽかーんとしてる感じ。

森:そっかーって感じですか。でもWさんはちゃんとあるがままを受け入れる感じがする。産休後はいつ仕事復帰するんですっけ?

W:2013年の4月。

森:わー!そうか。そのころにはややごはもう1歳…

W:1歳3ヶ月とか。で、保育園に行っていただいて。一人で。

森:一人で(笑)。歩けないですよ、まだ。

W:歩けるでしょ、やる気出せば(笑)

森:だいぶやる気ですよ、それ(笑)

W:行ってこい!って。

森:道覚えただろって。だいぶ早熟な感じですね。

W:あんまり早熟なのも困るよね。そのあと育たないからね。

森:笑。でも仕事を休むのはちょっとこわそうって思います。戻るときが。

W:うん。ついていけないと思う。やっぱり。

森:お母さんやりながら働くとかすごいですよね。

W:すごいよね。うちの会社もそんないっぱいはいないよね。でも森さんもいつかなるんだよ、きっと。

森:子どもを産むならフリーランスがいいって思うんです。フリーだったら、自分のできる範囲で仕事をやるしかないじゃないですか。でも会社にいたら絶対もどかしくなりそう。いろんなチャンスが周りに転がってて、こういうのもできるのにああいうのもできるのに、でも(そこまで仕事に注力できないから)こんなもんでってのが増しそう。Wさんはうまいことバランスとっていかれそうですけど。

W:サラリーマン、今の世の中ではそんな安定してないかもしれないけど、でもサラリーってすごいよね。

森:すごいですよね。会社にいるってだけで、固定給とチャンスがもらえるってのはすごいなと思いますね。

W:ね。がんばるがんばらないはその人しだい。

森:すごいですよね。これは入ったもん勝ちなのかって思いましたもん。入社して。ね、不思議ですよね、会社。

W:不思議だよね。でも、まあ、ここまで十何年も(この会社で)働いてきたからまあこうなったら続けたほうが(いいかなって)。

森:うーん。

W:フリーランスでちゃんと仕事ができる自信もないし、(子どもが)出てきてどうなるか想像つかない。

森:ちゃんと計画立ててる人ってすごいなと思います。自分のキャリアも、子どももこうでって。自分の人生設計のできてなさよ…って思いますもん。

W:なんとかなるもんよ。

森:なんとかなりますかね。なんとかなるといいなー

W:なんとかっていうか時間はやっぱ過ぎるのでって。

森:そうですね。

W:なんもしなくても過ぎるもんね。

森:年だけはとっちゃいますもんね。仕事をしていて、衰えるのはいやだなーとすごく思います。

W:すごく(笑)

森:年を重ねて、見えないものが見えてくるってのもあるんでしょうけど、今見えているものが見えなくもなるのよねって思いながら。

W:でも私、年々どんどん何にも考えなくなってきている気がする(笑)

森:笑。自由な感じに。

W:阿呆な感じに。

森:笑。そんな。私、昔はわりと自分の直感は信じれたんですけど、こうと思ったら絶対こっちで合ってる!みたいな。自信過剰だったのかな(笑)。最近それがすごくぐらぐらしてきて、なんだこれは!って思いながら(過ごしてます)。まあ、でも選択した方をよくしていくしかないわな、選んじゃったんだし!って感じです。これがおとなになるってことなのかどうなのか、と思いながら。この妥協のし具合よ…って。

W:選ぶこともあんまりないかも。

森:今回の妊娠&出産は、選んだってわけじゃないかもしれないですけど、

W:まあ、人生が動くという感じでは(ある)。それはそう。びっくりですよ。

森:びっくりですか。

W:正直びっくりですね。不思議。この現実感のなさはなんかよくない気はするけど、しょうがないよね。産むときになったら一瞬実感がわくんだろうな、痛いから。

森:痛いですよね。だって人が一人でてくるんですもんね、あんなとこから。

W:すごいよね、産めるようにできてんだもんね、たぶん。

森:そう思うと鶏とかすごいですね。毎日。

W:(鶏の卵は)やわらかいのかなやっぱり。

森:痛かったりはしないのかな。

W:楽ではなさそうだよね、あれも。

森:うん。だってあの大きさですよ、あの身体で。

W:こんなに現実味がうすくていいのかしら。

森:まあでも出てきちゃうときは出てきちゃいますからね。

W:旦那にはこんなに現実味がないって言ったことないわ、そういえば。

森:笑。旦那ちゃんのが粛々と心構えができている?

W:うん。そんな気がする。「もう心の準備できてる?」って言ったら「全然できてる」って言うから。でもそう見えるだけかな。お互いに。

森:かもしれないですよ。旦那ちゃんからみたら「おお、母になっとる」って。

W:思われてるかもね。ビジュアル的に母っぽくなっちゃうしね、どうしても。

インタビューの前日に、出産のときにどう過ごしたいか(音楽を聞きたいとかビデオを撮りたいとか)を書く「バースプラン」を病院に提出したというWさん。「出てくる人(赤ちゃん)に負担のかからない方向で」とだけ書いたと聞いて、Wさんらしいなと思いながら、少々「母」を感じました。
その後しばらくして、無事に元気な男の子が生まれたWさん。次回はすっかり「母」になっているのでしょうか。そして、現実感のなさはお互いにどうなっているのか。お話できるのを楽しみにしています!
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by moriko_2011 | 2012-07-23 21:33 | 04_会社の先輩・Wさん

【会社の先輩・Wさん】【1年目】 未体験ゾーン「妊娠」について聞いてみる(2/3)

森:子どもにこんな習い事させようとかあります?

W:英語ぐらいはしゃべれる人間になってほしいけど。あとはなんだろうね、剣道とか空手とか。

森:おお、しぶいですね。旦那ちゃんはなんかスポーツやってたんですか?

W:スキー部キャプテン。一番下手だったって言ってた。

森:人徳(でキャプテン)(笑)

W:あと、野球もやってたって言ってた。その片鱗はあんまり感じられないけど。

森:Wさんもなにかやってたんですか?

W:習い事はピアノぐらいしかやってない。

森:部活とかは?

W:小学校のときは、あれですよ。紙工作部。

森:ほう!そんな部活が。

W:で、中学入って英会話部に一回入って辞めて、そっからずっと中高と写真部。

森:今も写真撮ったりしてるんですか。

W:だいぶさぼってる。

森:笑。

W:一人暮らししてるときはちゃんと暗室もつくってて。会社入ったあと、24~25歳のときは写真やってたけど、いつのまにか日々の生活に追われ、甘え、

森:なりますよねー…

W:果たして私は何が撮りたかったのかしら?みたいな。そもそも人に伝えたいことなんてないしなって思って。写真にしろ音楽にしろなんにせよ、伝えたいことがないと続かないような気がして。

森:そうですね、たしかに。

W:(人に伝えたいこととか)ない!って。

森:いつぐらいですか、それって。

W:いつぐらいだろう。森さんぐらいの年かな。

森:笑。まさに今。なんか節目だなって思いますね。自分の今の年齢って。(自主制作を)つくり続けるかどうか。会社に属していれば、わりと自動的に、仕事は仕事でそれなりにカタチになっていくし。

W:生活もわりと安定しているし。

森:そこそこの生活が送れるしっていう。私も(チームじゃなくて)ひとりだったらたぶん辞めてるだろうなって思います。

W:24歳ぐらいに写真の専門学校に通ったりして、じゃあ何がしたいの?って思ったら、ん?ってなって。

森:それまではどんなもの撮ってたんですか?

W:なんだろうね。それもすごいあいまいだった気がする。これっていうのがあんまりなかったような気がするわ。

森:街を歩いてて気になったものとか。

W:とかそういうのもあったし、木とか。

森:なんかいいなと思ったものを撮る。

W:全部「内」に向かう感じでしょ。そういうのって。

森:でも、写真って、その人がどういう風に世界を切り取っているかだなと思っていて、言ったらトリミングじゃないですか。どこを見ているかとか。写真を撮る続けるにあたって、これっていうはっきりとした芯があったほうがいいのかもしれないですけど、自ずと(その人というものが)あるんじゃないかなという気がします。

W:撮ったのを、だれかに見せたいとかどっかで発表したいとかそういう欲求は全然なかったので。あれば違ったのかもしれないけど。

森:ああ。

W:伝えたいこともなんかないなと思ったら、技術を磨く分には楽しいんだけど、そっから先に進まないもどかしさがあって、たぶん、あんまりやらなくなっちゃったような気がします!

森:写真を撮って、世界を切り取った時点で、それを共有したいことなんじゃないかなって気がしていて…でも人によるのかな。私の友達も作品を発表していこうとかそういう気があんまりないって言ってて。私はわりと自己顕示欲が強いのか、まあたぶんそうなんだと思いますけど、おもしろいものとかがあったら、みてみておもしろいでしょー!って感じで作品をつくって勝手に発表したりしてるんですよ。

W:うちの旦那ちゃんもバンドをやってて、つくることよりライブが好きみたい。だから全然違うなーと思って。何を伝えたいのとか聞いたことないけど。ないかもしれないし(笑)

森:うーん。(つくったら誰かに見せたいと思うか思わないかは人ぞれぞれなのかなー)

W:(赤ちゃんが)出てきたら、その人の写真を撮ってあげようとは思ってる。ビデオカメラも買ったし。

森:いっぱい写真が撮れそうですね。
…話は変って、子どもができたら仕事(の仕方とかが)変るわーとか思いました?

W:あんまり。昇進させてもらったばかりなのに悪いなーとは思ったけど。まあ、(出産後も)働かなきゃいけないし。仕事辞めたくないし。(産休中で)仕事してないのがときどきやっぱり不安にはなる。

森:うーん。

W:けど、ま、そんな人命にかかわるような大きな仕事じゃないしなって思ったり。

森:でもWさん抜けたのは痛手って言ってますよ、部署のみんな。

W:あら、ありがたいわ。でもちゃんと産休をとって休める会社でよかったなって思う。

森:ああ、産休の制度はあっても(出産するなら)辞めなきゃいけないみたいな雰囲気のところもありますもんね。

W:たぶんいまだにね、いっぱいあるんだろうな。そういうとこは。森さんもいつかはお母さんになるのかな。なるんだろうな。

森:いやー想像つかないですよ、本当にまあ。

W:想像つかないよね。

森:つかないです。結婚も想像つかないですもん、私。無理無理!っていう。
  現実逃避してるだけかもしれないですけど。

W:うん、私もやっぱり(妊娠&出産の)現実感がうすい!いまだに(笑)

森:もはや出てこようとしているのに(笑)

W:たぶん出てきて顔見ても「これ私の子?」って思いそうな気がすごいする。

森:どっきり?って。子どもができるといろいろ変るよっていうけど、どうなんだろう実際?って思います。

W:今んとこはそんなに。

森:「守らなきゃいけないものができる」みたいなことを(思ったりすると誰かが言っていた)。

W:ああ、1回思った。1回って(笑)

森:10ヶ月の間で1回(笑)

W:そう。1回は思った。いつだったかな?普通にスーパー行く道で「ああ、今守れんのは私しかいなんだな」って1回思った。

森:「この子を(守れるのは私しかいない)」って。

W:そんとき1回思った。ね、なんか預かりものな感じが。

森:「自分の子ども」っていうよりは「預かりもの」。

W:「自分の子ども」って感じがあんまり(笑)

森:なんかどこかからやってきたって感じ。

W:なんか人ごと。楽だったからかね。つわりとかがあんまりなくて。みなさんどう思われてるんですかね。
旦那の友達とか自分の友達とかで子どもが居る子はみんな頼もしいというかたくましいというか、ちゃんとお母さんをやっててすごいなって。自分もちゃんとお母さんになるのかな?って(思う)。

森:なるんですかね、やっぱり(赤ちゃんが)出てきたら。

W:ね、なんかやっぱでも現実感がうすい。

森:私も最近本当に現実感がうすいんですよね。すべてに関して。

W:うすいの?

森:地震のあと、転職活動してていろいろあったときも、あ、そっかって感じで。

W:なんかどっか人ごとのような。

森:すごい悩んで、いろいろ自分で考えて決定しているはずなのに、どこかひとごと。まあなんとかなるだろうって。なんでしょうね、これは。

W:なんでしょうね。でも悩んだりしたんでしょう?

森:悩みましたよ。でもどこかでこう…

W:冷めてるというか。

森:冷めてる自分が。「お前がそんなに悩んでも大したことじゃねーんだよ」って(笑)

W:って言う(もう一人の)人が(自分のなかに)居た?

森:って言う人がこの辺に(笑)。そうですよねって思いました。

W:(子どもが)出てきたら人ごとに見るときがありそう。本物かなって(笑)。
…昨日転んだときは痛かった。現実味あるね、痛いって、って思った。血出たし。本当、こんなんで大丈夫かな。

森:出産の現実感のなさですか?みんな現実感あるんですかね。

W:どうなんだろうね。

森:昔の人とかって(今より)もっと早くに結婚して早くに子ども産んでるじゃないですか。

W:それも現実感なさそうだよね。

森:なさそうですよね。あるんですかね。「え?まじまじ?なんか嫁に行って子ども産むとかなってんだけど!」ってなんないんですかね。

W:まあ、でも時間は勝手に過ぎるからね。

森:ふむ。

現実感のなさについて語りながら、スーパーに行く道すがらWさんが思ったそ心境(「母性」?)はいったいどんな感じなんだろうなと思いました。と、このあたりでその3へ続きます。
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by moriko_2011 | 2012-07-22 08:46 | 04_会社の先輩・Wさん

【会社の先輩・Wさん】【1年目】未体験ゾーン「妊娠」について聞いてみる(1/3)

Wさんという、会社の先輩(30代女性)がいます。仕事の能力の高さも、仕事に対する姿勢も、自分のペースをくずさないところも、ちょっと毒舌なところもとても好きで、配属されて同じグループになったときに、この人を目標にしようと思った人です。Wさんは一番近い先輩ではあるものの、私は9年ぶりの新入社員だったので、キャリアからするとなかなかおこがましい話ですが(笑)。

そんなWさんとは、しばらくしてグループが分かれてしまい、一緒に仕事する機会がほとんどなくなってしまって残念やなー…などと思っているうちに、おめでたいことですがWさんが妊娠。予定日2ヶ月前ぐらいから産休に入られました。いよいよ出産間近という時期に、BGMにやたらに昭和歌謡がかかる田町のお店でゆるゆるお話を聞かせてもらいました。


W:明日(11月下旬の某日)から年内に赤ちゃんが出てくる予定。

森:えー!いよいよですね。

W:そう、なんかちょっとドキドキしちゃうわ、とか思ってたら、昨日こけたんだけどね。

森:大丈夫ですか!危ない。

W:膝と手をついたから大丈夫。ひさしぶりに膝から流血。

森:笑。(赤ちゃんは)活発に動いてます?

W:うん。でも、なんか前よりちょっとおとなしくなってきた。

森:出る準備してるんですかね。

W:そうそうそう。おっかない(笑)

森:時が来たって感じですかね。今って何ヶ月目ですか?

W:もう10ヶ月目に入る。臨月ってやつ。

森:わーどうでした?10ヶ月間?

W:早かった。

森:いつのまにやらって感じですか?

W:いまだにときどき、これ嘘かな?って思うもん。

森:笑。どっきり?

W:なんか騙されてる?って(笑)

森:でも、(妊娠は)計画的にですもんね?

W:いや、サプライズ。

森:え!そうなんですか。サプライズ。

W:うん。

森:妊娠が分かったときどうでした?

W:どっきりかな?って思った(笑)。まさか!って。

森:世間のみなさんはやっぱり「よし、つくるぞ」って(子どもを)つくるもんなんですかね。

W:そうみたい。「狙わずできるなんて」って言われた。

森:そうなんですね。今までつくろうみたいなのはなかったんですか。

W:あんまり。まあ、そろそろかなあみたいな感じにはなってたけど、でもまあできないかなって(思ってて)。びっくり。

森:できるときはできるんだって感じですね。産休生活は今2ヶ月ぐらいですか?そんなに経ってないか。1ヶ月?

W:産休は…でももうじき2ヶ月ぐらいになるのかな。

森:(産休生活は)飽きました?

W:すぐ慣れる。楽だわーって。

森:会社いかなくていいわーって。

W:幸せだわーって。意外と暇も楽しい。飽きない。

森:毎日どんな感じです?

W:朝はちゃんと起きて、朝ご飯と旦那の弁当作って、送り出して、あとは俺の時間!って。寝るとか。

森:(私は)朝、起きなくなりそうです。会社に行かなくなったら。

W:いちおう1回は起きる。

森:うん。

W:ちゃんと朝ご飯は食べて、寝る。

森:食べ物の趣味は変らなかったですか?

W:スイカはすごい食べた。

森:笑。言ってましたね、そういえば。

W:あと最近甘いものもすごい食べる。

森:あれですかね、最後の蓄えに入ってるんですかね。

W:(おなかのなかの)こやつが。

森:俺にエネルギーを!って言ってるんですかね。(妊娠して)体質は変りました?

W:朝、目覚めがよくなった(笑)。なんでだろ。

森:(おなかの)赤ちゃんも朝起きるとかあるんですか?

W:赤ちゃんは夜のほうがよく動いてる。夜型。

森:夜に大暴れ(笑)。でも、自分のなかに人がいるって不思議じゃないですか?

W:他人が、

森:他人(笑)

W:入ってると思うと、

森:どっきり?って。

W:だってね、(自分の)分身とはあんまり思えなくて。

森:うんうん。

W:別の人。

森:別の人がいる。しかも別の人、自分のなかで育ってますもんね。

W:性別も違う訳ですし。不思議。

森:(妊娠中は)ずっと不思議な感じですか?

W:うん。誰?って。

森:笑。あなた誰?って。

W:ね。何考えてるかわかんないし。

森:(おなかの中の赤ちゃんと)コミュニケーションできたりするんですか?

W:なんかできてると思えばできてる気がするけど、たぶんできてない。

森:胎教とかしました?

W:(まっさかー!という顔)一回くらいモーツアルト聴いてみたぐらい。でも、そんな趣味じゃないかもと思って、マイケルジャクソンとか聴いてる。

森:マイコー(笑)。名前とか決めたんですか?

W:まだ、決まんないんだよー

森:候補はあるんですか?

W:候補はあるんだけど。最初にリンゴくんがいいって思ったけど、それは猛烈な反対にあって。

森:笑。リンゴくん!

W:うちの母が、「そんなひと山いくらみたいな名前やめなさい!」って。

森:笑。

W:うん、たしかにって(思ってやめた)。

森:(リンゴくんは)赤ら顔であってほしい。

W:たぶん12歳まではその名前でかわいいと思うんだけど。おっさんになったときはきついなって思って。

森:本当だ(笑)。リンゴ部長!とか言って。

W:きついよね?

森:けっこうきついですね。

W:いろいろ候補は出てるけど結局決まんない。
  森さん、自分に子どもできたらこの名前!とか考えたことある?

森:ないです。

W:ないです(笑)

森:あります?Wさん。

W:ない(笑)

森:笑。子どもはこういう風に育てたいとかあります?

W:そこはあんまりイメージが…幸せになってくれればいいな、ぐらい。

森:子どもの人生プランをすごい考えてる人っているじゃないですか。

W:とりあえず大学行くぐらいまではなんとかしようかって言ってるぐらい。あとはご自由にって。保険とかどうしようって思うけど。まあ現実的な話!って。

森:いろいろありますよね。教育ローンとかも。人生のステップをのぼっていく感じですよね。妊娠&出産。

W:なんか、ね。自分にもそんなことが起きるんだって思ったよ。

森:まじか!ってなります?

W:結婚するときも思ったけど。

森:笑。そうなんですか。これが婚姻届というやつか、みたいな感じですか。

W:現実感、薄いな、と思いながら(笑)

森:そんなもんなんですかね。

W:どうなんだろ。

森:どうなんでしょうね。旦那ちゃんは、子どもができて変りました?

W:…忍耐強くなってった(かな)?

森:でも、もともとやさしそうな。

W:うん、やさしい。今日も「ごゆっくり」ってメールくれた。

森:旦那ちゃん(笑)

W:今日はこっそり飲んでそうだけど。

森:笑。

W:たぶん、私がやっぱりちょっといらいらすることが多かったりしたので。

森:Wさんがですか?

W:きー!(って)

森:へー!めったに怒らなさそうなのに、Wさん。

W:やっぱりなんかホルモンの関係ですかね。よくまあ辛抱してくれてるなあと思ったり。

森:そういうのって(いらいらする)時期とかあるんですか?

W:(妊娠中より)産後のほうがひどいらしい。こわっ。

森:そうなのか。ホルモンおっかないですね。

W:でも旦那はそんなに変んないかも。

森:Wさんは妊娠して何が一番変りました?

W:…なんだろう?

森:特には(ない)って感じですか。

W:いらいらするようになったのは確かだけど、今はもう落ち着いた感じがする。一時期はすごい(いらいらしてたけど)。

森:男の人ってどんな感じなんですかね。自分の子どもができるって。女の人とはまた違いますよね。

W:そう、実感ないもんね。

森:ですよね。え?いるの?って感じですよね。

W:それこそどっきり。

森:笑。(赤ちゃんが)出てきたらもっとどっきりですね。

W:どっきりだよ、もう。

森:出たー!って。(出産には)立ち会うんですっけ、旦那ちゃん。

W:そう、いまんとこ結局立ち会うことになってます。(頭のほうを指して)こっち側でね(笑)

森:笑。

W:(出産は)どんなんなんだろうね。おっかない。

森:(おなかのなかの赤ちゃんの)意思を感じるときとかあります?

W:…なんか勝手に動いてんなーとは思う(笑)
  頭が下でよくこの人は血がのぼんないなーとかも思う。

森:笑。

W:あと、自分の親がよく3人も産んでくれたなーと思う。
  きっとこれからのが大変なんでしょうけどね、生まれてからのほうが。

森:なんかその先の長さを考えると、子どもを産むっておっかないってすごい思うんですよね。

W:子ども産んだ人って、なんかたくましい顔になるというか、なんか変る気がしていて。姉とか友達とか見てても。自分もああなるのかなと。なんか腹が据わっているというか。

森:母は強しってなりますかね。

W:なんか「母」って独特のふてぶてしさがあるよね。

森:たしかに。なんですかね、あれは。

W:やっぱり「娘」ではないよね。

森:そうですね。「母」ですよね。Wさんも「母」になるのかー

W:ね。もはやもう図太くなってんのかなーと思う。


ひさびさに会うWさんは、見た目はいよいよ「妊婦さん」になっていましたが、中身は変らずそのままでした。WさんはWさんのままで変ってないですよーと思ったところで、その2へと続きます。妊娠は当事者になってみても不思議な感じなんだなぁ。
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by moriko_2011 | 2012-07-21 23:33 | 04_会社の先輩・Wさん

【大学の友人で画家・池口友理】【1年目】 イケグチワールドについて聞いてみる(3/3)

森:働きながら制作活動してんじゃん?ゆりちゃんも。
  制作一本にしたい!とか思うことはないの?

ゆ:思う!

森:笑。

ゆ:今、(大学の)事務してるんやけど。
  事務って、たぶんできる人にはなんでもないことなんだけど、
  わたしにはそのなんでもない部分が
  すごいむずかしいと思うの。
  だから、わたしやりたくなーいってなる。

森:笑。

ゆ:なんか普通の人が簡単にやってる、
  外とかお店とかで見てると
  普通にやってるなって部分が
  わたしはすごい苦手なんよ。

森:うん。

ゆ:なんかこう、先生に笑顔でおしゃべりして、
  ちゃんと予定を調整して「何時に来てくださいね」っていうのを
  すごい自然に伝えられる人っているやん。
  自分じゃない人はわりと普通にやってるなと思う。
  けど、わたしがやると
  先生に、ストイックに「15時に来てください!」っていう。

森:笑。ストイックに。

ゆ:「あ、あの、わたしはあなたが15時に来てくれないと困るんです!」
  みたいなオーラを出してお願いしちゃったりとかして、
  なんかどうにかならないかなーと思うけど、
  緊張するのもあるし、あんまそういうのが向いてなくて。
  こう伝えなきゃいけないっていう情報があったら
  もうそれにまっしぐらになっちゃう。

森:ずーんって(突き進む感じ)。

ゆ:「お願いします!」みたいな。
  あの感じがたぶん向いてないなって思っちゃう。
  さわやかじゃないわーって思って。
  (PC入力みたいな)事務作業は嫌いじゃないしできるんだけど、
  おしゃべりするほうの事務作業のほうが。なんかあんまり。

森:うん。

ゆ:「製図室に忘れ物したので鍵開けてください」って言われたときに
 「あ、忘れ物したのー待ってねー」みたいなさわやかな事務員もいるはずなのに、
 「あ。忘れ物をしたんですか(キリッ)。では、鍵を開けますので(キリッ)」ってなんかカタイ。
  なんかわかっててもできないっていうか。わたしかなりカタイ事務員だなと。

森:事務員ゆりちゃんを超見に行きたい。

ゆ:いやもうねえ、「しゃべりたくもないし」っていうぐらいの
  変なオーラが出てる。仕事っていう意識があるから
  ちゃんとしなきゃっていうのがあって、それが悪い方向にいってて(笑)

森:笑。

ゆ:ふだん家で「鍵貸してー」って言われたら
  「あ、どうぞー」とか言ってさわやかに鍵貸せるのに、
  学校でそれがあると「はい(キリッ)」って。
  めっちゃやな感じの事務員になる。なんかね、あれ向いてないわ。

森:かしこまりましたー!みたいな感じ。

ゆ:仕事っていう切り替えをやりすぎてるのか、
  仕事がいやだっていうのがもうあるのか、
  なんか全然自信も持てないし、やってて苦痛しかない(笑)

森:笑。

ゆ:たぶんけっこうあがり性。
  友達だといいけど、目上のひととかにしゃべりかけられると尋問みたいになる。
  なんだろうね。敬語がうまくないからかな。
  なんかもうかたまっちゃって、みんながハッピーじゃない。

森:仕事はさ、お金をもらうため(にしてる)って感じ?

ゆ:今(の大学事務の仕事)は流れに自然にのった感じで。
 「ならしてください!」って感じでなったわけじゃなくて。
 (4月からの進路が決まってなかった卒業間近に)
  Y先生から「事務員さがしているんだけど、どう?」って
  声かけてもらって、「あ、やりますやります」って感じで、
  面接して、ぱーって入っちゃったから、
  なんかすごい変な…

森:変な感じ?

ゆ:「お金のため(に仕事)!」って感じでもないし。
  「あ、来ました。今日も(大学に)来ました!」みたいな感じ。

森:笑。今日も来ました。ちょっと苦痛だけどって?

ゆ:「今日もやってきました。来るのが仕事ですよね」みたいな。
  なんか、学生のときにアルバイトしてたときとも
  またちょっと感覚が違うっていうか。
  「毎日行くところがあってよかった」って感じで行ってるのかな。
  だからお金がゼロ円になっても気がつかずに行ってる感じ。

森:笑。

ゆ:やってる仕事も先生たちのサポートていうか、
  先生に関係ある仕事が、ゼミ生だったら無料で手伝いますよみたいな仕事が多いから、
  先生への愛だけで(無償で仕事を)やれるかもしれない。

森:なるほどね。

ゆ:だから全然そんなには仕事してるって感じはしてないんだけど、
  なんかね、微妙な感じ。

森:話は戻るけどさ、テーマ審査の発表のときとか
  話はうまくまとまった?

ゆ:うん。うんっていうか、もうがちがちに
  何分でしゃべるっていう文章をもう全部決めて、読んだ。

森:読んだ(笑)

ゆ:(審査する先生たちの)顔を見ずに、
  紙をこう(顔の正面に持って)ずっと読んで、
  ぷちってPCをクリックしてまた読んでってやったから失敗とかはないけど。

森:うん(笑)

ゆ:その文章も、10回はいかないかもしれないけど、
  5回ぐらいはゼミの先生に、一週間ぐらいまえから見てもらってたから。
  てにをはの細かいとこから漢字の間違いまで全部。

森:これをあとは読むだけだーって(状態でプレゼン)。

ゆ:間違いはないから。
  だからそんなには苦労してないっていうか。

森:さっきゆりちゃんがさ、
 「説明すれば説明するほどださくなるんじゃないか」
  みたいなことを言ってたじゃん。

ゆ:言った(笑)

森:わたしはけっこう言葉で考えるタイプなの。
  デザインも、ヒポ(←趣味で続けているクレイアニメーション制作活動のこと)で
  こういうのつくりたいっていうのにしても。
  どこがどうおもしろいのかっていうのを
  一番最初に言葉でぎゅっと凝縮してからつくりはじめるタイプで。
  もちろん直感的にこれ!ってときもあるんだけど、その場合もいったん言葉にする。
  そうするとアウトプットとして目指すものが、まるっとカタチを現す感じがしてるから
  そういうやり方なんだけど、(ゆりちゃんは)それはない?
  言葉にはしたくない、(この段階では)まだ出さんぞ、みたいな感じ?

ゆ:いや、なんか、言葉にならないっていうか、
 「黄色いいじゃん!」みたいな。「あたし黄色好き!」みたいな。
  なぜ黄色が好きかとかって言い出したら、
 「それうそじゃない?今つくったんじゃない?」みたいな風になりそうなぐらい
  危ういことを言ってることが多いから、

森:うん。

ゆ:だから、なんか説明するの好きじゃないっていうか、
  言えば言うほど自分が自信がなくなってくるというか
 「本当に黄色好きだったかな?」みたいな。

森:ああ。

ゆ:なんかあんまちゃんとしてないっていうか。
  今は家を、住宅の絵を描いてることが多いんだけど、
  それも「住宅、いいな!と思って」ってので描いてて、
  それをすごいつっこまれると、「うーん…わかんない」ってなっちゃう。
 「なんで今住宅か」とか「どっから住宅が来たの?」とか言われても、
 「うーん、なんか住宅がいいと思って」みたいな。

森:うん。

ゆ:なんかすごい危ないっていうか、
  気がついたら(絵の)テーマにしていることとかが多過ぎて、
  言葉にし出すとそっちが作品になっちゃうぐらい考えこまないと
  文章が出てこないっていうか。

森:うん(笑)なんかさ、描く理由は、
  好きだからとか今住宅が描きたくなったからだと思うんだけど、
  なんか描きたくなったきっかけみたいなのってある…と思うんだよね。
  おそらく。すごくふっとしたきっかけだと思うんだけど。
  あるときこんな家を見た、とか。それがすごい昔とかでも最近とかでも。

ゆ:ああ。

森:それがたぶんずっと残ってて、
  今になって描きたくなったとかじゃないかなと(勝手に)思うんだけど。

ゆ:たぶんね、その辺をね、すっ飛ばしてっていうか忘れちゃうから、
  とたん「いいよね!」みたいな(笑)
  なんかね、すごいすっ飛ばしちゃってて、
  忘れちゃってることが多いのかな。なんでかとかは思い出せなくて。

森:でもゆりちゃんの場合は、なんでかは伝えなくても
  作品でそんだけがっと伝えられちゃうから(言葉はなくても)いい気はする(笑)

ゆ:今、いろんな家をいっぱい描いてて。
  それとかも(なんで描いてるかとか)いろいろ質問される。
  一緒に住んでる子にもいろいろ聞かれたりして。
 「うーん…(困)その質問には答えたくありません」みたいな(感じになる)。

森:そうかー(笑)

ゆ:なんかしゃべれるといいなと(思う)。絵を見る方もとっかかりが。
  (言葉がないのは)見る方に親切じゃないかとは思うけど、出てこないんだよね(笑)
  だから卒制みたいに、(作品について)しゃべることが(前提として)決まってたらがんばるかな。

森:うん。

ゆ:でも、卒制はけっこう早い段階から(テーマとかを)文章にしないといけなかったから、
  記録として何考えてたかが残ってて最後までいけたけど。
  今やってるのとか最初から書いてないから
  だんだんもう自分のなかで、むちゃくちゃになって
  なにがなんだかわかんないけどこうなりましたみたいな。
  だから卒制とかはいいかもね。勉強になるかも。

森:うん(笑)勉強にはなった。

ゆ:先生とかに「何するの?何するか書いておいで」って言われて、
  最初っからね、ちゃんと記録が残ってて、
  最終(的につくったもの)と全然違うものを最初言ってたっていう事実もちゃんと残ってて、
  次考えるときにここ(そういう事実とか)がまたね、役に立ったりとかね、あれはよかったね。
  これからもなんか記録するといいかもね。

森:かもね。自分の考えがたどれる記録が残ってるといいなというのもあって
  これ(このインタビュー企画)をやってんだけどね。

ゆ:あ!そんなんすか。

森:でもね、そんなにね、大それたことじゃなくて、
  こう会って話しててもさけっこうそれっきりになっちゃうじゃん。

ゆ:ああ。

森:それを記録として定期的に残していくと、
 「あ、こういう風に考え方が変化してったんだな」とか
 「こういうとこは変んないんだな」とかさ。

ゆ:あるよね。

森:あるよね(笑)

ゆ:あ、来年も(インタビューが)あるんやっけ?

森:来年もあるよ。よろしく。

ゆ:来年はもう「事務楽しー」みたいな。
 「事務天職だわ」とか言って。

森:笑。

ゆ:言ってるかなー

森:さわやかに言ってるかもよ(笑)

ゆ:言ってるかもしれん。
  そうか、(記録が)残っちゃうのか。

森:そう、でもゆるい感じで残すから大丈夫。

天才肌なので、感性でどーん!みたいな発言が飛び出すのかと思いきや、
ゆりちゃんはけっこう賢く謙虚で普通でした。
わたしにとっての彼女の絵の魅力が、インタビュー前後で少し変ったような気がします。

と、こんな感じで残してみたけど、いかがかしら、ゆりちゃん?
じっくり話せてとても楽しかったです。次回もまたよろしくです!
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by moriko_2011 | 2012-06-16 08:28 | 03_画家・ゆりちゃん

【大学の友人で画家・池口友理】【1年目】 イケグチワールドについて聞いてみる(2/3)

森:なんかゆりちゃんはけっこうもう
  自分のスタイルみたいなのがあるじゃん?絵に。

ゆ:あるかなーわかんない。あるかなー

森:(自分のスタイルがあるかないか)そこは自分では謎なとこ?

ゆ:スタイルっていうか。なに描いても
  自分が描いたってばれる絵になるなーとは思ってるよ。

森:笑。

ゆ:ばれるわこれはって。

森:イケグチが描いたぞって(ばれる)。

ゆ:器用じゃないっていうか。
  デザイナーとかイラストレーターの方がもっと器用に(描きわけられる)。
  今日はロシア風みたいな。

森:笑。

ゆ:ないか!ロシア風とか(いうテイストは)ないかもしんないけど。

森:あると思う。

ゆ:あるよね。ロシア風とかヨーロッパ風とか描けるかもしれないけど、
  なんか、わたしは、何描いても

森:イケグチ風?

ゆ:なんかこう残っちゃうというか。

森:残っちゃう(笑)

ゆ:器用じゃないと思う。なんか…出ちゃう。

森:(対象への)ほとばしる愛が(笑)

ゆ:笑。そう、愛が。愛であふれとる。

森:ふーむ。

ゆ:まあ、みんなそういうとこあるだろうけどね。

森:そうだね。なんとなくね、テイストが残るというか。
  学校で勉強してたのはデザインだったじゃん?
  それと絵を描くことってさ、同じ感じ?全然違う感じ?

ゆ:全然違うと思う。
  なんか、学校は、もう、2回生ぐらいで、こら違うなと思った。

森:笑。そうなの?

ゆ:わたしこのまま進んでいく自信がないなと思って。
  だんだん課題も難しくなってくるし、もうついてけないと思って、
  とりあえず日本脱出!と思って留学して。

森:うんうん。

ゆ:で、(留学から)帰ってきて、まあ、嫌なりに課題は(やった)。

森:嫌なりに(笑)

ゆ:いや、なんかもうホテルのCI(コーポレートアイデンティティ)とかいう課題とかあって。

森:うん、あったねあったね。

各自で対象となるホテルを設定して(架空のものでも実在のものでも可)、そのホテルのCI(コーポレートアイデンティティ)/VI(ヴィジュアルアイデンティティ)を定義し、アイテムなどを一式デザインするという課題が、大学3回生のときにありました。ロゴやパンフレット、ポスター、アクセサリ類のパッケージやホテルの公式アイテム、館内のピクトグラムなど、何をどこまでつくりこむかも自由だった気がします。わたしも、正直この課題の作品は過去の汚点で封印しておきたい感じです(笑)今やったら全然違うんだけどな。

ゆ:もう、なになに?って感じで。どうしよう?みたいな感じ。
  で、まあ(3回生からゼミが始まるから)研究室に入ったんやけど。
  ゼミの先生にいろいろ教えてもらって。

森:うんうん。

ゆ:ホテルのCIも自分のやりたいようにやれるように(先生に)
  アドバイスしてもらったりとかして。っていうのが、こう、3回生。
  3回生はまあなんなく(課題も)こなしたわけですよ。

森:(デザインの課題をやるのが)無理と思いながらも。

ゆ:で、4回生が(課題はほぼなくて)卒制だから、自由にやっていいじゃん。
  やりたいようにやろう!デザインとかちょっともう忘れよう(と思って)。

森:なんだコンセプトとかって。そんなん知らないって。

ゆ:そうそう。やりたいようにやろうと思ってやってたら、
  (卒業制作には)テーマ審査、中間審査と審査があって、
  しゃべんなきゃいけないじゃん。

大学4回生は、ほぼ卒業制作に費やします。何をやっても自由なのですが、ただ創作活動をすればよいのではなく、これまで学んできた「デザイン」が根幹にあることが前提条件となっています。課題(テーマ)を抽出して、それに対する答えを検証して、最終的なアウトプット(制作物なり論文なりカタチは自由)を出すこと。最終的な制作物の完成度ももちろんですが、テーマ設定とアウトプットにいたるまでのプロセスが重要になります。そのため(というか最終的にぐだぐだなものを提出することにならないように)、卒業制作には最終審査だけでなく、テーマ審査、中間審査と三段階のプレゼンが設定されています。

森:うんうん。

ゆ:あれが、すっごい嫌で。

森:笑。

ゆ:やりたいようにやってんのに
  なんでわたしは説明しなきゃいけないの、とか
  説明すればするほどダサくなるんじゃないかと思って、
  やだわーと思ってたけど。

森:うんうん。

ゆ:それもまあゼミの先生のアドバイスというか、
 「やると決めたんだからやりなさいよ」という。

森:おおー

ゆ:「夜間(コースで卒業に必須じゃないの)だから
  (卒業制作を)やらないってのも手だよ」っていうのは先生に言われてて。

森:そっか、そうだよね。

ゆりちゃんは夜間コースに在籍していました。昼間コースは、卒業するのに卒業制作の単位が必須ですが、夜間コースは必須ではありません。なので、卒業制作をやってもやらなくてもどちらでも卒業できるのですが、ほとんどの子がやっていた気がします。

ゆ:うん。「いや、でもやりまーす」とか言って。
  言ったわりにはすごいいやがってるっていう。

森:(制作はいいけど)審査が苦痛って。

ゆ:そうそう。そんなんで「やると決めたらやりなさい」という厳しい指導のもと。

森:おお(厳しい指導が)!

ゆ:で、(卒業制作を)やったら、もういろんなことがふっきれちゃって。
  もうデザイナーじゃないわ、わたしは。どうしようと。
  で、今(の画家活動)にいたると。

森:それは卒制の…制作途中で(ふっきれたの)?

ゆ:うん。制作してるときもめちゃくちゃおもしろかったし。

森:うんうん。

ゆ:なんかもう、なに?デザインしてるときは
  もう不安でしょうがないというか。

森:笑。

ゆ:(デザイン課題のときは)週一回の草案チェックが、もう、
  わたしこれでいいのか?と、なんの自信もないというか。
  (卒制のときは)そういうのがなんか無かったから。
  もう、こりゃ楽しいわって。

森:テーマ審査が夏とかだっけ?

ゆ:うん、7月じゃないかな。

森:その段階では、構想というか企画はもう固まってた感じ?

ゆりちゃんの卒業制作の作品は、ベースとなるキリンの絵を一枚描いて、それを100枚模写し、画像加工のソフトでそれらをすべて重ね合わせるというものでした。同じモノを同じように描いているはずなのに一枚として全く同じには描けない。人間の手作業のあいまいさやブレを可視化してみせる。重ね合わせた加工後のキリンの絵はなんとも不思議な雰囲気を放っていたし、一緒に展示されている実際の100枚のキリンの絵はなかなか圧巻でした。こちらでご覧いただけますよ。→ http://ikeguchiyuri.com/works/kirin/index.html

ゆ:うん。同じものをいっぱいつくるっていうのは決まってて。
  そんときはでも5種類ぐらい。
  キリンの絵と自画像もいっぱい描くぞーみたいな。
  あと陶芸でつくったオブジェもいっぱい作るぞーみたいな。

森:立体もあったんだ。

ゆ:すごいいろんなことをいっぱいやるっていうテーマで出してたけど、
  中間審査で、いや、もうこれは時間がないって。

森:笑。

ゆ:こんなにやってたらどれもがいっぱいじゃなくなるってなって、
  で、キリン(の絵)にしぼって。
  しかも、本当はキリンじゃなくて、
  動物園の動物(の絵)を全部やるみたいなことを考えてたのに、
  けっきょくキリンしか(作品にはならなかった)。

森:キリン一点で。

ゆ:もうちょっと莫大な計画が収縮した。

森:いやいや、(作品が)研ぎすまされたんだよ(笑)

ゆ:だから、どっかの審査で
 「なんであなた(が選んだモチーフ)はキリンなんだ?」って聞かれて。

森:なんて答えたの?

ゆ:「い、い、いやーキリン好きなんです」みたいな。
  「動物園にいる動物で一番輝いていたのがキリンです!」みたいな。
  うそじゃないけど。キリンから描いたのは、
  確かに動物園で一番輝いてたのがキリンだったから。

森:首も長いしね。

ゆ:カラフルだし。カラフル?

森:グラフィカルだよね、たしかに(笑)。

ゆ:そう。だから(当初の構想からは)だいぶ規模を縮小した感じなんですよ。
  なんか、なんだろう。(留学で卒業が一年ずれたから)
  3回生のときに、自分の元友達っていうか
  現友達っていうかみんなが卒制(を)やってて、
  それがけっこう刺激にはなった。
  わたしも次やんなきゃなんないんだなっていうのを
  3回生のときに自覚してたっていうか。

森:(卒業制作の作品は)一生の軸になるって言ってたしね。先生も。

ゆ:先輩が(卒業制作を)やってるのともまた違う目で見てたっていうか。
  元同級生っていうか、わたしもこの学年だったはずの子が
  (卒業制作を)すごいがんばってるのを見て、
 「あ、これはわたしもやらねばならん!」と(思った)。

森:やらねばならん!と。卒業するからには。

ゆ:そう、覚えてるよ!新聞広告の。笑いをなんとかっていう(←わたしの卒業制作の作品)

森:ありがとうございます。

ゆ:覚えてる。

森:あれは自分の(本当に好きなもの、興味のあるものが対象というか)原点かもって思うな。卒制は。
  なにやってもいいっていうとやっぱそういうとこに行き着くのかな。

ゆ:ねえ、自由だと自分が出るんだろうね。

森:うーん、そうだろうね。

ゆ:ホテルのCIとかはさ、ホテル好きじゃないと、
  何も出てこなくないか。そんなことないか。
  ホテル泊まった経験もまだ人生で4回ぐらいですけど
  みたいな人にはなかなかむずかしいと思うんだけど。

森:そうだね、うん。
  なんかさ、大学のときはさ、本当にデザインの基礎というか、
  浅くじゃないけど、広くいろんなことをって感じじゃん。
  社会に出て、こういうのはやったことがないとか
  そういうことがないからすごくよかったなとは思うけど。
  でも、社会に出て仕事をするとなると、わりと
  自分の得意分野で勝負していけるんだなっていうのが衝撃的だった。
  なんか、そんなにいろんな分野をやるもんでもないんだーって思いながら(仕事してる)。

ゆ:そうなのか。

森:わりと。やっぱ一人の人間ができる仕事って限られてんじゃん。

ゆ:笑。

森:苦手分野はそれが得意な人にまかせておけばいいだなと思った。

ゆ:なるほど。

森:でも知識として知っておいたほうがいいから、
  (どんな課題でも)一回は体験しておいてよかったなと思う。
  わたしもさ、プロダクトとかインテリアの課題とかもう全然興味がなくて。

ゆ:わかる。

森:でも、だからこそわたしがその昔つくったのは
  こういう作品なんだな、みたいなのがあったり。
  意外と(プロダクトやインテリアを得意とする人に)
  それがおもしろいねって言われたりすることもあるし。

ゆ:自分の得意分野に(むりやり)もってくる(からおもしろいものができる)。

森:そうそうそう(笑)
  うん、なんか振り返ってみればってのはけっこうあるな。

ゆ:そうか。

ちょっと長くなりましたが、
ゆりちゃんのターニングポイントについて聞いたこのあたりでその3へと続きます。
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by moriko_2011 | 2012-06-15 06:48 | 03_画家・ゆりちゃん

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