趣味の、長期ゆるゆるインタビュー企画です。 


by moriko_2011

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【会社の上司・M部長】【2年目】 突然ロン毛になった理由について聞いてみる(3/3)

森:関西に行って、「小娘、何しに来た?」って感じですよ。

M:お客さんと一回関係つくるまでがすごい大変じゃないの?大変っていうかつくれないよね?

森:うん。人にもよるかもしれないですけど、東京ってわりと「仕事は仕事」って一線ひくじゃないですか。お客さんによるのかもしれないですけど、関西だと初回の打ち合わせとかでも冗談とか言い合ったり。東京だったらけっこうお客さんと仲が良くならないと、そういうのってあんまりないじゃないですか。でもしょっぱなからこうどんどん行く感じに最初ドギマギしました。

M:ああ。だってそんなの慣れてんじゃないの?大学時代、京都にいたんだから。

森:でも実際に社会人として仕事の仕方を覚えたのは東京ですもん。基礎として染み付いてますよ、やっぱり。(半年経って関西での仕事に)少しは慣れてきたかなって感じです。

M:でもダメだよ。

森:え?何がですか?

M:「もう二度と戻ってくるな」って言って送り出したんだから、うちの部署には戻さないからね。

森:大丈夫ですよ!(笑)。どうにかやってますよ!でも、異動してから今まで温室な環境で大事に育ててもらったんだなーって思いました。

M:温室っていうか、森さんが配属される前に「新人は全員が育てるんだ。アドバイザーだけじゃない」って部のメンバー全員にメールしたんだよね。って。まあ、どこまで浸透してたかわかんないけど。まあでも、育て方はあまかったね。

森:そうですか?あまあま?

M:あまい!一度も泣いたことないだろ。

森:笑。私、部署のみなさんもですが、Mさんには本当に感謝してますよ。関西支店に行ってから特に感謝しました。異動させてもらったいきさつとかを後から聞いて。

M:感動秘話だからね(笑)。

森:あと、関西支店に行って営業と制作の兼務になって、再販案件とかで、あまり動いてくれない親会社の営業さんとかと仕事をして、あ、もちろんすごくデキル営業さんもいるんですけどね。女性はちゃんと(特に年上の)男性に動いてもらうように仕事しなきゃだめなんだなと思いましたよ。ちょっと反省しました。

M:ああ、それは別に男女問わずじゃない。みんながみんな同じじゃないからね。
女の人は比較的「営業は営業!みんな同じ力を持ってないのはおかしい!」って発想に行くんじゃないの。「あの人はダメだから一緒にしたくない」とかね。ある意味一緒に仕事したくない人もいるけど、

森:それでも一緒に仕事をせざるを得ない人もいますからね。

M:せざるを得ない人とどうつき合うかだよね。

森:だからうまいこと動いてもらえるように段取ったり準備したり…って小娘にこんなことを思われてるの相手も嫌だろうなって思いながら仕事してるんですけどね。意図が見えないようにがんばろうって。

M:おかしい仕事をする人はお客さんだって気づくんだよ。だからこっちがちょっとプラスαな仕事をすると、対比効果でもっとこっちを向いてくれる。それを利用したほうがいいと思うよ。自分の負担が増えるけど、このちょっとおかしい仕事をする人がいるから自分はプラスαで評価されてんのかなとか。なにこれ、俺、説教モードになってんのかな。大丈夫?

森:大丈夫ですよ(笑)。

M:そこがね、分かんない人は分かんないんだよね。そうするとお客さんにも好かれない、自社の営業とも確執が強まる。

森:営業さんとかがあまり動いてくれない人だとして、「こっから先はそっちの仕事でしょ!」ってわかってるんだったら、それができるように適当にお膳立てして引き渡したほうが、トータルでみると余分なエネルギーのロスがなくて楽じゃんと思います。こんなえらそうなことを言って、私、見えてないものがたくさんあるんでしょうけど。

M:最終的には、この人に認めてもらいたいっていうお客さんに認められることだと思うよ。すべてのお客さんに認められようなんて思わないしさ、なかには変なお客さんもいるじゃん。そういうお客さんはいかにケンカせずに手を切るかだよね。そういうのをさ、全員に学んでほしいんだよね、OJTで。うちの部の僻地にいた人たちはさ、同じお客さんとずーっとつき合ってきて、まったく免疫がついてないから、ちょっと面倒くさいお客さんがいるとしゅん…としちゃうんだよね。

森:ちょっと話が変わって、制作部隊のほうが余裕がある感じがするんですよ。営業と制作だと。制作のほうが、お客さんのことを考えて細かいところまで対応できるなって。営業のほうが上っ面っていうかあくまで窓口。
で、自分が営業を兼務になってみてですけど、営業のお客さんの対応件数からすると、正直細かいところまで行き届かないんですよ。私の能力の低さのせいもあるんでしょうけど。ここから先は制作部隊に任せてるし、しょうがないかって割り切る。制作の人を信頼する。ただ関西の場合は制作が社内にいなくてそれが協力会社さんになるんで、どうなのかなこの対応?って思いながら仕事をしてます。

M:ああ。

森:だって、うちの会社より制作会社の人のほうが完全に信頼されてる状態で仕事を引き継いで、すっごいやりにくいですよ! 今、ちょっとはマシになってきたのかなー?なってるといいなーって感じですけど、それも若いオネエチャンパワーがなかったらどうなってるんだろう、これ?って。

M:ああ、私がおばさんになったらみたいな感じね。

森:20代が終わるし若いオネエチャンパワーが効くのはあと2年ぐらい?みたいな。年を取る前にきちんと知識と力を身につけてって思ってますけど。

M:うん。それはね、一理あるね。保険の営業とかでもおばちゃんが来るとシャットアウトモードだけど、お姉さん的な人がくるとなんか話聞いてみようかってなるじゃん。

森:笑。私、若づくりはある程度しておこうと思いました。Mさんは今、お仕事としてはどんな感じなんですか。マネジメントですよね。自分が制作とかはもうしないですよね。

M:俺が制作はしないじゃん。俺が客に認められたいと思っても部下の人たちがそう思ってくらなかったら空回りだよね。今までの俺の上司がそうだったけど、過去の人脈とかでこのお客さんに認められたいからってやってても下がついていかないと、「あなたはいいけど、あなたの部下たちはいまいちだね」みたいなことを言われて恥をかかされて撃沈みたいな。俺もそうだよね、俺が認められたいと思って「(部下の)彼にまかせますから」って無理矢理連れて行っても、その人がのってくれないと、破談、むしろ逆効果だよね。

森:そういうMさんの仕事イズムは最近どうなんですか?部内にしっかり浸透中ですか?

M:ダメだね!全然部内に浸透してないね!

森:私が入社したころとかはけっこう全体に浸透してたっぽいですよね。

M:うん。あのころが俺の考え方とかが一番浸透してた。考え方っていうか…まあ無理矢理だけど。こう思うっていうことをちゃんと言ってたし、それを理解してくれるメンバーが集まってた気がする。その後、組織変更があって部長になったぐらいから…まあ、俺がいけないけどね。ちょっと(現場から)離れたんだよね。

森:あれ、なんだったんですか?Mさん、部長になって周りへの接し方が突然変わりましたよね。

M:「部長っていうのはどうしたらいいの?」っていう迷いがあって。「俺が全面に出てたらマネージャーは育たないよね」って。まあ、いろんな人の意見もあったりして、「出過ぎ!」みたいなことも言われ。

森:上の人からそんな意見があったんですか?

M:「キミがいなくなっても成り立つ組織をつくんなきゃいけません」みたいなことを上の先輩方から遠回しに言われて、少しこう手をひいたんだよね。権限委譲か。そう、「権限委譲」っていう言葉がキーワードとしてガツンときたんだけど、「権限委譲をもっとしろ」って言われて。で、し過ぎたね。極端だよね。

森:笑。

M:まあ、口出ししなかったよね。イラっときても。

森:不思議な感じでしたよね。

M:でしょ? 現場に、下に降りてこないみたいな。

森:フラストレーションたまってそうだなぁと思ってました(笑)。それまでは、けっこう実務的なところも含めてMさんの目が行き届いている感じだったので。

M:権限委譲するにあたって最初はイライラして当然だみたいな話はされたしさ、いかにそれを転がすかってことだけど、まあ、失敗したね。むずかしい。今、派遣社員も入れると部下が100人ぐらいいるんだよ。場所もまだ一部は点在してるし、本当にむずかしい。「特定の人と仲良くするのもいけないのかなー」とか思ったり。

森:それ、いつぞや言ってはりましたよね。突然、飲み会に出てくれなくなったり。

M:とはいえ、慣れたメンバーがコピー機のとことかで話しかけてくるとまあうれしくて、ぺらぺらぺらぺらしゃべっちゃうんだよ。

森:笑。

M:で、白い目を感じるんだよ。「なんだ、お前は子飼いの人たちにはやさしいのか」って。勝手な俺の被害妄想ね。悩むっていうか模索中だよね。どういうキャラでいったらいいのかなーって。

森:なんかそろそろ吹っ切れたのかと思ってました。

M:そんなことないよ!どんどん悩みは奥へ奥へ。僻地のメンバーが本社に集結することによって。どうしたらこういう人たちと融合できるのかなって、そういうことばっか考えてるよ。どうしたもんかね。キャラは悩ましいんだけどさ、でも仕事ってダメ出しされてなんぼじゃない?

森:まあ、うちの会社だと言ってくれる人自体あんまりいないですからね。

M:でしょ?俺はダメ出しされて学んできたよ。担当のころ、飲み会で主任の悪口を課長に言った訳よ。そしたら「直属上司の悪口をどうして俺の前で言うんだ!」みたいなことをさんざん言われて、ショックだったのね。話を聞いてほしくて言ったんだけど、今思うと、まあ言い方が悪かったかな。本当に話を聞いてほしかったら、ちゃんと場を用意して「我慢できません」ぐらいのことを言うべきだったのに、酔っぱらった勢いでただのグチをがーって言っちゃった。で、課長にきついことを言われてしゅん…となったけど、今は言われて本当によかったと思うしね。
なかにはマイナスのものもあるよ、俺が上司になったら絶対言わないってことを言われたこともあるし。でもそれは貴重だと思う。当時、大嫌いな上司がいっぱいいたんだけどさ(笑)、今思うとすごい感謝してるよね。「あなたがいたから、俺は同じ轍を踏んでない」みたいなさ。でも、もしあなたがいなかったら、俺も同じことを言ってたかもしれない。だから説教してくれる人をありがたく思えと。言われたそのときはイライラするかもしれないけど、長い目でみると、「あの人にあんなこと言われてよかったな」って思うよね。

森:言うのにもパワーがいりますしね。

M:もちろんもちろん。パワーがいるけど…いや、節操のない人はパワーなんかいらないよ。まったくそんなこと考えてない人は言いたい放題だよ。

森:でも私、あんまり会ったことがないですよ、そういう人。幸運なのかもしれないですけど。

M:幸運じゃないよ。今、やさしい人ばっかだよ。そこが森さんにとってプラスなのかマイナスなのかわかんない。

森:あ、関西に行ってからお客さんで1件ありましたけどね。

M:ああ、お客さんかもね。社内的には、パワハラとかいろんな背景があってさ。なかなかできないからね。

森:社内的には、自分はすごく気を使われてるなって思いますよ。

M:気を使ってるよ! 俺だって気を使ってるよ! 俺だってさ、「おい、森!」って思ったことが何百回あるか。

森:あるでしょうねー(笑)。

M:あるよ!(笑)。お前百年早いよ!みたいなこと普通に言ってたよね。だけど、そこは「これ時代かなー世代かなー」と思ってぐっと我慢して。

森:笑。

M:だけど、俺の上司とかもたぶん「時代だなー世代だなー」と思って言わなかったことがいっぱいあるんだろうなーと思う。それでも我慢できなかったことを言ってくれてたのかなとか。わかんないね。でも、言いたいことを言えるキャラをつくるっていうのはひとつテクニックだよね。俺は今、それができてないんだよね。

森:今はあんまり言わないキャラなんですか?(以前はけっこう言うことは言っていたような…)

M:言わない。部下が「すみません」って謝ってきても、「まあいいよ」って。言ってもせいぜい「繰り返さなきゃいいよ」って。

森:なんだか変わりましたね。

M:心の中では違うよ。そこはぐっとおさえて「まあ、次は気をつけましょう」って。
俺が本当にやりたいことはね、前のインタビューでも言ったけど、今のうちの会社でいうマネージャーだよね。

森:部長じゃなくて。

M:10人の部下で半期で1億円を売り上げようっていうグループが一番幸せ。

森:その規模って、一つの会社だった場合も成り立つんですか?

M:10人で1億円?たぶんそんな会社つぶれるよ!今のうちの会社のなかでそういうポジション。失敗もありつつ成功もありつつ文句も言いつつ言われつつの10人。固定メンバーじゃないよ、出入りはあるよ。送別会もやって歓迎会もやっての10人。それぐらいが一番いい。自分のやりたいことが一番できるよね。
役職がついて手を動かせないっていうジレンマに陥ると、手を動かしたい本当に優秀な人はたぶん転職していくんだろうね。だけどさ、家庭があるとかさ、あと何年はがんばんなきゃいけないみたいなのがあると「いやいや、そんなリスキーなことはしちゃいけない」って。

森:でも、Mさん、少し前に他社からのスカウトがあったんですよね?

M:スカウト?よく知ってるね。

森:だってMさんが自分で言ってはりましたよ(笑)。

M:その話した?あれなんでなんだろうね、それ以降ないけどね。「あなたのことを推薦してくれる人がいる」みたいな話だったかな。インチキくさいけど。実は俺、新入社員のころにも同じような話があったの。

森:へー!

M:会社入って1年目に。まあ当時バブルじゃん、どこの会社も人が欲しいんだよね。「あなたのことをすごく買ってくれてる人がいて、今の会社じゃ彼はもったいない、転職させたいって言ってるけどどうか?」みたいな電話がかかってきて、びっくりしてさ。当時、課長にその話をしたの。そしたら「お前、アホか?」と。「新入社員のペーペーのお前に誰が何を期待するんだ?」みたいなことをさんざん言われて、「少なくとも俺はお前にはまったく期待していない!期待してくれる人がいるんだったらいいんじゃないの、その話?」って言われて突き放されたのね。俺、深く考えずに軽く言っちゃったのね。世間の話題としてこんな電話があったって。そうしたらもう、こき下ろされたよね。「お前なんかいつだって辞めていい」って言われてさ。「ああ、そんな風に思ってたの?」って思ってすごい傷ついたけど、今思うとすごい感謝だよね。当たり前だよね。今思うとその電話はインチキだよね。

森:わかんないですよ。

M:真偽のほどはわかんないけどさ。「(自分を推薦してくれてる)その人誰ですか?」って聞いたんだけど、「いや、教えられない」って。俺ね、それ会話を全部録音したの。電話があった話を課長にしたとき、録音したのを聞かせたの。さんざん説教くらった後に「こういうしたたかなところはすごい。お前やるなぁ」みたいなこと言われた。

森:笑。

M:俺、本当いい先輩に恵まれたよね。そういう風に、さんざんこき下ろされてしゅん…となったところを救ってくれるみたいな人とか。当時は傷ついたけど、今思うとそんなこと言ってくれたことをすごい感謝してるよね。「人に恵まれてるなー」と思ったエピソードのひとつ。あ、今日ちょっといいこと言うけど、

森:笑。なんですか。

M:そういう思いをいかにするかだと思うよ。「俺はラッキーだわ、人に恵まれてる」そこじゃない?

森:そうですね。

M:幸せの基準は人によるけどね。俺は「この人に会えてよかった!」っていうのが何人いるかが基準の一つだよね。これ、書いといて!

森:今年の名言(笑)。

M:いい人悪い人含めてね。悪い人も含めてだよ。俺、こういうやつは絶対許せない!俺はこうはならない!みたいなのも含めて。

森:あります?そんなの。

M:あるよ!さっき言ったじゃん。俺の悪口ばっか言ってるやつとか(笑)。今はもうね、お互いの気持ちがわかって、お互い何も言わずいいポジションにいる。お互い思うところはあるけど、言わない。

森:Mさん(笑)。

M:俺は森さんに(仕事で)嫌な思いをもっとしてほしいんだよね。

森:なんでそんなにSなんですか(笑)。

M:むかついて眠れないぐらいの思いをもっともっとしてほしい。

森:人生経験ですしね。最後に、今の(ロン毛の)髪型、気に入ってます?

M:いや、短いほうがいい。これアスリートじゃないもんね、この髪型。

森:短髪のが絶対いいですよ!

M:たださ、おじさんはやっぱみんな(髪)短いよね。おじさんでロン毛はそうそういない。ロン毛がいたとしてもちゃらい。

森:うさんくさい!

M:そこを解決したいよね。いい年してロン毛なんだけどかっこいいみたいなところを目指してんだけど、佐藤浩市みたいな。

森:はい(笑)。

M:でも次のインタビューのときはたぶん短髪!


この日、ダイエット中と言いながらメンチカツを頼み、最後にポテトサラダと焼きそばをオーダーしていたMさんへのインタビュー中、私はずっと「短髪のが絶対いいですよ!」と繰り返していた気がします。

このインタビューの後、しばらくしてMさんはさわやか短髪姿に戻りました。そして、このインタビューを書き起こすまでの2年のあいだに、私ははじめて会社の仕事が嫌で泣きました。誰かに泣かされたというよりは、自分の仕事のありかたが嫌でみじめで泣きました。Mさんが期待していた社内の給湯室ではなく、大阪環状線の電車内で号泣です(笑)。この記事を書いている今は、それを乗り越えようとしている過渡期が続いている状態だと自分では思っています。

というわけで、3年目(2013年)のインタビューはすっ飛ばしてしまいましたが(申し訳ありません…)、無事に復活しましたのでひきつづきよろしくお願いします!
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by moriko_2011 | 2014-08-18 07:16 | 02_元上司のMさん

【会社の上司・M部長】【2年目】 突然ロン毛になった理由について聞いてみる(2/3)

M:こないださ、ふとしたことからAKBの映画を観たんだけど。いいよ、あれ。観な!泣ける。

森:笑。薦められた!

M:泣ける、あれは。俺はAKBをおっかけてはいないけど映画を観てね、見直した…まではいかないけど、これは歴史だなと思った。

森:甲子園に近いものがありますよね。10代のあの頃をすべて捧げるみたいな。

M:それ、いい例え。ドームコンサートのドキュメンタリー映画なんだけど、泣けるよー。今年一番泣いたね。秋元康がいいんだ、また。俺、秋元康に感動したのかな。すばらしいね、あの人。

森:ぼろ儲けですかね。

M:儲けてるのは儲けてるんだけど、やっぱり経営者とかリーダーとかいう視点で見るとすごいなと思って。うちの部が一番女性率が高いから参考にしなくちゃと思って。

森:笑。

M:本当に多いんだよ、他の部に比べると。そこがまた運営を難しくしてるとこのひとつなんだけど。

森:そうなんですか?

M:女の人はレールが見つかると一直線に走るからね。

森:シューンっと。

M:別に男女差別じゃないけど、そういう傾向があるね。

森:(そうなの?)Mさん、けっこうわりと(仕事において)女性は男性はって言わはりますよね。

M:言うね、俺ね。これ男女差別につながっちゃうのかもしれないけど。

森:そんなに違うもんなんですか。仕事してて。

M:男と女で全然違うね。

森:それは昔から感じていたのか、マネジメントするようになってから感じたのかどっちですか。

M:マネジメントするようになって感じた。女の人はむずかしい!

森:笑。そうなんですか。気分にムラがあるとか?

M:気分っていうか…よく話題になるのがさ、自分がその仕事好きかどうかでいろんなことを決めちゃうから。

森:男性は違うんですか。

M:(女性は)グループのためとか、リーダーとしてとかそういう視点が少ないかなって。全員が全員そうじゃないよ。

森:ふーん。

M:あと、相手が男だったら、なさけない仕事してると「お前、男のくせにみっともなくない?」とかふつうに言えるんだけど、女の人にはそんなこと絶対言えないじゃん。「あなた、こんな仕事の仕方してたら社会人としてみっともなくありませんか?」って心の中で思ってたとしても、(女性には)言えない。

森:えー!なんで。

M:それはパワハラだよね。すぐ通報されちゃいそうで。

森:(男性にもパワハラじゃ…そして「男のくせに」はセクハラじゃ…(笑))男性に言うんだったら女性にも言えばいいのに。

M:(女性だと)そういうこと言うと、力のある人でも機嫌を損ねてこちらの言うことを聞いてくれないとか。裏で女子会とかやって、俺の愚痴をふれまわるとか。そういう誰かの愚痴とか評価に影響を受ける人が多いよね、女の人は。芯のある人はいいけど。

森:女性は、自分なりの評価が確立されてない人が多いってことですか。

M:…(しばし、沈黙)

森:言葉を選んでいる(笑)。

M:言葉を選ぶと…俺は女子会が嫌いなんだよ!

森:笑。まあ、(私も含め)女子って年齢じゃないですしね。

M:前、「ああ、この部は終わったな」って思った瞬間があったんだよ。それは、ある人が中心になって女子会をやってるっていうのを聞いて。女子会が発展して、次に女子会に呼ばれる無難な男子、呼ばれない男子が出てきて、そこで俺は「ここの部署は終わった」と思った。「(仕事とは関係のない派閥っぽいものができてしまう)こういう感じになっちゃったのは、やっぱり俺、何かがいけなかったなー」って思ったね。

森:笑。そんなことがあったんですか。

M:うん。女性のパワーってね、いまだにどうしていいのかわかんない。全員が全員じゃないかもしんないけど、(女性は)表側は仲良くしてんだけど、実際はギスギスしてるみたいな。

森:うちの会社は女性のギスギスってそんなにないと思いますよ。

M:いや、あるある。あるんだって。

森:あるんですか。私はわかんないですけど。女性も群れずに個人プレーみたいな人が多いと思ってます。

M:個人プレーな中でも共同でやんなきゃいけないところがあるじゃん。そういうときにギスギスしてる。というか、女の人は基本個人プレーだよね。

森:いや、わかんないですけど。

M:女性の管理職が少ないのはそこなのかなって。表面上は合わせるけど、根本にグループのためとか、リーダーとしてとかそういう視点が少ない。どうですか?女性のマネージャーとかがいないのはなんでだろう?って。うちの会社だけじゃないよ、世間一般見てもそんなに多くないよね。

森:社会進出が遅かったからじゃないですか?

M:うーん、それだけかな。

森:あと、気分にムラが出るのはしょうがないでしょうね。

M:笑。気分にムラが出るのは男だってそうだよ。

森:でも、身体的にどうしても出てしまうじゃないですか。

M:それはしょうがないよ、わかるよ。男だってさ、二日酔いになったらさ、気分にムラが出るもん、次の日仕事できない。

森:いや、だって自分の意志とは関係なく月イチで定期的にやってくるんですよ、そんなのが。

M:そうだけど、それが理由でマネージャーになれないの?

森:原因の一つとしてあると思いますよ、気分のムラ。だって意味分かんなくないですか?ダーダー血を流しながら仕事するって。

M:まあ、でもよくできてるよね。不思議だよね。

森:会社行きたくないわー…ってなりますよ。女性の場合、気分にムラは自然現象としてどうしても出てしまうので、って何の話をしてんだって感じですね。

M:いや、この話、大事。最近の悩みのひとつはそれだもん。部下に女性がいっぱいいるけど、どうしようって。

森:だって(個人差はありますが)月の半分以上はだいたい気分悪いんですよ。

M:え、半分以上?!(笑)

森:(個人差はありますが)その前の1週間とかも本当に気分が悪いですし、真っ最中の1週間ぐらいは最悪だ!って感じですし、そうしたら、4週のうち半分。半分しか快適な状態がないんですよ。情緒不安定になるし、私は月の半分は自分のことを気がふれていると思ってます。

M:男だったら、昨日飲み過ぎちゃってさーって言えるけど、女の人は言えないもんね。女の人同士は言えるかもしれないけど。

森:そりゃあヒステリックにもなるわと思います。そんなイライラしてるときに、横で男の人がなめた仕事してたら余計にイラー!ってくるんじゃないですか。

M:それをね、(なめた仕事に関しては)はっきり言えばいいんだよ。男の場合はたぶん言うんだよ。で、ケンカになっちゃったりとかもするけど。女の人の場合は、言わずにためて、

森:まあ、あんまり言わないですね。通常モードだったら流せることかもしれないし、そういう状態で誰かに意見すると大抵ろくなことがない。

M:でも言わずにためるけど、言う場があればばーって言うし。名前は出さないけど、とある人が俺の悪口をもうあっちこっちで言ってるっていう情報を耳にして、

森:笑。

M:その人にメールしたの。「あなた、私の悪口をあっちこっちで言ってるみたいですが」

森:メールしたんですか!(笑)

M:「賛同できる人には言ってください。相手が賛同してないなと思ったら、相手も気分悪いだろうからやめたほうがいいですよ」みたいな。

森:それ、いつごろですか?

M:いつだろ?もうけっこう前だよ、1年とか2年前じゃない。そうしたら返事がきたよ。「部長という立場にありながらこのようなことをメールするのでしょうか」みたいな。

森:なんですか、そのバトル(笑)。

M:返事しようかと思ったけど、もう放っておいた。でもそれ以来ね、いろいろ周りに聞くと俺の悪口は言ってないらしい。

森:いやー、こわいこわい。

M:まあ、嫌なんだよ。陰でごちゃごちゃ言われるのが。そのメールにも「許せない部分があれば、直しますからはっきり言ってください」って書いた。

うーん、働く姿勢として、男性と女性で性質的に違うところがあるのかなぁ?小娘にはあまり実感がわかないなぁと思ったところで、その3へと続きます。
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by moriko_2011 | 2014-08-18 07:14 | 02_元上司のMさん

【会社の元上司・M部長】【2年目】 突然ロン毛になった理由について聞いてみる(1/3)

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M部長の1年目のインタビューはこちら。
「会社での出世について聞いてみる」
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コンプレックスのライブの話からはじまり、会社の仕事や出世のあれこれについて伺った元上司・M部長への1年目(2011)のインタビュー。あっという間に1年が経ち、2年目(2012)のインタビューです。

ということで私が関西に転勤になって半年ぐらい経った2012年8月のある日、新橋駅でM部長と待ち合わせると、さわやか短髪だったはずの部長はなぜか中途半端なロン毛で現れました。ひさびさの再会でテンションが上がったのと髪型への違和感で、今回のインタビューは新橋の飲み屋でひたすら飲みながらほぼロン毛へのつっこみで終わってしまった気がします!
(というわけで、またもや2年も寝かした記事をお届けします。すっかり熟成して発酵気味です…)


森:髪型変えたのはなにかきっかけがあったんですか?

M部長(以降、M):あー、だから、

森:イメチェン?

M:まず!これから俺は、髪の毛は、決して、増える方向にない!

森:笑。はい。

M:抜けるか白髪になるかどっちか!

森:はい。

M:って考えたときに、人生最後のロン毛に挑戦しようかなって思ったの。それがきっかけ。

森:人生最後のロン毛に!え、今までロン毛だった時期があるんですか。

M:あるある。10年ぐらい前はもっとすごい長かったよ。

森:えー、意外!でも短髪のが似合うって言われません?

M:…どうかなー。誰も何も言わない。

森:好みの問題かもしれないですけど。

M:ああ、そうだね。俺、(髪)短くしたときのほうがほめられるかもね。

森:うさんくさいですよ、Mさんのロン毛。(←大変失礼)

M:まあね、ちょっとチャラいよね。最初は「キムタクみたいにする」って言ったんだけど、

森:(美容師さんに)止められました?

M:「ちょっとやり過ぎじゃないの」って言われて、雑誌でサンプルを見せてもらって今の髪型に。これ、まだ伸ばしてる途中なんだけど。ちなみに次の髪型も決まってて、それ見せてあげる。(iPadでさらなるロン毛の写真を見せながら)これ、これで行くから。

森:攻めますねー。Wさん(←インタビューをさせてもらっている会社の先輩。デキル人で、Mさんの部下)が産休から復活したら絶対つっこみが入りますよ。

M:そういえばなんか、(産休中のWさんから)メール着たんだよ。「森さんのインタビュー記事を見ました。そしたら会社に行きたくなりました」みたいな。

森:へー!うれしいですね。

M:またさ、そのメール笑っちゃうんだよ!もう大爆笑だった、俺。「ひさびさにMのことを思い出しました。」って書いてあって。「さん」が抜けてて。

森:笑。

M:速攻で返事書いて、「なんだよ、呼び捨てかよ!」みたいなさ。そしたら「すみません、何度もチェックしたのにミスりました」みたいな(笑)。

森:業務からしばらく離れてるから(笑)って。

M:おもしろいんだよ。最初、すごい丁寧な文章で「ごぶさたしております、お元気ですか」って始まってるのに、いきなり呼び捨て(笑)。

森:Wさん、狙っているのかもしれない(笑)。

M:ちょっとさ、今日は何をテーマに話すんの?

森:今年は実は何にも決めてなくて。あまりに衝撃だったんで、もうとりあえず髪型の話題でいっかって今思ってたんですけど。Mさん、この1年で何か変わりました?

M:1年間で?それはちょっと2軒目で語ろうか。…1年で変わったかもね。

森:あっというまですね、1年。

2011年の夏~2012年の夏の1年で変わったことと言えば、2011年の12月にWさんが産休に入ったこと、2012年の1月に私が関西支店に異動になったこと、その後、拠点が点在していたMさんの部署のメンバーが本社のワンフロアにほぼ集結したこと、その他、人の入れ替えがこまごまあったことぐらいでしょうか。

M:いやー、俺ある意味ね、最近ちょっと病んでるかも。4月ぐらいからね、いろんな人に言われる。「Mさん、ちょっと病んでるかもしれない」って。

森:え、それは髪型…(がよくわからないことになっているから?)

M:笑。髪型の変化とともに。心境の変化があるからこれなんだろうね、うん。

森:はー。でも(業績の)数字的には絶好調なんじゃないですか。関西支店で端から見てるぶんにはですけど。

M:まあ、それは俺の経営手腕が…ってそんなんないんだけど(笑)。

森:笑。病んでるんですか?人知れず。

M:1年前はね、うちの部署はまだ拠点が点在してたんだよね。まあ、でも難しいねー。メンバーをごそっと本社に異動させてきたけど、人はかんたんに変わらないねー。

森:部署のメンバーが集結してどうなんですか?

M:俺は自分の目標をひとつクリアしたわけよ。僻地の閉ざされた職場でずっと同じお客さんと仕事してきた部署のメンバーを、本社に連れてくる。まあうちの本社も立地としては僻地だけど。

森:いちおう、東京23区内(笑)。もともと本社勤務のメンバーと異動メンバーがいますけど、部内で交流はけっこうあるんですか?

M:(さあて?という顔をしながら)まあ、みんな人に興味ないんだなと思うんだよ、見てて。わかんない。

森:ほう。

M:だから、「なんかおかしいな」って思いだしたのは本社のワンフロアに部署のメンバーが集結してからだよ。「なんかこの部はおかしいんじゃないか?」って思いだして。(業績の)数字はいいから誰も何も言ってこないけど。

森:(業績の)数字見てたら、完全にMさんの一人勝ちって感じですもんね。あ、そんな話すんなよって顔ですね。

M:そうなのかなー。

森:いろいろ実ってきてるんじゃないですか。

M:まあ…少しずつね、少しずつだけど、進歩はしてると思うよ。

森:髪の毛も少しずつ伸びて。

M:髪の毛も伸びて。数字をあげられる人たちが揃ってるっちゃあ揃ってるんだよね。でも「みんな本当に楽しいのかなぁ」とか「うちの部でよかったなぁとか思ってんのかなぁ」って。いや、たとえばね、森さんも知ってるような昔から一緒に仕事してたメンバーとはふつうに話すんだけど、それ以外の人たちはなんかこうほら…

森:殿!みたいな感じなんですか?

M:なんつーのかな、打ち解けないね。だから「俺、裸の王様なんじゃないか」ってときどき思うよね。

森:あれだけ数字を上げてたらそれはないんじゃないですか。

M:いや、なんだろ、その、人間的な部分でね。人間関係のおかしな感じがね、ずーっと違和感があって。俺も本社に来る前は僻地勤務だったんだけど、そこにいたころさ、すごい浮いてたの。

森:言ってはりましたね。部下とはわりと距離が(あった)って。

M:「この人たちとは仲良くできない」と思って、だから本社に来たんだよね。嫌で。で、その当時の印象があるんだと思う。当時からもう話もしなかったし。過去にそういう人間関係ができてる人たちがばーっと部下として再び来て、本社に集結して。

森:「変わったって言ってもね、あの人」みたいな。

M:…。1年越しで変わったことと言えば、自信が少しなくなったってことかな。

森:え?Mさんの(自信が)?

M:もうね、負のオーラにやられてる感じ。去年は「負のオーラなんかもうぶっつぶす!」ぐらいの気持ちでいたけど、負のオーラを払拭できない自分がいて、勢いだけじゃだめだってのを思い知らされることが何度もあって。

森:この1年で。

M:うん。どうしたらいいんだろう?って。若手ばっかだったらがんがん突っ走るけど、うちの部署のメンバーってみんなある程度年齢がいってて、俺より年上の人も少なくないし、負のオーラ社員が多いじゃん。

森:負のオーラ社員(笑)。

M:ワレ関せず社員、ぶら下がり社員、そんな人が多いからさ。俺が言ったことが響かないんだよね、たぶん。「なるほどね!」っていう人と、「何言ってんのばかじゃない?」っていう人と両極端に分かれてほしいんだけど、真ん中の人たちがあまりにも多過ぎるんだよね。

森:「あ、そう」って。

M:「あ、そう。で? 僕は年金もらって生きていきますけど、何か?」みたいな。本社に連れ出してきたけど、みんないい年だからさ、変わらないんだよね。

森:「変わるのもしんどいわー」って。

M:俺の話はいいんだけど、関西はどうなの?楽しい話しよう!

と、いきなりM部長の最近の悩みに体当たりしてはぐらかされてしまったところで、その2へと続きます。
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by moriko_2011 | 2014-08-18 07:11 | 02_元上司のMさん

【社会人の先輩・松永さん 】【1年目】 仕事やこれまでのキャリアについてざっくばらんに聞いてみる(3/3)

森:「こういう風に働きたいな」って思ったきっかけとかはあるんですか。

マ:こういう風にっていうのは今の(働き方)?

森:刷り込みかもしれないですけど、私からしたら松永さんは、はじめて見た「楽しそうに働いている社会人」なんですよ。

マ:笑。それはね、俺が(自分の好きなものに対して)打算で生きてるからだと思う。

森:ふーん。

マ:行き当たりばったりなの。好きなものはやっぱゆずれないのよね。ある意味社会人に向いてないと思う、本当に。だってふつうで考えたら、放送局からその下請け会社に入るなんてことはありえないわけだよね。

森:ああ、まあそうですね。

マ:そこの局の下請け会社ではなかったにせよ、でも、仕組みとしては下請け会社に転職するわけだから。でもわかったわけだよね、放送局に入って。「あ、ここで働いてても自分のやりたいことはできないぞ」って。

森:うん。(←私の場合はリサーチ不足なだけかもしれませんが、そもそも制作希望で入ったはずの会社がほぼ外注でモノをつくっていて、できてもディレクションぐらいというのはめずらしくないことで、悩ましいところだと思います)

マ:で、給料はたしかによかったんだけど、今はね経営者だからお金が大事って思うけど、当時は「そんなにお金って大事なのかなー」とかって思ってて。今から考えたら高い給料だったし、そんときもね思ってたの。「こりゃもらい過ぎじゃないの?たいした仕事してないのに」って。なんかそれが気に食わなかったのもあんのかな。その辺はもしかしたらスーパーロックKYOIのせいかもしれないんだけど。ロックが好きだったから。

森:どういうことですか(笑)。

マ:お金がいっぱい貯まっていくことにある意味ちょっとこわさもあったのかもね。転職したのって29歳のときで。30代って(それまでとは)なんか違う感じがしてたし、「もしかしたら人生そこで終わりかも、いつ死ぬかわかんない」とか考えてた時期で。で、しかもね、20世紀から21世紀に変わるタイミングだったの。2000年なの、俺が29歳のときって。

森:へー!2000年問題とかがあった2000年。

マ:そう、Y2Kとか言ってたもん。で、なんかそういうのも手伝ったんだろうね。あとはね、キー局の研修とかに行く度に、がっかりすることが多かったの。
当時はBSを開局させる直前で。そのキー局ってさ、何が弱いって全国ネットって言っても6局しかないわけ。「うちは全国ネットですよ」って言っても6局しかない。主要都市でも仙台とか広島とかでかい都市なのにないわけ。静岡もないでしょ、けっこう大きな都市なのにないの。そういうのをたぶんすごくマイナスに、ネガティブに考えてた放送局だから「BSができたらすごいことになる」ってキー局の人たちは思ってたわけ。「うちの局もようやく全国フルネットの時代が来るんだ!」と。

森:めでたく。

マ:そういうふうでさ、当時キー局の若い社員とかと飲みに行ったりすると「地方局なんていらないよねー」って。地方(名古屋)から来てんだよ、俺!(笑)。その俺を目の前に「地方局なんてもういらない時代なんだよね」って(笑)。「衛星から流せばいっぱつで全国に届くわけだから、もうそれでいいんだよ」と。「たしかにな」と思ったよ。「たしかにそうだ」と思った。
本音ではキー局はみんなそうしたいと思ってると思うよ。地方局にネット保証料とか払ってるわけよ、今。ネットワークを組んでもらうためのお金。

森:そんなのいらないじゃんって。

マ:そのお金もいらなくなる。だって(衛星)いっぱつで済むからね。みんな今思ってると思うよ、こんだけデジタルテレビが普及したら。特にテレ朝(笑)。

森:笑。

マ:そういうのも聞いてたから、「ああ、そっか。いつかは(中継局としての地方局は無くなるかもな)、たしかにな」って。で、もうインターネット時代も始まってたし。そう言われりゃ自分のいる名古屋の放送局ってのはほとんどローカル番組もなくて、ローカル番組やっててもむなしいのね。視聴率も低いし。ほとんど東京の番組中継、まあ、中継局だよねほとんど。
それだったら…俺が気になってたのが、そばでやってたFMラジオ局。ローカルで24時間生で放送やってるっていう。東京の番組がいっさい流れないっていう。今は流れてるけど、諸事情で。

森:諸事情で(笑)。

マ:でも、当時は24時間編成だったんだよね。しかも全部、生でね。夜中の3時4時であれ。で、「どんな風にやってんのかな?」って。テレビの感覚からしたらありえないんで、

森:24時間、生放送。

マ:「どんな風にやってんだろう?」ってすごい興味があって、あとはそのスーパーロックKYOI体験だよね(笑)。「音楽専門局って楽しそう!」って。で、そこの番組をつくってる制作会社に転職したの。

森:ふーん。

マ:それは見事、的中して。本当楽しかったね、あの時代。うん。
だって音楽聴くのが仕事だからね、選曲するのが。で、レコード会社さんからはリリース前のCDをいっぱいもらえるわけよ。誰よりも早く聴けるわけね、新作が。で、「これは音楽ファンにとってはたまんない。なんて向いてる仕事に就いたんだろう」って思ったんだけど(笑)。
転職した制作会社はね、わりとね、報道が強いの。というのは、社長が元文化放送の人なんだよね。文化放送ってものすごい骨のある報道を昔からやってて、新聞で言えば東京新聞に近い感覚の放送局。で、そこ出身の人だから、ラジオ局で担当した番組も朝のわりとニュースが多い番組。あと、ジェームス・ヘイブンス(名古屋で有名なDJ)を見いだしたのもその人。東京から連れてきたの、ZIP-FMの開局のときに。

森:へー。

マ:俺ね、いまだに忘れられないのが、面接で社長に「きみ、どんな番組やりたいんだ?」って言われて。インターネットでよくアメリカの(ラジオ)放送聴いてたんだけど、アメリカのFM局でもモーニングショーってトーク番組があるわけよ。メインのDJが二人いて、あとは交通情報の人、天気予報の人、ニュース読む人って5人ぐらいがみんなばーってしゃべってる。ただひたすら世間話をして、「それでは、ニュースお願いします、○○さん」みたいな感じでふってニュース読んで、「交通情報はどうなってんの?」みたいな感じで、それ以外の時間はずーっとしゃべってる。で、「ああいうにぎやかな番組を日本でやりたいです」って言ったら「それはね、InterFMっていう放送局が東京でやってんだよ。もう収集つかないことになってたよ」って(笑)。

森:笑。

マ:InterFMではアメリカのFMに近いベースでやってたんだけど、本当に無駄話で終わっちゃう番組だったんだって。収集つかなくなっちゃってて。(社長が)「あれもやったけど、ちょっと…むしろ…っていうよりさ、名古屋にはジェームス・ヘイブンスっていう人間がいるだろ?」って。「ああ、知ってますよ」って。「彼が交通情報センターにいるっていう設定はどうだ!」とか言われて(笑)。
番組のメインのDJはおもしろくなくていいんだって。ただ、あの番組はなんか交通情報だけは面白いぞ、と。「みんなで交通情報を楽しみにその時間を待ってるっていう、そういう番組はどうだ!」とか(社長に)言われて、「ついていきます!」って。そんなこと考えないもん、当時の俺。

森:交通情報だけおもしろい(笑)。

マ:「情報センターのジェームスです!」って出てきて。「交通情報っていう堅くなきゃいけないところにあの人がいるっていう設定はどうだ?」って。その発想自体、俺できなかったからね、当時。徹底的に叩き込まれたよね、「普通の番組はやるな」と。もう「逆を行け、逆を行け」ってね。「とにかく誰もやってないものをつくれ」って。徹底的に叩き込まれた6年間だった。

森:そこはなんで辞めたんですか?

マ:もう、給料減りそうだったから(笑)。

森:…ふーん。(そんなもん?)

マ:っていうのはウソで、テレビ局を辞めたあともね、そこのテレビ局が人が足りないって言ってね、バイトで仕事やってたの。転職した制作会社には内緒で。で、ローカルの生番組とかよくやってたのね。

森:へー(笑)。

マ:ひとつはそれがきっかけで。あるとき…「どまつり」(にっぽんど真ん中祭り)ってあるでしょ?

森:うん、愛知で。

マ:あれのテレビの生中継の現場ディレクターをやってたの。そしたら現場のPAをやってる人たちが実は、担当してるラジオ局のミキサーさんチームだったわけ。

森:笑。いろいろまずい。

マ:で、バレて、「あれ何やってるんですか、松永さん!」とか言われて。「いや、あの、ちょっと言われたからやってんだけど(笑)」みたいな。

森:(業界せまいから)もっと早くばれそうやのに。

マ:あと、テレビのバイトの給料があがってきちゃったのね、やりすぎて(笑)。こりゃまずいなってぐらいの金額になってきちゃった。最初はね、数万円だったんだけど。最後のほうはもうほぼ(制作会社の)給料に匹敵するぐらいまでやっちゃったからね、言われるがままに。
で、「ああ、やっぱりテレビもおもしろいよな」って思ったし。「こりゃちょっとまずいよな」と思ってたけど、最終的にバレたってのがきっかけのひとつ。

森:バレた(笑)。

マ:もうひとつはね、他のラジオ局でしゃべらせてもらう機会があったんだよね。当時、他のラジオ局のプロデューサーの人がね、兼アナウンサーなんだけど、

森:プロデューサー兼アナウンサー!

マ:ラジオってそんなもんだよ。

森:へー。

マ:その人が、4月から始める土曜日のワイド番組で、音楽コーナーを考えてたんだけど、コメンテーターの人が急遽「出られない」と言ってきたと。2週間前だよ、番組始まる。

森:笑。

マ:「松永さん、こういうコンセプトでできない?」と。「世界中の変な音楽を紹介するっていうコーナーをやってもらえないか」と言われて。「そりゃやりたいんだけど、普段別のラジオ局で仕事やってるから、どうかなぁ…」っていう(笑)。その人とは旧知のなかだよ。同じ大阪の豊中出身の人で、テレビ局時代から知ってた飲み仲間だったから。「俺もぜひやりたいんだけど、ただ周りがどう言うかってのはあるんで、ちょっと一回聞いてみるわ」って。で、担当してるラジオ局に相談したら、やっぱNG出たよね。「ライバル局にお前が」って。当時から俺、放送にも出ちゃってたからね、ADで。

森:出てましたね(笑)。

マ:「ダメ」って言われて。いちおう自分の制作会社の社長にも報告したの。「本当は俺としてはやりたいなって思うんですけど、こうこうこういう経緯があって、ちょっと(担当してるラジオ局の)あの人に怒られちゃったんで、そのことだけ報告しておきます」って。社長は「はあ?何言ってんだ!あいつ」って(笑)。

森:笑。

マ:「だからラジオがダメになっちゃうんだよ!」って言ってくれたの。

森:へー!

マ:で、その人を説き伏せたんだろうね。裏で何があったのか知らないけど、OKが出たの。担当してるラジオ局の(NGを出した)その人から。

森:いや、社長かっこいいですね。

マ:(社長に報告した)3日後ぐらいに「松永さん、ちょっといい?あれね、うちOK出たんで」って(笑)。「えー!」ってなって。

森:すごーい!

マ:でもそんときにね、ちょっと思ったんだ。「ああ、こりゃもうラジオの心の崩壊がはじまってるな」って。たしかにね、うちの社長の言うとおりで。「そういうことに文句を言うとかクレームをつけるとかいう問題じゃないだろ!」って。ラジオ全体でもう考えないと。

森:そもそも。

マ:もう当時からリスナー減ってたからね。「(他局の放送に出る出ないのの)こういうやりとりもイヤな感じだな」って。で、バレたのもあったし、いちおう俺を応援してくれたその制作会社とは、契約という形に切り替えて会社をつくったの。「テレビもラジオも両方しますよ」と。「これでようやくちゃんと公にできますよね」と(笑)。「両方やります」って言ったんだけど、ラジオはもうなくなっちゃった(笑)。

森:笑。

マ:だから、自分が会社つくるなんて思ってなかったよ。

森:でも、聞いてるとサクセスストーリーやなと思います。

マ:いやいや、サクセスかどうかわかんないよ。今、成功してるかどうかなんてわかんないからね。

森:うーん。

マ:このあと、破産宣告されるかもしれない(笑)。

森:笑。いや、でもそんだけ売れっ子ってことですからね、個人で。

マ:…すごく恵まれてたのはあると思う。たぶんいろんな人から「やって」って、「お前手伝えないの?」とかって言われて、ほいほい行ってた自分が(笑)。普通だったら行かないんだろうね。

森:「仕事でこういうところは大事にしよう」っていうのはあったりするんですか。いっかんして。

マ:「こういうのはやらない」ってのはあるよね。

森:ふーん!

マ:福島の事故の前の話だけど、原発がらみの番組は二回目以降はやらなかった。あと、むちゃくちゃ金額がよかったやつ。これはね、100万円を提示されて3分間ただ山とか川とかを撮ってくれっていう仕事があって(笑)。

森:そんな仕事があるんですか!笑

マ:「むちゃくちゃおいしいじゃん!」って。だってそんなん1日でできちゃう仕事なのに。3分間の映像。よくよく聞いたら、某新興宗教がスポンサーになる天気予報のバックで流れる映像。これはもう実態を知ったら「やっぱごめんなさい、それはちょっとない」って。いくらお金に困ってても、自分の信条にかぶらないとね。

森:逆にそこぐらいなんですか。

マ:かなぁ…

森:こだわりポイントというか。

マ:いや、これはやらないって意味ではもっといっぱいあるよ。あぶないものはやらないし、当然アダルトビデオもやらないし、そういうのはやらないけど。
俺、本当に飽きっぽいからいつも5年周期でやりたいことが変わるんだけど(笑)、

森:笑。うん…

マ:今の会社もようやく5年目に入って、今まだひきつづきやってられるのは、企業もののVP(Video Package)をやるようになったから。昔は「企業VPってどうなの?そういうのとか?」って思ってたんだけど、今は逆にそれがすごいおもしろくって。
まあ、お金も当然入ってくるからありがたいっていうのもあるんだけど、それ以上に、放送局のディレクターとして番組をつくってると、いつも常に第三者。ところが企業VPってもっと中に深く入っていくでしょう?機密事項もけっこう扱うのよ。それこそ大きな会社の社長さんの社内向けの新年あいさつとかさ(笑)。「ああ、そうだったんだ」とかいろいろ知るのよ。放送局の記者よりも絶対知る…んだね、取材先の本当の姿を。

森:うん、意図とか理念とか、

マ:とか、あるいは(会社の)状況だとか。「えー意外とみんな知らないんじゃない、こんなこと」って。「これだめよ、言っちゃ」って言われてるから言わないけど。だけど「そっか」と思って。一時期、ラジオやってたときに「お金が大事」と思った時期があって。自分の給料が減っていくって場面に直面したから。で、本気でなんでもない会社とかに転職しようとか思ってたの。メーカーとかに。

森:へー!意外!

マ:30いくつぐらいかな? 登録したことがあるのよ、(転職サイトとか)そういうところに。だけど、やっぱりしっくりこなかったのね。
自分のなかで今になってようやくわかったんだけど、企業VPをつくってて「この会社に入りたいな、ここだったら働きたい!」って思う会社が本当に少ないの。で、「今、自分はすごいめぐまれた仕事をしてるな」と思って。関係ないのに関係してるっていう変な関係じゃん。別にそこの業績に貢献もしないんだけど、そこの会社の奥深くのとこまでは知っちゃってるぞと。

森:うん。

マ:向こうもこちらを信頼してるからそこに入らせてくれるわけだよね。そういうほうが、たぶん放送局でジャーナリストをやるよりも真実がわかるというか、「そうか、この会社はこういう風に儲けてるんだよね」とか、あるいはそこで働いている人たちの気持ちとかもたまに出てきたりとか。
そういうのがすごいおもしろくなってきたってのはある。自分のポジションがより明確になってきた感じはすごいする。「俺は今こういうことをやんなきゃいけない」とか。

森:私がデザイナーをやりたいなって思ったのは、自分の知らない世界を知れるから。なので近いのかも。しかも、お客さんの情報発信の手伝いをするわけだから、ものごとの本質を見る、知れる。と、まだまだお話は続きそうですが、そろそろ時間なので今年のインタビューはこの辺で。

マ:はい。

森:お付き合いいただき、ありがとうございました。


インタビューのなかの松永少年や松永青年は、同級生にもいそうな「それなりに《俺の世界》がある男子」でした(笑)。社会人として尊敬する相手の、考え方や働き方に影響を与えた人・モノの話を聞くのは、なかなか楽しい時間でした。ありがとうございました!
(ご本人は普段取材する側だからか、記事を読んでつまんない話だなという感想でしたが、私は今まで断片的に聞いていた話がつながっておもしろかったです)

インタビューのはずが途中なぜか私の人生・制作活動相談も要所要所でけっこうな時間挿まれ、それに対してあいかわらず、結論としては「自分がおもしろいと思うものをつくったらいいよ」とスパッと言ってくれる存在は、まだまだ迷い続けるアラサーにとって、やはりありがたいものです。

さあ、飽きっぽい松永さんは企業VPにも飽き始めて次に行きそうな気もしますが、どうなっていくのでしょう。諸事情により2013年のインタビューは実施していませんが(申し訳ありません…)、ひきつづきよろしくお願いします!

《おまけの追記》
記事を書きながら、このインタビューをした2年前とは私自身もけっこう変わったなと思います。松永さんの制作者としてのとんとんなサクセスストーリーを、当時27歳の私はどこか嫉妬まじりに聞いていましたし(そして「おお、やっぱり彼も業界の人なのだな」と思った)、社会人として尊敬する彼と自分との共通点をどうにか見つけようと必死だったもようです。「知ることが好き」「飽きっぽい」「ゆるいけど打算的(←松永さんに大変失礼発言!)」以外は、共通点があまりないという事実を30歳直前の今はすんなりと受け入れられます。実際、今の私のキャリアからすると、仕事の話で身をもって共感できるのは最後の企業VPのくだりぐらいです(笑)。

世間知らずな小娘は「私が見えていないものも見ていて、考えられないことを考えられて、おもしろいものを自然とつくり続けられる強い&すごい人」という勝手な憧れを長らく松永さんに抱いていましたが、自分が社会に出て7年目ともなると、もちろん彼の能力の高さもあるけれど、それは経験に裏打ちされた部分も多く、悩みや葛藤がそれなりにある、という当たり前の事実もだんだんと見えてくるようになりました。時間が経つにつれ、妄想のような勝手な憧れが現実味を帯びた尊敬に変わってきたのは、よいことなのだと思います。
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by moriko_2011 | 2014-07-22 00:42 | 08_社会人の先輩・松永さん

【社会人の先輩・松永さん 】【1年目】 仕事やこれまでのキャリアについてざっくばらんに聞いてみる(2/3)

森:最初に「松永さんのお父さんってお仕事何してはったんですか」って聞いたのは、最初にふれる社会人って親かなと思って。

マ:うちの親はある意味特殊な人だよね。(航空管制官として)24時間体制で働いてて、当時は一番短いシフトだと4時間しか働かない。だからほとんど家にいる人なんだよね。

森:父親の仕事ぶりってそれによって「仕事ってこういうものなんや」って印象がつくというか、私自身はついたんですね。それはないですか。

マ:俺はあんまりなかったね。(父親の仕事は)もうまったく別世界。
俺、男3人兄弟なの。父親は自分自身はパイロットになりたかったけど、背が低くてなれなかったのね。今は引退してセスナは乗ってるけど(笑)。だから(息子のうちの)誰かはパイロットになってほしかったの。
ところが誰も(パイロットには)ならなかった。それ用の教育もしてたのよ。俺なんか長男だから「目は絶対、視力を落としちゃだめだ!寝る前に必ず遠くを見なさい」って。それがよかったけどね。今も目がいいし、いまだにコンタクトだとかメガネを使わずに済んでるから。

森:目がいいの、うらやましい。

マ:それとね、あと「英語を勉強しなさい」。で、俺、小6のときに短波ラジオって海外の放送が聴けるラジオを与えられたのね。ラジカセね。

森:へー。英語の勉強用にですか。

マ:そう、「英語を勉強しなさい。FENを聴きなさい」って。FENって81.0で東京でやってるけど。あ、今AFN(American Forces Network)か。当時は短波でも聴けたんだよね、全国で。で、それをよく聴いてて。テニス部だったんだけど、雨だったり冬だったりで土曜日の部活が早く終わると、家帰ってラジオ聴くのが楽しくてしょうがなくて。「アメリカンTOP40」っていう番組を土曜日の午後ずっと、4時間やってたわけよ。英語じゃなくて俺、音楽に行っちゃったんだよね、(英語の勉強用に)与えられたラジオで(笑)。

森:あれ?って(笑)。

マ:「あ、こんな楽しい世界があるんだ」って思って。だからずーっと音楽が好きで。名古屋のテレビ局に就職したんだけど、そこをあきらめられなくてラジオのFM局の制作会社に転職したの。
今、前いたテレビ局の野球中継の副音声で、野球とは全然関係なく2時間ひたすら音楽を流すってのをやってて。「ビートルズナイト」とかテーマを決めて。その選曲の仕事をやってるんだけど、そんなのも仕事になっちゃってるから、あのとき親父からもらったラジカセは非常に投資価値のある1台だった(笑)。

森:投資価値(笑)。

マ:(ラジオを聴き始めた)当時ね、すばらしいアメリカ人の投資家がいて。
日本の放送局が少な過ぎるって嘆いて、サイパン島から短波放送で24時間ロックを流し続ける放送をはじめるっていう、バカなすばらしい投資家(笑)。KYOI(キョイ 参考:http://www.ne.jp/asahi/kyoi/radio/)っていうコールサインで、日本の代理店もついて、コマーシャルは英語と日本語のやつが流れたのね。時報CMは日本のセイコー。基本英語の放送なのに、CMだけ日本語だったりするのよ、たまに。コカコーラとか。
「すごい斬新な放送局だなぁ」と思ってよく聴いてたのね。24時間ロック流すだけの放送局だよ、しゃべりもほぼなしで。なんかね、トリのキャラクターがあって、手紙を出すとそれのステッカーとか送ってくれたよ。名前もわかんないんだけど。家にあるよ、実家帰ったら。24時間ロック流すだけって日本のラジオ放送とは概念がまったく違う。

森:KYOI(キョイ)って何のことですか?

マ:コールサイン。無線局を識別するための符号で、電波を出している放送局には必ずそういうコールサインがあるの。日本で言うと、たとえばフジテレビはJOCX、大阪だと毎日放送はJOOR。昔は言ってたのね、「こちらは毎日放送です、JOOR」とか。

森:あの、一日の放送が終わるときとかに言ってはるやつ。

マ:そう。アメリカ、太平洋地区の場合はKではじまるの。

森:(KYOIの参考サイトを見ながら)「どうして廃局した」

マ:それたぶんWikipediaとかに載ってると思うんだけど、初日の放送で、セイコーの時報CMがずれてたんだよ、時間が(笑)。そういう放送事故、大事故が起きて。

森:ああ、書いてあります。「キョイは民放のラジオです。当然CMを流して収入を得ていました。しかし、時報装置の故障によって、開局した1982年末から時報が狂って送信してしまい、それに怒った服部セイコーが CMをうち切ってしまい、よって他のメーカーSONYなども下りて、ついには収入が全く無くなってしまいました。」笑。

マ:そうそう(笑)。そうなんだよ。

森:え、じゃあけっこう短命だったんですか。

マ:短命だったと思うよ、最終的にはニュース専門局になってたもん。

森:「1986年ころからは廃局してしまうので寄付して欲しいというアナウンスも流れましたが、」

マ:ああ、言ってた言ってた!「1000円封筒で送ってくれ」って言ってて。で、1000円送るとTシャツ送ってくれるの。

森:え?それ…(ほぼ寄付にならなくない?)

マ:当時としては販売だなぐらいに思ってたんだけど、それ寄付だったんだよね。

森:「思ったように好転しないまま、1988年あたり、一時「クリスチャンサイエンスモニター」という」

マ:そうそうそう。

森:「宗教放送に吸収され、」

マ:笑。クリスチャンってついてるけど別に宗教放送じゃないよ(笑)。アメリカで有名な新聞なんだよ、「クリスチャンサイエンスモニター」って。

森:へー。「「オールヒッツKYOI」と改めて、オールディーズも含めて時間限定で放送されていましたが、ついに1989年あたりに洋楽放送をうち切って、事実上キョイの廃局ということになりました。」

マ:そうそう、廃局しちゃったんだよね。幻の放送局だよね。当時TOP10っていう番組が日本にあったけど、ここは当時からTOP100。6時間かけて100曲流すっていう(笑)。当時中学生だった俺にとっては「すごい、なんて斬新な放送局だろう!」って。

森:衝撃のスーパーロックKYOI。

マ:いまでこそFMはZIP-FMとかあるけど、当時はFM愛知しかないでしょ、こっち(愛知)には。FM愛知は当時は、まあAMの音がいいやつぐらいの感じだったから。

森:へー。

マ:KYOIはノンストップでずっと音楽を流してて。ただ、周波数が時間によって変わるのね。短波放送の技術的な問題だと思うんだけど。高校野球みたいに「この後は何チャンネルでお届けします」みたいなアナウンスが入るのよ。

森:で、チャンネルを合わせて。

マ:そうそう、で、合わせるとまたきれいに音が入るっていう。番組はね、LAでつくってるのね。俺もサイパンって行ったことないけど、サイパンって意外と日本に近いじゃんね。そこに目をつけたその投資家ってのはなかなかのもんだなって。だから時報装置さえちゃんとしてれば、意外とうまくいってた可能性が(笑)。
KYOIの服部セイコーのCMは俺も覚えてるんだよね。ちょうど試験放送をやってたときにもらったんだよね短波ラジオを。すごく強力に入る電波だったの。すごい、もう地元の放送みたいにきれいに入るから、

森:聴いてみようって。

マ:で、雑誌とか見てもその名前ないの。まだ開局してないからね。
KYOIっていうのは本当に個人がつくった放送局だからか、あんまり日本の雑誌とかにも取り上げられてなかったけど、「すごい、なんてかっこいい放送局があるんだ!」って。今のZIP-FMのスタイルそのままなんだよね。あれのしゃべりが少ないバージョン。ずーっと音楽流してる。ひたすら。

森:そういうのって、昔はなかったんですね。

マ:うん、なかったなかった。日本であの手の放送局ができたのは、FMヨコハマが最初じゃないかな、1985年。それまでは、まあFENはあったけど、あそこもわりとしゃべりは多いからねえ。本当に音楽ばっかっていうのは、FMヨコハマが開局して、しばらく経ってJ-WAVEが開局して、じゃない?
名古屋も本当は免許がなかったの。当時のFM愛知はものすごく力のある放送局で、政治的に。絶対ライバル局は開局させないっていう方針だったんだけど、デザイン博(世界デザイン博覧会:名古屋市の市制100周年記念事業として1989年7月~11月開催)ってのがあってさ。そのときにCBCが臨時でイベントFMを開局させたの。当時のCBCの担当者がすごいおしゃれだったんだろうね。NYのFM局をそのままこっちに持ってこようって考えて、NYのFM局からBGMを入れるっていうスタイルで放送をやったのね。で、それがあまりに好評でFM愛知(の聴取率)を抜いちゃったの。イベントの放送局がだよ。

森:一時的な放送局やのに。

マ:だから閉局するときに、みんなが辞めるなってCBCにすごい電話したり投函したりしてて、それをまあCBCも報告したんだろうね、当時の郵政省に。「できればもうちょっとやりたいんですけど」的なことを言ったんじゃない? 営業的にも成り立ってたと思う。数字取れてるし。だけど、今はOKなんだけど、当時の日本の法律では放送局はひとつの電波しか持てなかったから。だからたぶん「ZIP-FMっていうのに新たに免許を与えましょう」って。CBCの、当時そのイベント局はFM DEPOって言ってたんだけど、そのスタッフも何人かZIP-FMの社員として入ってたもん。

森:ふーん。

マ:デザイン博って高校時代で、同級生とかも「あれ(FM DEPO)はかっこいい」とか言ってたよ。

森:松永さんは高校時代とかからそういう(ラジオ関係の)お仕事を考えてはったんですか。

マ:いや、考えてなかった。
当時、FMヨコハマのヘリコプターが墜落する事故があったの。当時はやっぱバブルだよね、1時間の番組なんだけど、「ヘリコプターからDJやってます」っていう体の番組で。

森:バブリーな!

マ:そう、バブリー。いろんなところを飛び回るから、当然、生中継なんて技術的にできない。でもそれはFMヨコハマにとってはかっこ悪い。たとえば「今、鎌倉上空を飛んでます」って言ってるのに、鎌倉でラジオを聴いてて「飛んでないじゃん」って思われるのがすごい嫌だったんだね。で、放送に合わせてFMヨコハマって書いたヘリコプターを飛ばしてたわけ。

森:わざわざ。へー。

マ:それが墜落する事故があって。で、二人亡くなったわけよ。そのとき新聞にFM業界の大変さみたいなのがばーっと出て、それを見たときに「ああ、すっごい安い賃金で働いてるな」とかいうのを知って「こういうとこ行っちゃいけないな!」って思ってた(笑)。

森:えっ…(笑)

マ:自分は(ラジオが)好きだからそういうところに行きたかったけど(笑)、そこの記事を読んで「ああ、こんな安い給料じゃできない…」って。当時、俺、名古屋空港でバイトしてたんだよね。高校生だけど、ちょっと働けば十数万円とか稼げてた。

森:え!どんだけバイトしてたんですか!

マ:そうとうやってたよ(笑)。

森:高校生で十数万稼ぐとか、ちょっと…(学業とかは大丈夫なのかしら)

マ:あ、夏休みとかだよ。航空博物館的な見学施設があって。そこのバイトをやってて。基本的にはチケットもぎり。暇でしょうがない仕事。友達に紹介されて行って。そういう風だったからさ、「(高校生のバイトの)俺とあんま給料変わんないじゃん、こりゃだめだ」と思って。

森:笑。

マ:で、当時、天安門事件ってのが起きて。1989年、高3のときだったんだけどね。それのね、NHK特集がすごいよかったんだよね。アメリカのソールズベリーっていうAP通信の記者がたまたま、NHK特集の別の企画で北京に取材に行ってたの。
で、そのときに事件が起きちゃったの。ソールズベリーさんっていう人は中国の政府寄りの人で、NHKにとっても都合のいい人だったわけだよね、今から考えると。で、中国政府からも信頼されてる人だったからいろいろ内部まで取材できる人だったの。
ところがその事件が起きて、「これは政府が間違ってるよ」っていう風な番組になったわけだよね。で、けっきょくNHKで6時間の長編ドキュメンタリーになって。

森:へー。

マ:もうおじいちゃんなんだよ、ソールズベリーさんはその当時80何歳とかで。もう今は亡くなっちゃったけど。「すごい、こんなかっこいい仕事があるんだなー」と思って、「ああ、新聞記者とかいいなー」って。憧れだよね。で、大学行ったら、たまたま友達が新聞社で働いてるっていうから、バイトで行って。整理部でバイトしてて、ところがね、あそこはね、訃報がいっぱい貼ってあるわけよ、社内の(笑)。

森:社内の!笑

マ:みんな短命なんだよね、意外と(笑)。

森:それは記者の人?

マ:ではなくて、記者の人も含めていろんな職種の人。複数貼られているわけよ。「そんなに亡くなるんだ」って。

森:ハードワーク?

マ:俺から見ててもハードワークだなとは思ってたわけよ。
バイトの場合は時間が決まってるから。だいたい俺は夕方職場に行って、当時はメールとか無いからさ、自転車で市内の各記者クラブをまわって原稿とフィルムを回収して、戻ったら18時ぐらいで。社食でカレーライスを食べて19時ぐらいに職場に戻って、そっから朝刊の一番早いのが終了する時間までっていう契約で。終わりの時間は決まってないの。まあ、だいたい24時過ぎ。で、整理部に俺のゼミの先輩がいたんだよね、今でも交流があるんだけど。当時いろいろ飲みに連れて行ってくれたりして、話を聞いたりいろいろ知るうちに「大変だな、この仕事。俺には無理だ」って思って。

森:笑。

マ:だってさ、親がさ、4時間しか働かないような日がある人だよ。24時間勤務だから残業っていう概念がないわけね、うちの親父なんかは。だから俺は「そんな長い時間働くの?そりゃ大変だ」って。今から考えたら本当なめた考え方だけど(笑)。で、けっきょく新聞社は受けずに「テレビ局のほうが楽しそうじゃん。わりと似てるし」って思ってテレビ局に行ったんだけど、「テレビのほうもこれ大変だぞ」って。

森:笑。

マ:バイトの感覚だからさ(笑)。最初スポーツ部に配属されたんだけど、仕事はそれなりにおもしろくて。いろんな人に会えるしね。「やっぱりこういう仕事ってのはおもしろいな」って。ところが、総務部に異動になっちゃったわけよ、突然。スポーツに配属されてから2年後。これは本当に誰もが予想だにしなかったんだけど。あとで知ったんだけど、総務部が目をつけて内定してた学生が来なくなっちゃったの。辞退されちゃったの。だけど総務部としては人が、

森:ほしい。

マ:当時ね、総務ってけっこう会社の基幹部門だから親会社が支配してたの。実はプロパーの社員がひとりもいなかったの。俺がはじめてだったわけよ、プロパーの社員。
ようやくプロパーの社員を育てようっていう機運になってたんだよね。「開局して何年も経って、そろそろ親会社も撤退する。親会社の影響をなるべく少なくして、ポジションを(プロパーの)社員に与えよう」みたいな感じになってたらしいの。で、そこに割り当てられていた内定者が辞退しちゃったもんだから、

森:じゃあどうするって。

マ:親会社に説明がつかないわけ。親会社はもう(人が戻る)人事が出ちゃってるからね。総務の人事に穴が空いちゃうからって、穴埋めするのが俺になっちゃったの。
電撃移籍的な感じだったわけよ。だってスポーツ部長も知らなかったもん。

森:へー!

マ:びっくりだよね。総務部って当時は「聖域」みたいなところがあったから。自分が行くなんて思ってもいなかったし。
異動の希望調査とかはいつもあって、俺としては「スポーツ部よりは事業部のほうがおもしろいな」と思ってて。当時は、事業が、イベントがものすごく元気のある放送局だったから、音楽が好きだったし「コンサートとかやりたいな」ってずっと思ってて。内定のときからそういう希望も出してたの。だけど、(異動になったのは)スタッフで総務でしょう。総務って何してるとこなのかもよくわかんないし、当時。「なんかこわいとこ」(笑)。

森:こわいとこ(笑)。でも、会社にとっては重要な。

マ:いや、後から知ったんだよね。そんときはわかんないから。「なんかこわいとこ」ってずーっと思ってて。「人の人生決めるとこ」、ぐらいに思ってたから。そのテレビ局の総務は経理以外の業務全部なんだよ。人事だったり秘書だったり全部なんだよね、人数少ないから。
今んなったら助かったよね、会社つくるってなったら。

森:助かりそうですね、それは。

マ:意外なところで役立つ。あのときは全然わかんなかったもん。「なんで俺、総務なんだろう」って。「こんだけモノつくりたいって言ってるのに」って。

まさかの総務部への電撃移籍、とてもサラリーマンっぽい話!と思ったところで、その3へとつづきます。
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by moriko_2011 | 2014-07-22 00:29 | 08_社会人の先輩・松永さん

【社会人の先輩・松永さん 】【1年目】 仕事やこれまでのキャリアについてざっくばらんに聞いてみる(1/3)

人生の転機に知り合ったなぁと思う人がいます。名古屋のテレビ局に勤務後、ラジオ番組の制作会社に転職し、今は独立して名古屋で映像関係の制作会社をやっている松永さんです。番組・映像制作だけでなく、Kindleで本を出版したり、名古屋周辺の地域情報のポータルメディア「とこブク」を運営したり、日本マウスパッド投げ連盟の事務局長だったりします。

知り合った当時の私は19歳。浪人生の終わり、大学に入学する直前で、自分で決めた突然の進路変更にまだ少し自分でもびっくりしていた時期に、ラジオ番組がきっかけで出会いました(記事を書いている今は29歳!ちなみにこのインタビューをしたのは2012年の7月なので、そのときは27歳。書き起こすまでにずいぶんと寝かしてしまいました!)。
前回のナオミのインタビューでも書きましたが、当時、私の「仕事」の視野は大変大変せまかったので、颯爽とタキシードで現れた松永さんを見て「え!仕事なのになんかすごい楽しそうなんですけど!なんだこの人」と、衝撃だったのを覚えています。学生時代にも作品を見てもらったり、就活の相談に乗ってもらったり、ヒポポタマスに仕事を依頼してもらったり、会社の仕事のもやもやの相談に乗ってもらったり、この人に出会っていなかったら、私は今、もしかしたら制作を続けていないかもしれません。

私から見た印象は「青写真を描くのがうまい(特に変なことの)」「興味の向くままに行動」「人たらし」という感じでしょうか。いつもに増してインタビュー内容が散漫になってしまったのですが、名古屋の丸の内のイタリア料理店で、ぱりぱりに揚げたエビとかを食べながらお話を伺いました。
※前述のとおり、インタビューをしたのは2012年の7月です。に、2年前…。


森:松永さんのお父さんってお仕事何してはったんですか。

松永さん(以下、マ):航空管制官。

森:へー!

マ:もう引退してて。今、なんかね、シルバー人材センターで植木の整備というか草むしったりとか木の剪定したりとか、そういう仕事やってる。植木職人が夢だったらしい。

森:航空管制官は夢じゃなかったんですか(笑)。

マ:それも夢なんだけど、年とともに変わってきたんじゃないの、たぶん。

森:セカンドライフの夢。

マ:なりたくてしかたなかったんだって。

森:ふーん。(お父さんは)庭とか好きなんですか。

マ:庭いじり大好き。植物も大好きだからね。2月に親連れてバリにいったんだけどさ、もう花とか木ばっか見てるもんね。めずらしいから。

森:全然違いますもんね、日本とは。

マ:日本帰ってきてからいろいろ調べて、「ああ、あれはこれだったんだ」とかいろいろ発見があったらしい。で、「もう一回行きたい」って言うから来月連れていく(笑)。

森:いいですね。

マ:今度は大阪から(出発)なんだよね。もう名古屋便が無くなっちゃったから。

森:ああ。

マ:2月に行ったときは(3月で)名古屋便がなくなるからって、航空会社の人もわりと安く提案してくれたから「あ、じゃあ親を連れていこう」と思って。

森:ふーん。

マ:海外旅行なんか行く二人じゃないのよ、全然。おかんなんてパスポートも持ってなかったもんね。

森:(ご両親は)旅行自体はけっこうされるんですか?

マ:旅行は好きなんだけどね。母親はなんか「身体の調子があんまよくない」って言って、近所のスーパー行くのもおっくうになってたぐらい。で、すごい心配してたのね、うちの親父が。「飛行機に乗って旅行なんて絶対無理だと思うよ」って。だけど連れてったらすごい元気になっちゃった(笑)。

森:笑。

マ:やっぱお年寄りって温かいところに行ったら元気になるね。本当に身体の調子がよくなるらしいよ。今回は夏だからあんまわかんないかもしんないけど、冬はだいぶ違うみたい。むちゃくちゃ歩いてたもん(笑)。まさか半年後にまた行くとは思わなかった。


このあと、転勤後、営業に転向したばかりの私の近況報告の流れから、なぜか見積もりについての相談(?)がはじまりましたが、メンターとの面談のようなくだりは割愛します。


森:映像制作は見積もりが難しそうですよね。

マ:うん。本当むずかしい。だから結局、制作が営業兼ねるのが一番いいんだよね。感覚でわかるから。お、この会社は修正が多そうだ、とか。

森:ああ。

マ:この担当者は、

森:めんどうくさそうだ、とか。

マ:そういうときは思いっきり(金額を)乗せられるだけ乗せちゃうからね(笑)。
撮影とか編集なんて、それこそ時間はだいたい読めるし。あとは、企画を考えるのにどんだけ時間かけるのかっていうところと、お客さんとのやりとりにどのくらい時間がかかるのかとかかなぁ。

森:うん。

マ:放送局だけと仕事してる分にはそんな見積もりを出すことはないんだけど。放送局はもう総額を示してくれる。この金額でできる範囲でって。この予算で何ができるか提案してっていうやり方だから。

森:ずっと謎なんですけど、放送局ってそういうときにどこまで指示というか枠、こういうのをやってっていう条件をくれるもんなんですか。

マ:それも番組によるよね。たとえばスポンサーがついてたら、ある程度スポンサーの言いなりになるもんね。スポンサーも関係なくやっていいよっていう番組だったら本当にフリーだよね。

森:ふーん。

マ:(フリーの番組の場合は)まったく方向性さえ示されずに、ジャンルだけだよね。「音楽番組」とか「スポーツ番組」とか。

森:プロデューサーはテレビ局の人なんですか。

マ:そうそう。でも、プロデューサーっていうのは基本的には予算管理しかしないから。あとはまあ細々した権利関係とかね、本当に調整役。なかには番組の中身についていろいろこだわる人もいるけど、今はあんまりそういう人いないかな。昔はそうだったけど。
今、放送局も完全にサラリーマン化してるんで、だからもう分かんないんだよね、彼らも。どうやってつくるのかとか。

森:それって制作会社に制作をほぼ投げているから?

マ:そうそう。

森:昔はそうじゃなかったんですよね。

マ:じゃなかったと思うよ。うん、自分たちでつくってた。俺がいたときも半数ぐらいは社員でつくってたよ。外注で(社内に)常駐してる人もいたけど、でも半分以下かな。ほぼ内製化してたんだけど。今はもうほぼ外注だよね。テレビ局もそこまで設備投資する余裕もないしね。

森:ますます制作ノウハウのストックがなくなっちゃいそうですね。

マ:放送局にもよるし、番組にもよるんだけど、報道はわりと社員がやってるよね。ニュースは。
報道はなんで社員でやんなきゃいけないかっていうと、本当のジャーナリストはダメなの。たとえば、原発の問題とかでも本当のジャーナリストとかはものすごく批判的なことを言うでしょ。それは困っちゃうんだよね、放送局にとっては。

森:はー、そうか。放送局的にこれは言っちゃだめ、これは言って大丈夫ってのを判断しなきゃいけないから。

マ:今はどうかわかんないけど、すごい金額だからね、(スポンサーとしての)電力会社からのお金。でも、まあ、そういう広告のシステム自体が今は成り立たなくなってきてるというか、おかしくなっちゃってるよね。

森:「広告」というシステムを考えた人はすごいなと思います。ああいう仕組みでお金をとろうって。

マ:あのね、でも逆なんだよね。実は広告ありきで(放送を)やってて。広告とは当時思ってない。ウルフマン・ジャックってもう亡くなっちゃったんだけど。昔、伝説のDJみたいな人がいて。

森:ほう。

マ:興味があれば貸してあげるけど、その人の自伝があってね。これ本当おもしろいんだよね。昔、どんだけラジオがあやしいものだったかってやってて。

森:ふーん!

マ:アメリカで1920年代にラジオ局が開局し始める。当時はなんにも規制がなかった。やりたい人が(放送)できる!送信機を買えた人ができる。
だけど、(ラジオは)一大産業になったわけだよね、やっぱ。都市部に住んでる人はまだいいけどアメリカなんて広いからさ、田舎に住んでる人もすごく多い。そういう人たちは娯楽がないからさ、ラジオは彼らにとって最高の娯楽だったわけだよね。

森:うん。

マ:で、やっぱり経営者は考えるからさ。最初に何をやってたかっていうと、別に音楽をかけるとかいい情報を流すとかニュースを流すとかじゃないんだよね。モノを売るための手段でしかなかったわけ、ラジオって。

森:広告ありきなんですか。

マ:というより広告からはじまってんの、アメリカのラジオは。日本は違うんだけど。
少なくともアメリカのラジオは、その自伝を読んでるとそうなの。だからあやしいものばっか売って大儲けした人たちがどんどんどんどんメディア王になっていって。で、あるとき、「こりゃだめだ」って言って規制する省庁、お役所ができて、規制するようになったの。

森:へー。

マ:日本のメディアでいうとフランク馬場さんっていう人がいて、在日アメリカ軍の文化担当だったの。で、その人が「日本のNHKがだめだ!」って。言ってみたら今の北朝鮮みたいなものだからね、当時の日本なんて。

森:そうですね。まあ今もちょっとどうかわかんないけど。

マ:アメリカはもう当時民間放送ってのが確立されてたから。「タイム」と「スポット」って考え方で、「タイム」は完全にクライアント(スポンサー)寄り(の放送)。「スポット」は放送の中身には(スポンサーは)口出ししないっていう、その二つのやり方で(放送を)持ち込んだのね、日本に。で、なるべく「スポット」を売りなさいっていう考え方だったんだよね。当時のTBSはフランク馬場さんの意向に沿った内容しかできなかったのね。まだ占領下だったから。ところが…
フランク馬場さんの晩年をテレビ朝日が一回取材してんだけどさ、「今の日本のテレビを見てどう思うか?」って。

森:テレ朝が。

マ:テレビ朝日はまだちょっと骨があるからね。そしたらもうね、「失望してる」って。「通販とか専門チャンネルじゃないんだから」って。フランク馬場さんの理想としてたものからは相当かけはなれたものになってる。

森:へー。

マ:フランク馬場さんはNHKも改革した人なんだよね。民放をつくる前段階で、とりあえず今この放送局(NHK)をなんとかしなきゃいけない。で、生まれたのが「のど自慢」だったり、今はもう残ってないけど「街頭録音」っていう番組で。
とにかく街の人の声を届けるって。それまでは天皇とか政府側の声しか届けてなかったわけだよね。それは「上から下へのメディア」でしかなかったんだよね。だけどこれじゃだめだって。「下から上へ」っていう考え方。アメリカ人らしいよね。そういう番組が一気に増えた。

森:うん。

マ:興味があって一時期調べたんだけどさ、名古屋も白川公園に米軍キャンプがあって。まさに丸の内、うちの会社のすぐ北に中学校があるんだけど、そこに名古屋のNHKがあったの。敗戦になって、(米軍が)名古屋に入ってきたのが9月何日だったかな。当時NHKは、名古屋は第1放送と第2放送ってのがあって。第1放送は東京からの放送を流して、第2ってのは名古屋ローカルの番組。米軍はNHKの名古屋ローカルの方のチャンネルを、まあ没収だよね。あるとき何の予告もなく英語の放送に切り替わっちゃったわけ。

森:へー!

マ:その当時の中日新聞が県立図書館に残ってんだけど、「名古屋中央放送局からのお知らせ」ってのが新聞の一面に載ってて。「問い合わせが相次いでいる第2放送に関してですが…」っていう(笑)。そりゃそうだよね、朝ラジオつけたらいきなりノリノリのジャズとかが流れてくるわけだから。「新たにチャンネルを追加して、第2放送のさらにうえの周波数でこれまでの(NHK)第2放送はやっていますのでひきつづきお聞きください」みたいなそういう広告が載ってるわけ。
当時のことを想像するとすごいおもしろいんだよね。東京にFEN(Far East Network、現AFN)ってあるでしょ?あれの名古屋版。朝、いつものNHK第2放送を聞こうと思ったら、WVTCっていうアメリカのコールサインのついた放送局にいきなり切り替わってる。

森:カルチャーショックですね(笑)。

マ:NHKが60周年か何かで出した小冊子みたいなのが図書館にあって。戦時中と戦後といかに大変だったかみたいなのを引退された方々が手記で残してるんだけど、当時「すごくうらやましかった」と(笑)。上意下達(じょういかたつ:「組織の上層部・上の者の考えや命令を部下・下の者に知らせる」の意)の仕組みで原稿どおり読まないと怒られたのに、隣ではガム噛みながらレコードまわしてるアメリカ人がなんかすごく楽しそうに笑いながら(ラジオ放送を)やってると。

森:笑。

マ:笑うこと自体許されなかったわけだから、NHKでは。相当カルチャーショックだったろうし、そういうことを叩き込まれた人には衝撃だったろうしさ。(アメリカ人は)いとも簡単におれたちの放送というものをつぶしてくれたな、と。だけど、それで喜んだ人たちきっといっぱいいたんだよね。

森:アメリカは「下から上へ」ってのが、なるほど、と思いました。

マ:アメリカは今でも国営放送でVOA(voice of America)ってのがあって、昔ほど役割はないけど、今で言うとミャンマーとかに行くと聞けたりするの。日本でも聞けるんだけど、短波で。インターネットでも聞けるし。国営放送なんて堅いイメージあるんだけど、何種類かチャンネルがあって、ずーっと音楽だけ流してるチャンネルもあるのよ。国営で。

森:ふーん。

マ:「Music Mix」だったかな。で、一時間に1回だけVOAが編集したニュースを流す。まあ国の声だよね。で、あとはずーっとロックとかが普通に流れているわけ。あれがやっぱりアメリカだよなと思って。あと、日本時間ちょうど12時からはじまる「Border Crossings」なんかは「リスナーの生の声をつなぐ」っていう狙いで、世界中から電話でリクエストを募集して自由にしゃべってもらうって番組なんだけど。別にそれ、アメリカ政府がお金出す必要ないじゃんね。

森:そりゃそうですね。

マ:だけど、「アメリカっていうのはこういう国ですよ」って示すにはすごく大事な番組なんだよね、ああいうのが。「民意を反映していますよ」っていう。あくまで理想だけどね。

森:なんかそれっていやらしいのかいやらしくないのか、どうなんやろうと思いました。

マ:微妙なところだとは思うよ。

と、ラジオや放送の歴史のへー!な話を聞いたところで、その2へと続きます。
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by moriko_2011 | 2014-07-22 00:25 | 08_社会人の先輩・松永さん

【部活の友人・ナオミ 】【1年目】 理系女子に「研究職」について聞いてみる(3/3)

森:さっきの色の話ってさ、「微妙にこういう色じゃないんだよな、この質感もちょっと違うんだよな」みたいなのを、ナオミは「これをこうしたらこうできます」ってのがわかるんだ。

ナ:うん、たぶん分かる。

森:すごーい。

ナ:私みたいな新米だと、学会とか同業者から質問されるような経験はまだないんだけど、うちのベテラン研究者とか売れっ子研究者は、「貴方の論文を読んだのですが、あの物質を作る方法を教えてください」とか質問されてるよ。

森:研究者も売れっ子とかあるの?

ナ:あるんだよーあるんだよー。研究者はけっこう売れっ子とかあるよ!

森:そうなの?

ナ:うん。

森:別会社でもこの人は●●の研究で有名とか?

ナ:あるある。まず特許とか論文で、その人の研究の内容とか質とか頭のよさってだいたいわかるじゃんね。ちゃんと調べたらだけど。興味持って、その人の名前で論文とか調べたらだいたいわかるんだよね。ばれちゃうんだよねー、レベルが。

森:笑。ばれちゃうの。論文ってデーターベースみたいなのがあるんだっけ?

ナ:論文は…購読っていうか、アカウントをとってれば学術雑誌を自由に見られるの。雑誌には、インパクトファクター(自然科学・社会科学分野の学術雑誌を対象として、その雑誌の影響度を測る指標)ってのがついてて、論文が超有名雑誌に通って掲載されたってなったら「すごいね」ってなるの。だから研究者の場合は、どこの雑誌にいつ、いくつ論文が載ったっていうのが、履歴書代わりになるの。論文もそんなにいっぱい通ってないし、名高いところに出してないってなると、「あ、しょぼいな」って(思われる)。

森:へー。目に見える実力社会なんだね。

ナ:ずっと開発とかしてれば、オープンにはできない秘密事項の研究をやってるってことで「開発をずっとやってました」っていう風にも言えるんだけど。売れっ子研究者にはさ、相談の指名とかもすごい来るんだよね。

森:ナオミさん、どうしたらいいっすか?

ナ:いつかそうやって来てほしい(笑)。

森:部署内とか身近に売れっ子研究者はいる?

ナ:いるいる。私の横に座っている御年55歳Mさんは売れっ子ですよ。

森:御年55歳(笑)。

ナ:しかもさ、頭いいからさ、説明もわかりやすいんだよね。

森:ああー。頭いい人は説明わかりやすいってのはすごく分かる。ちゃんと理解しているからこそ、こういう説明ができるんだなって思う。

ナ:その人さ、隣に座ってるからさ、たまにクイズとか出してくるんだよね。

森:かわいい。仲良し?

ナ:すごい仲良し。朝から晩までMさんとしゃべって帰ってくるからね。楽しいよ。

森:笑。

ナ:日食あったじゃん。Mさんがよくタイムリーな天体系の話とかをするんだけど。日食グラスで見る光って、太陽の光を十万分の一に減光して見てるんだって。その「十万分の一に減光してる理由はなーんだ?」ってクイズを出題してきた。

森:なにそれかわいい。いいね、素敵な職場だ。

ナ:その十万分の一の光の問題わかんなかったからさ、Mさんが帰るときに答えを聞いたら、「え、でももう帰るから、じゃあヒントね。太陽が、太陽一個分動くのに何時間必要だ?」って言われて、「え?それがヒント?わかんないぞ?」と思って。「角度から考えると15分ぐらいかな」ってあんま考えずに言ったら、Mさんは(ジェスチャーつきで大変かわいく)「答えは2分!そこを考えると十万分の一の理由もわかるよ」って言って帰っていった。

森:へー!太陽が一個分動くのにかかる時間って、2分なんだ。

ナ:で、答えなんだけど、その2分をもとに考えると、360度全部の空を太陽で埋め尽くしたとしたら、太陽十万個分なんだって。太陽は今1個じゃん。太陽の光で周りの風景を見てるわけだけどまぶしくないじゃん。まったくの曇り空だったら空見てもまぶしくないじゃん。

森:うん。

ナ:全空のうちの1個分の太陽の光、つまり十万分の一の光だったらまぶしくない。だから太陽そのものを観るときも十万分の一に減光したらまぶしくないってことらしい。Mさんクイズ高度だよね。

森:すごい。そういうのぱぱぱぱってイメージで分かる人ってすごいよね。私とか整理しないとわかんないもん、えーっと太陽と地球の距離が…って。

インタビューでは途中の説明をかなり端折っているので、きちんとした説明で腑に落ち!したいからはこちらをご覧ください。なるほどねー!高度だMさんクイズ。
http://tenkyo.net/kaiho/pdf/2012_03/2012-03-08.pdf

ナ:会社に入ってからそういう人に出会って、「あ、もっと勉強しないとまずかった!」って思っても、もう遅いんだよね。

森:そうなの(笑)? 脳の衰えとかそういうこと?

ナ:もう限界…(笑)。

森:でも研究を続けていったら知識は増えていく感じ?

ナ:うん、増えていくと思う。マイナーどころにずっと根をおろしていったら、重鎮化できるんじゃないかと思ってる。

森:笑。今まで、仕事で何個ぐらい研究やったの?

ナ:まだ完了したのないよ。今、4テーマ動いてるけど、3年経っても、まだ完了しそうなのもない。

森:へー。

ナ:それは私が遅いからかもしれんけど。

森:でもそれぐらいのスパンでやるものなんだ。研究するモノによる?

ナ:モノによる。機械系とか、半導体とか電子系とかはもっと早いのかもだけど、材料系って本当に新しいものが出てこないと完了しないね。「ブレイクスルー」って言うんだけど。ブレイクスルーを迎えないと完了はできないね。

森:ブレイクスルーするときは、ある日突然「来た!」ってなるの?

ナ:わかんないねー。ブレイクスルーきたことないから。

森:でも修士論文のやつはきたんじゃないの?

ナ:修論のやつは「これ新しいな」とは思ったけど、もしかしらもう報告されてるかもしれないし、全然新しくないかもしんないから、いろいろ調べてこれは説明できそうってなったときに、

森:きた!

ナ:(ブレイクスルーというよりは)「おお、これで卒業できそうだ…(安堵)」みたいな。

森:修士課程って、みんな何らかの発見をして卒業していくの?

ナ:みんな世の中に無い研究に取り組むから、結果がすごいってことじゃなくても、「新しいことに取り組んだ結果こうでした」って言って卒業していく。

森:じゃあナオミは、うまいこと最後の最後に。

ナ:本当によかった。

森:発見もともなって。

ナ:卒業できて本当によかったー!

森:修論はけっこうせっぱ詰まってたの?

ナ:うん。

森:どんな感じ?

ナ:一年半ぐらいやってることつまんなくて。しかもやってることは、誰かの、他のグループの後追い?取り組むことも他の人とは違う風にすればいいんだけどさ、やっぱ流行ってる分野ってみんなちょっとかぶってんだよね。修論ではけっこう「どこが新しいの?」とか聞かれちゃう人もいて。私がもともとやってたのは「ちょっとかぶってるんじゃない?」って言われちゃう感じの内容だったから、それで卒業するのちょっとつまんないな、なんかないのかなって思ってて。

森:そしたら実験でたまたま。さすが「何か持ってる」女子! 大学の研究室の仲間たちは、みんな研究所とかに就職してるの?

ナ:化学メーカーとか機械メーカーとかの研究職に行ったね。

森:全然違う職に就く人もいるの?

ナ:他の研究室だとけっこういるっぽいよ。文転していく人もいるし、工場で生産管理とかしてる人もいるし。

森:じゃあ、研究職に就ける人ってけっこう限られてんだ。

ナ:工学部だとなりたい職業として最初にイメージしやすいのが研究職なんかな。そうなると人気度も高くなるんじゃないかと思ってるんだけど。

森:異業種の研究職とかと話すと、え?みたいなことあったりする?

ナ:あーやっぱり世界が違う。うちだと、研究所内に機械系の研究職もいるんだけど。話聞いてるとさ、本当にせっぱつまっててさ。

森:そうなの?

ナ:機械系ってさ、けっこう予定が立てれるんだって。何ヶ月でこれを完了して、次の何ヶ月でこれを完了してって。けっこうその通りにいくから、研究がその通りにいかんかったら研究者ががんばってないって感じになる。材料系は何か発見がないとその物性は出ないし性能がいいものができないから。できないものはしょうがないから、みたいな。あ、ごめん。この発言、私だけかもしれん!

森:笑。

ナ:でも、しょうがないよね。改ざんしてもしょうがないもんね。そうやって言うと、「だらだらしてていいよね」って言われる(笑)。

森:違うんだよ、やることはちゃんとやってんだよって。ナオミは、こういう発見をできるといいなとかあったりする?

ナ:海外旅行とか行って、本体の会社の製品を街中で見かけるじゃん。あれにあたしの(研究がもとになった)材料が実際に使われてんだなって思ったら楽しいよね、たぶん。自分のアイデアを具現化させてくみたいな研究のほうがすばらしいっていう考えが、たぶん研究所内にはあるんだけど、私は本体の会社の仕事でも、自分が開発したものがのって世界中で使われるんだったらいいかなって思うんだけど、まーそんなもんないよね。出てこないよね。

森:笑。これから何があるかわなんないよ(笑)。

ナ:うちの母親は、私の仕事よくわかってないから、次製品の提案とか、最終製品のクレームとかを私に言ってくるのね。もうちょっと明るい色が欲しいとか、もう少しマットな質感がいいとか。色の種類とか質感って、そんなに選択肢欲しいとか選びたいって思う?

森:思う思う!

ナ:それさ、森が感度がいいからじゃない?

森:そうか?

ナ:私、ちょっと真剣に考えてみたんだけど。私はたぶん平凡でセンスがないほうだと思うの。

森:そんなことはないと思うけど。

ナ:そういう人からすると、例えばね、家の注文住宅とかあるじゃん。取っ手も窓も部屋の配置も全部選べますってなったら、選びきれないじゃん。

森:ああ。

ナ:結局モデルルームに似たような感じになるじゃん。推奨とかオススメとかでつくったら結局建て売りと一緒だったってなるじゃん、平凡な人って。だからね、大衆にウケようと思ったらね、色とか質感が自由に選べますっていうより、もう決まった色だけでいいんじゃないかなって思うんだよね。だってね、100色の絵具と、99種類のラメがあるとするとそれだけでもう10000種類だよ。さらに質感も選べるとなると・・・。平凡な人には選びきれないよ。

森:ああ。でもその人の好きな感じとかを聞いて、(その情報をもとにシステムとかで)どんどん絞り込んでいっちゃうようにすれば、それが、まあ、結果としては今ある感じのオーソドックスなものを選ばはるかもしれないけど、選ぶ過程があるのはいいような気がする。

ナ:「私色」みたいな。

森:なんだろう、自分で選んでる過程があるところがいいのかな。で、実際に本当に好みのものをどんぴしゃで選べたらさらにいいんだろうけど。

ナ:ああ。そういう風に色を選んで楽しい製品とかある?

森:携帯とか?パントーンとか出てたじゃん。

ナ:そうなんだよね。私、あんまお客さん目線とかないからさ。iPhoneだってみんな二色で満足してるじゃん!とか思っちゃうんだよね。

森:そりゃーそうだね、たしかに。iPhoneみたいにもう圧倒的な素材とかだったら、わざわざ色や質感のカスタマイズとか要らないかもね。でもみんなカバーでカスタマイズしてるか。

ナ:圧倒的なやつ(素材)、ほしいんですよね。でも、「私色」についてもちょっと真剣に考えてみるよ。


「これから8年だったら婚活レポのほうがおもしろネタ豊富だと思う!」と断言していたナオミは、インタビューの中で、「うちらがいざバブル世代に生まれててもさ、バブル世代の勝ち組にはなってないと思うんだよね。扇子とか買わないから。」という冷静かつ的確な分析をしていました。それ、間違いないね。

長い付き合いなものの、ナオミとまじめな話をしたのは初めてな気がします。私の知らない彼女の世界を、いつもどおりおちゃらけながらもいろいろと話してくれる姿はなかなか新鮮でした。あと、Mさんのモノマネとともに聞いた日食グラスの話はとてもおもしろかったよ!

しかし、いつも二人で会う度にお腹を抱えて笑っていたけど、何を話していたのか全く覚えていません(笑)。いつもは何を話してたんだろう、謎です。次回は研究のその後とオススメの婚活ネタについて聞いてみようかな。これからもどうぞよろしく!
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by moriko_2011 | 2013-09-01 23:56 | 07_部活の友人・ナオミ

【部活の友人・ナオミ 】【1年目】 理系女子に「研究職」について聞いてみる(2/3)

ナ:社会人どうですか?大阪行って仕事変ったの?

森:会社は変ってないけど、仕事の内容はけっこう変った。営業兼制作になった。

ナ:営業さんなの?

森:うん。前は営業さんのとってきた仕事をやるって感じだったけど、今は自分で仕事を(あまりとれてないけど)とってくる。

ナ:営業さん、すごいよね。私は営業さんが(営業しに)来るほうだからさ。

森:そうだよね。機器とか売り込んできたりするの?

ナ:すごい来るすごい来る。こんなペーペーにもちゃんとメールくるし、すごい丁寧に対応してもらってて。

森:へー。

ナ:なんか本当にすごいんだって。特に女子の営業さんはもうさ、女子力の差を見せつけられてる気がするんだよ。やっぱね、ちゃんと毎日人に会ってる人は違うわって思う。

森:笑。

ナ:もう本当に気を遣ってちゃんとアポをとって、ちゃんと時間通りに来てくれるのに。こっちなんか受付に呼ばれたら3分ぐらい遅れて行って、お茶をぷるぷる運んで「あ、こぼしちゃった!」みたいな。

森:(私も迎える側だと似たような感じです!)仕事ではあんま人に会わん?

ナ:(仕事で会うのは)一緒に仕事やってるグループ会社の人とか。あとは装置メーカーとか材料メーカーの人ぐらいで。

森:私も似たような感じだけどね。仕事はけっこう体力勝負なん?

ナ:体力勝負かもね。あ、でも、うち(の会社)休憩ルームとか超充実してる。アイデアは追いつめられると出ないってことで。

森:いい会社だね。大事だよ、それ。行き詰まったら休憩してこいって?

ナ:そう。

森:すばらしい。

ナ:就活で今の会社の面接に行ったときに、17時半定時で鐘が鳴った瞬間に門のところに帰りの車の行列ができてて。だから「いい会社かも!」って思って。今考えればパートさんとかが帰ってたと思うんだけど。

森:けっこう定時で帰れるの?

ナ:うん。帰ろうと思えば。

森:仕事の調整がつけば。

ナ:やりたい人は大学みたいにやっぱり遅くまでやってるけど、やりたくない人は17時半に帰ってく。私も大学のときは夜中までやってたけど、会社に入ったら夜中までやるのはやだ。

森:研究する環境とかスタイルは大学のときとは全然違う感じ?

ナ:会社のお金を使って好きなことしていいから、まあ大学みたいな感じ。勉強のためだったら学会とかで好きなところに出張に行っていいし、新しいな使えるなって思ったら自分で材料も買っていい。そう、けっこうなんでも買えるよ。

森:え!なんでも買えるの?うちは文房具すら自由に買えないよ(笑)。

ナ:発想をまとめたいと思ったら高級なノートも買っていいし。極端な話だと、この椅子だと発想が浮かばないと思ったら新しい椅子を買っていい(笑)。

森:まあ研究って(稼ぎどころとなる)技術の根幹だもんね。

ナ:ちょっとそれはいいとこだよね。本もなんでも買っていいんだって。

森:研究の仕方とか方法自体は、学生のときと仕事になってからだと違ったりするの?

ナ:たぶん他の部署は違うんだと思う。わたしが今やってる研究は、先輩社員と一緒にやってるのもある。大学のときに先生とか先輩と一緒にやってたのと似てるから、同じような感じかな。

森:学生時代にやってたことと、就職して「仕事」でやることってけっこうギャップがあったりするじゃん。そういうのはそんなにない?

ナ:いや、でも、最初は本体の会社の製品のこととかあんまり知らないからさ。「ここの●●●をこうしたいんです」とか言われて「●●●ってどこ?」、「この▲▲▲のところは~」とか言われて「▲▲▲、何?どこ?」って。パーツの名前とかが全然わからなくて後で聞くっていう(のはあった)。

森:その製品以外だとどういう分野にいきたいとかあるの?素材系の研究職だとモノ自体はあんまり関係ないか。

ナ:(製品分野っていうよりも)研究所にはいきたいかな。でも文系のオフィスワーカーに憧れる。

森:カタカナ用語使っちゃうぜって(笑)。ところでナオミってなんで理系に行ったの?

ナ:なんだろ?

森:理系の科目が好きだったとか?

ナ:私、あんまり文系の仕事の具体的なイメージがわかなくて。理系はけっこうどんなところに行っても年を追うごとに経験年数がものを言うみたいなところがあるかなって思って。

森:冒頭の話を聞いてる感じだと、やっぱりあるんでしょ。

ナ:今、思えば文系もそういうところがあるんだけど。「技術持ってる」って言えそうだし、将来的にずっと働けるのかなと思って理系に行ったんだと思う。今思えば文系でもよかったけど。でもさ、うちの高校で文系か理系か進路決めるときってさ、モデルがけっこう極端じゃない?文系だと就く職業は裁判官か弁護士か。

森:ああ。あとは官僚か(笑)。

ナ:そう。私のなかで文系の仕事って、弁護士とか法律関係、官僚、公務員、あと一般の総合職、以上、みたいな。そんなん仕事のイメージわかんやんね。

森:うん。あの学校行ってたら、文系の人がなるのは弁護士か官僚なのかって思う(笑)。

ナ:そう、理系だと医者ですよ。高校のときに文系の仕事、イメージできた?

森:ううん。弁護士か官僚ぐらいで、会社員は「その他多数」って感じだった。今思えばいろんな仕事があるのにね、極端。

ナ:でも、たぶん学校のレベル的にそういう風になるのかなと思った。いろんな高校の子と話してて。

森:コンサルとかいう職業は大学になってから知ったもん(笑)。なにそれ?って。

ナ:私もそうかも。みんながなりたい職業にこんなものがあるんだって。しかも私、大学が地方だから、そういう情報もあんまり入ってこないやんね。

森:学生のうちからいわゆる「感度の高い人」たちはすごいなと思う。

ナ:すごいね。あれは。なんなのあれは?

森:笑。

ナ:田舎の人たちからするとすごいセンセーショナル。3年前ぐらいかな。東京の友達の家に遊びにいったときに「明日暇だから遊ぼうよみたいなのをツイッターでつぶやいたら、遊び相手は必ず見つかる」って言ってて、「なんだ?それは?」と思ったんだけど。興味があることをまったく知らない人たちと集まって学ぶとか「なんだ?その会は?」と思ったんだけど。どうやらあるらしいね、あの街(東京)には。

森:あるらしいよ(笑)。

ナ:やってた?

森:ううん。残念ながらやってないよ。大学時代はどんな感じだったの?勉強?

ナ:勉強けっこうしてたよ。

森:あと、部活でラクロスにも励み。

ナ:そう、ラクロスもやってた。本当にそれだけしかやってない。

森:笑。

ナ:ラクロスやってまじめに勉強してバイトしたらね、大学生活終わりだよ!

森:終わるわなー。

ナ:感度が低いんですよ。けっこうまじめに勉強しちゃったしさ。

森:うん(笑)。いいことだよ。

ナ:だからね、ルーツを一緒にしてない知り合いとかがいない。知り合いは高校の同級生とか大学の同級生とか、以上!

森:名古屋はなんかないの?そういう社会人の勉強会とか集まりとか。

ナ:あったのかもしれないけど、感度が低いからさ(笑)。愛知にいたコミュ力の高い高校の先輩も「え、パーティーとかいけば全然出会えるよ。趣味のサークルみたいなの行けば、趣味合う人にも出会えるよ」って言ってて、「え?そんなものがあるんですか?」って思った。

森:「パーリー?何それ?」って。話は変わるけど、大学に行ってさ、やっぱり理系の勉強って変わるの?高校までってさ、まあ、英数国理って感じのお勉強じゃん。

ナ:大学入って最初は、「なんでこの数式全部覚えるんだろう?」って思ったよ。

森:へー。

ナ:「なんでこんなにいっぱい数式覚えるんだろう?教科書に書いてあるじゃん」って感じなんだけど、その数式を覚えなきゃいけなくて。理解するために覚えるみたいな。

森:その数式ってさ、「1+1=2」みたいなこと?

ナ:うんとね、物理法則をあらわす条件式。「この角度で光が入射したら、青色の光はこの角度で見える」だったら「Nλ=2dsinθ」みたいに。この式に角度θや、波長λ、長さdを代入するの。

森:へー!その式を使って、いろいろ実験とか研究をしていくんだ?

ナ:そうそう。そういう式を使って、例えば、ミラーの表面やメガネのコーティングの設計をこうしたら、紫外線や太陽光の眩しさを軽減できるよねとか、青色のキラキラしたラメを作るには。下色はこれぐらいの銀をつけたらいいよね、とか。何分化学反応させればいいよね、とか(を出していく)。

森:すごーい。そんなんあるんや。

ナ:大学生のときはちょっとなめてるからさ、「こんなん社会に出て使うんですか?」みたいに思ってたけど、使います。

森:めっちゃ使います(笑)?

ナ:高校のときにやった微分積分とかも、学生のときは「使うんですか?今だけじゃないんですか?」とか言ってたけど、めっちゃ使います! 医者になった子とかも言ってるけど。

森:そうなんだ。

ナ:私、昨日必死に微分やったもん。

森:へー!

ナ:一ヶ月前に教科書見ながら使ったもん。ひさしぶり!みたいな。

森:ひさしぶり、元気だった?微分積分!って。


微分積分には再会していませんが、ひょんなところで学生のときに習った建築用法の知識が仕事に役立った、というのは私にもありました。バリバリの理系に進んでいたら、またモノの見方が変わっておもしろそうだなと思ったところで、その3へと続きます。
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by moriko_2011 | 2013-09-01 23:54 | 07_部活の友人・ナオミ

【部活の友人・ナオミ 】【1年目】 理系女子に「研究職」について聞いてみる(1/3)

小学校6年生のときに、器械体操を習い始めました。その体操教室で出会ったのが、後に同じ高校の体操部で、一緒に身体を張った練習の日々を過ごすことになるナオミです。体操教室で見た彼女の第一印象は「白くて元気だなー」でした(色白&もち肌!)。

同じ高校で同じ部活でしたが、彼女は理系クラス、私は文系クラスだったのでその後の進路はまったく別々。彼女は名古屋にある大学の工学部に進み、学士・修士を経て某メーカー系列の研究所に就職しました。主には体操教室と高校の部活でしか接点がなかったので、知らない面がいろいろあると思いますが、わたしの印象だと「けっこう身体を張る」「変なところで謙虚」「何か持ってる」女子です。

進むところはてんでバラバラなものの、なんだかんだでゆるく交遊が続いているナオミに、7月のとある日、やたらにテンションの高い店員さんのいるインドカレーのお店でカレーをもぐもぐ食べながら三河弁まじりに理系女子の仕事について聞いてみました。
(このインタビューをしたのは2012年7月です。またもやひどい寝かしっぷり!)


森:けっこうみんな愛知にいるんだね。

ナオミ(以下ナ):うちの高校の人は、なんかな。

森:大学の友達もけっこう残ってる?

ナ:大学は…いや、優秀な子はやっぱ遠くいった。私、特に理系だったからさ、地方とかにいっちゃう子が多くて。

森:そういうもんなの?

ナ:工場とか。

森:あー。工場とか研究所ってけっこう地方にあるもんなの?

ナ:(地方に)あるある。

森:ナオミが勤めてるのは研究所だっけ?職場は何人ぐらい?

ナ:うん、研究所。部署で言ったら15人ぐらい。

森:女の人はいる?

ナ:女の人いっぱいいるよ。パートさんとか派遣さんも多いし。

森:研究所って男性が多いイメージだったよ!職場環境はどう?

ナ:オーバー50のおじちゃんに囲まれて、昔話とかを聞きつつ勉強してる感じ。

森:笑。今、何年目だっけ?

ナ:3年目。

森:じゃあそろそろ独り立ちって感じ?

ナ:独り立ちかなー?でも研究ってやっぱ積み重ねだから。年重ねてないとやっぱ対応できてなくて。新人あんま入んないしさ、まだまだ若手。

森:後輩は入ってきた?

ナ:同じ部署には入ってないんだけどさ、となりの研究室に東大のドクター(博士)卒が入ってきたんだって。

森:へー。

ナ:これ、もうやってらんないでしょ。

森:スペック高くてやりにくい(笑)? ドクター卒だと年齢いくつ?

ナ:27歳とか28歳かな。

森:ナオミは大学院出てんだっけ?

ナ:そう、私はマスター(修士)卒。

森:うん。

ナ:やばいよ。

森:なんで(笑)?

ナ:だって頭いいもん!東大ドクター卒。

森:東大ドクター卒は女性?男性?

ナ:男性。

森:すごい美女とかじゃなくてよかったね。

ナ:間違いないね、それ。間違いない。(後輩が東大ドクター卒ですごい美女だったら)「私、何も持ってない」ってなる。人生やり直さんといかん。

森:そんなことはない(笑)! 仕事とか研究はチームでするの?

ナ:今メインでやってるのは完全に個人プレー。本当はチームでやったり、本体の会社と共同研究とかなんだけど、今は「できるかわかんないけどやってみて」みたいな研究を一人でやってる。

森:そういう研究って、「あなたはこういう研究して」って割り当てられるの?

ナ:うん。(各自の)得意不得意を組み合わせて。

森:それってさ、研究内容のもともとのテーマはどこからやってくるの?研究所発信でやるの?

ナ:そういう(研究所発信)のもある。(外部から)「5年後のこの製品にこういうものをのせたい」っていうニーズがあって研究依頼がくるやつもあるし、「うちの研究所でこんなことができるからもっとすごくしてみよう!」みたいな感じで(研究を)やってくこともあるし、どっちもやる。

森:ナオミは今どっちやってんの?

ナ:今は外から依頼がきたほうに対応してるんだけど。でも、なんか新人を育てたいみたいで、うちの研究所発信で新しい発明みたいなのをしたいってことで、こないだテーマを与えられたの。そのテーマを(後輩の)東大ドクター卒の男の子と一緒にやってって言われて、

森:笑。

ナ:(後輩の子に)「どうします?」みたいな。

森: 「(見通しがたってるようだったら)ついて行きましょうか?」って(笑)。

ナ:そうそう。

森:ぐいぐいひっぱってってよ、ナオミ先輩。

ナ:私のが先輩だけど、(相手は東大ドクター卒だから)「どんな感じですかね?」みたいな。

森:探り合いだ(笑)。研究は何個か同時進行って感じなの?

ナ:2~3個。その代わり、他の会社より納期については追われてない。とりあえず半年でどれぐらい進むかなーって。様子見なところもあるし。

森:今の仕事って、他の製品分野でも知識を活かせる感じ?

ナ:うん。だから転職する人もいるよ。

森:素材系だっけ?

ナ:うん。

森:私、大学は半分理系な感じだったけど、もともとは文系だから、理系の世界って未知の世界。研究職とか特に未知の世界。

ナ:でもね、あんまりかっこよくないよ。

森:笑。なんで?

ナ:今日もさ、大学の(文系の)同期とかとグループチャットしてたの。一人は編集者で、一人はコンサルで、一人は某大手服飾会社とかで働いてて。もうなんかさ、みんな使ってる言葉がかっこいいんだよね!

森:なに?やたらにカタカナ用語?

ナ:そう。文系の子ってかっこいいんだよね。で、みんな働いてるの東京だから「丸の内集合ね!」みたいな。

森:丸の内OLだ。

ナ:「丸の内集合…ほーう」みたいな。名古屋にも実は丸の内あるけどね!

森:名古屋駅の近くにね。

ナ:(文系の子は東京でバリバリかっこいい感じで働いてて)そういう意味では憧れる。

森:どうなんだろうね。理系のが手に職な感じがするけどね。

ナ:でも、クリエイティブとは思われてない。

森:えー。研究職のがこう変態的な、

ナ:変態的でしょ?

森:うん。変態的なクリエイティブだと思う(笑)。 ←注:褒め言葉です。

ナ:なんか昨日もさ、後輩の東大ドクター卒の男の子とさ、パソコン並べてさ。(研究も)まずは調査から始めるから。

森:うん。こういう事例がある、とか。

ナ:ネットしながら「なんかアイデアないっすかね」って。あんまかっこよくなくない?

森:笑。

ナ:なんかね、もっとかっこいい感じで研究やりたいんっすよ。

森:新しい分野に取り組んでるって時点で十分かっこいいと思うけどな(笑)。そういう研究者発信の研究テーマってさ、どういうところから見つけてくるの?

ナ:考えるんだよね。

森:普段、素材を見ていて「これ、こんなんできるんちゃう?」みたいな感じ?

ナ:本当に頭がいい人はたぶんそうやってできる。

森:ほう。

ナ:でも、私が修士論文で書いた内容は普通の実験を失敗したのがきっかけ。「あ、この失敗したもの新しいな」ってことが分かって、「よかった、これで修士論文書ける!」って。

森:へー!修士論文はどんな内容だったの?って、私が聞いて理解できるかわかんないけど。

ナ:材料なんだけど。新しい発光…新しい色とか光のメカニズムで発色する材料(について書いた)。 

森:ほーう。失敗から生まれた新しい発見だ。

ナ:なんか、こう、ドラマチックに言うとね。

森:笑。いいやん。

ナ:修論発表のときも、「これは当研究室でたまたま発見し…」ってドラマチックに言ってみた(笑)。

森:そういう発見って偶然の産物もけっこう多そうだよね。

ナ:でも本当はやっぱさ、こうかなって自分で考えた仮説があって、それをもとに見つけたいじゃん。

森:理想としては。

ナ:頭いい人って、たぶんそうだよ。

森:そうか。ふだん素材というか物を見る目も違うの?「これは何の素材でできとるわ」とか思う?

ナ:思うよ。私、本体の会社の製品、あんま好きじゃなかったっていうか興味無かったんだけど。

森:え、めっちゃ詳しいじゃん。

ナ:詳しくなってきた。本体の会社の会議とか出て、やっと詳しくなってきた。

森:へー。もとから好きなのかと思ってた。今の研究所は研究内容とかが合ってそうだから入ったの?

ナ:…なんだろ。私が就活してたときのイメージだけど、開発職にいっちゃうとそれはそれできついんだって。たぶん。開発職っていつまでにこれやんなきゃいけないみたいなのがあるから。研究職も期限はあるけど、できるかわかんないからこの一年でがんばってみようっていう感じだし、ある程度自分のアイデアを盛り込んで考えられるってのもあって、研究所に行きたかったの。で、一番、なんだろ、…家から近いところ(笑)。って(その志望理由)高校のときと一緒じゃん!

森:立地は重要だよ(笑)。

ナ:某有名研究所とかは受かんないしさ、それはもう縁だよね。

森:将来的に転職考えたりする?今んとこはないか。

ナ:今はないね。この会社でなにか成し遂げないと。「クビになったらまずいな」みたいなそんなレベルですよ。


ちなみに会計上の話だと、「研究」と「開発」はこんな風に定義されていました。
------
【研究】新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探究
【開発】新しい製品・サービス・生産方法についての計画もしくは設計または既存の製品等を著しく改良するための計画もしくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること
------
(ソース:http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/01138-003671.pdf

なるほどー!研究職と開発職の区別があることすら認識していなかったです…と思ったところで、その2へと続きます。
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by moriko_2011 | 2013-09-01 23:50 | 07_部活の友人・ナオミ

【コマドリスト・泰人さん】【1年目】 コマドリストの生態について聞いてみる(3/3)

森:ギミックは、こんなん撮りたいわ!ってポンっと浮かんでくる感じですか。

泰:うん、そういうのもある。そういうのもあるし、最初っからいいものがぱっと思いつかなくて、これはもしかしたらちょっとおもしろいかもっていう小さなアイデアがあって、それをいじくり倒すというか。これ単体だとつまんないけど、これにこれを足したらおもしろいかもとか、これはこっちと置き換えたらいいかもとか。っていうのをずっと考えてると、そのうち、「あ、これだったらいいかも!たぶんおもしろいわ!」みたいなのが出てくるかな。だから一つのアイデアに対して、たくさん派生するアイデアをばーっと出し続けるね。

森:取捨選択の過程を経ていいアイデアが出てくる。

泰:最初っからすごくいいアイデアが出ちゃう場合もあるっちゃあるけど、それもその前にひたすら考えてる期間があるから思いつくんだと思う。やっぱり考えてないとアイデアは出てこないと思ってて。僕の場合は、考えようと思った瞬間に考えられる。何か別に他のことをしてるときは、アイデアってめったに出ないね。

森:ほーう。それすごいですね!

泰:例えば美術館とか展示とかを観てて、「あ、ちょっと待った、これコマ撮りになんないかな?」って思考モードに入って、しばらく考えてまた元に戻るとか。

森:ああ、そっちでよかったです。私、時間をとって「よし、考えるぞ」って考えはじめるという話かと思いました。

泰:あ、でもそういうときもある。むしろ、そっちが多い。

森:へー!すごい。いつもちゃんとアイデアが出てきます?

泰:思いつかない期間がめちゃくちゃ長い。仕事で期間が決まってるときってけっきょく後のほうになって決め手のアイデアを出すことになるんだけど、それまでに無駄なアイデアを出す期間が僕は要るのよね。考えようと思ってる期間っていうか。あと僕はよく電車のなかでアイデアを出すんだけど。

森:わたしはお風呂です。電車でもけっこう出ますけど、考えようっていう状態よりも、あまり意識しないでいる状態のときにふとアイデアが降りてくることが多いですね。

泰:電車は一番何にもしなくて済むから。だからメモ帳をずっと持ってる。ぽつぽつとアイデアが出てきて、それがいいアイデアになったかどうかはまたわかんないけどね。でもそのときはよし考えよう!って考えてて。考えようと思わないときはツイッター見てたりするし。でも、考えても出ないパターンもあって。僕の場合、実際にあるものを使うことが多いからさ、モノをみてるときに出るアイデアのがいいんだよね。

森:実際にモノを手にしてるから。

泰:そう。コーヒーカップで何かやろうと思ったら、コーヒーカップを手に持ってて、こうなりそうだなとかテーブルとかに置いたときに、あ!こういう見えかたはかわいいかもな、とか、頭のなかで考えててもわかんなかったりとか、頭のなかで考えてたことを実際にやってみると、別にそうでもなかったりとか。あ、こういう風には見えないんだなとか。そういう場合はモノを見てアイデアを考えてるよね。

森:いつぞやの泰人さんの日記で、髪を切って、納品して、みたいなすごく短い日記があったじゃないですか。

泰:ああ。納品して髪切って、献血行ってってやつ。

森:あの感覚、すごくわかるなと思って。

泰:「仕事を1つ納品した。次の日に床屋で髪を切って、献血に行った。髪を手放して、血を手放して、アイデアを手放した。」最近、モノを捨てるのが好きで。モノを捨てるから部屋がすっきりするし、新しいものを買うことができるし。情報は情報を発信しているところに集まってくるって言葉もあるし。アイデアって頭のなかでずっとぐるぐるさせてると便秘になってしまうので、定期的に排泄しないといけないなと思っていて。だから、作品をつくる行為ってやっぱ捨てる行為に近い気がしてるんだよね。自分のからだ、頭のなかにあるものを外に出して手放してしまう。つくるからそのアイデアについてもう考えないで済むんだよね。もうこれについてうだうだ悩まなくていいやって。そうすると次のことを考えられるようになる。それってやっぱり捨てたからスペースが空いて新しく入れられるってことだし。

森:アイデアを手放すのはわりとポジティブなイメージなんですか。

泰:そうだね。全然悪くない。

森:アイデアが出なくなったらどうしよう?とか思います?

泰:あんまし思わない。本当にアイデアが出なくなったら、職業変えると思ってるし。あと、考えてアイデアを出すっていう意識でいるから、考えればアイデアは出るって思ってはいる。まあそれも出なくなるかもしれないけど。

森:おお、それは理系の強さやなと思いますよ。

泰:ああ、そういうことかも。アイデアの出し方も理詰めなのかもしれなくって、組み立てれば絶対なにか形になると思ってて。あとはね、どんなアイデアも調理しだいだと思ってて。個性もかな。個性もアイデアも食材だとするじゃん。それぞれのおいしさがあるでしょ。それぞれの食材に適した調理方法があって。焼いたほうがいいのか煮たほうがいいのか、生のほうがいいのか、和風なのか洋風なのか中華なのか?っていう落としどころさえ確実に見つけ出していれば、それで調理してやれば、変な味の食材があったとしても、たぶん作品としてまとまってみんな納得がいくと思うんだよね。どんな味の変な食材でもなんとかなるんじゃないかな。つくった料理がどれぐらいの人間にウケるかはまたわからない話だけど。それに、最適な調理法を見つけるのが大変なんだろうけど。

森:笑。

泰:でもプレゼンの問題の気もするんだよね。「これはこういう料理です」って言ってから食べてもらう。『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木先生の画集か何かに載っていたイタリア紀行の話で、「イタリア料理とは臭みを楽しむ料理だ」って書いてあって。チーズとかのことだと思うんだけど、そのときに、「あ、そうなんだ!」って思ったら、ブルーチーズとかの変な味とか臭さとか楽しめるようになったんよ。

森:ほう。

泰:「これはこうやって楽しみましょう」って言われて、それが納得できればどんなまずい食材も食べられる気がするんよね。

森:アイデアも同じく。

泰:たとえば『オオカミとブタ』に対して、「ストーリーがないじゃないか」って言われても困る訳じゃん。早い段階で「これはストーリーじゃなくて写真を使ったコマ撮りという手法を楽しむ映像なんですよっ」て言っとかなきゃいけないわけよ。そのプレゼンさえうまくいけば、ダメなものもダメじゃなくなると、期待したい。

森:期待したい(笑)。願望!

泰:でもプレゼンがうまい時点で、その人は本当に頭がいい、作品づくりのうまい人だから、つくってる作品がおもしろくないはずがない。

森:他人のアイデアだったらどうします?他人のアイデアをプロデュースしてよみたいな依頼がきたりして。

泰:それもいいんじゃない。仕事だったら特に。仕事じゃなかったらなんかもやもやするかもしれないけど。いや、もやもやはしないか、別に。それがちゃんと尊敬できるいいアイデアだったら。でも自分が好きじゃないと思っちゃったら、その良さをプロデュースするのは大変だよね。

森:大変ですよね。

泰:嘘をつけばいいのかもしれないけどさ。

森:仕事でありますけどね。いや、どうなの?っていうの。ええ!みたいな会社からオファーがあったらどうします?

泰:本当にダメだったら断るとは思う。でも、もしギャラがよかったらお金のためにそれは仕事すると思います。

森:笑。正直!

泰:お金は欲しいですから。でも、絶対にできないと思っているものはあるっちゃある。…動物愛護団体、はできない。

森:へー!

泰:これは嫌われてもいいから言っとくけど、僕は動物を愛護しようって思ってない。

森:動物キャラはよく使うけど。

泰:動物は好きなんだけど。ただ、僕は豚肉も牛肉も鶏も食べるし、魚も踊り食いだってたぶん食べたこともあるし。人間ってひどい生き物だなって思いながらおいしいって思って生きてるので、動物の愛護はできないんですよ。

森:パンダのマークの某団体からオファーが来たらそれは無理って断る。

泰:すみませんが、さすがにそれは信条的に無理ですって。なぜならわたしは動物を食べて生きているので。動物園だって全然平気で見に行くし。あんなせまいところに入れられてね。水族館だって大好きでけっこうな数まわってるし。あんなせまい水槽に入れられてね。人間の満足を満たすためだけに同じとこをぐるぐるまわっててさ。ひどいなーって思ってるわけですよ。思ってるけど、思いながらそれを肯定してるもんね。

森:そんなポリシーがあるとは思いもよらずでした。8年後には信条も変ってたりして。

泰:変ってるかもね。出家とかしてるかもね。

森:いやーわかんないですよね。わたしたちの今の年代って、こっからは自分で変えていかないとどうにも変らない感じの8年やなと思っていて。これまでは、高校行ったり、大学行ったり、就職したり、自動的に環境が変っていったけど。だから、8年でみんなどんな風になっていくんやろーと思って。

泰:そうね。自分で変えていかないとね、いけないから。まあそれが大人ってことだと思っているんですが。出会いとか自分でつくんないといけないし。

森:コネも!

泰:そうそう、コネも転職も自分で動かないといけないし。

森:ほんまですねー。…ぼちぼち1時間ぐらい経ってるので、インタビューはこんぐらいにしときましょか。もっといろいろ話したい気もしますが、ひとまず今年はこんなもんで。どうもありがとうございました!

泰:はーい、ありがとうございました。


アイデアの便秘の話を聞いて、やっぱりこの人はおもしろいし、強いなぁと思いました。泰人さんは私と同じ年で、同じ愛知県の出身です。たぶん、大学の環境もけっこう似ていて、バックボーンに共通点が多いのかなと勝手に思っています。でも、考え方や見ているものはおそらく全然違っていて、ときどき、自分のなかにはないけれど共感というかすとんと納得できることを、作品や会話のなかで与えてくれるのがとても心地よいです。

そんなわけで、次回作も、今後の8年(わたしが原稿寝かせすぎたからもう7年か!)もとても楽しみです。お互いどんな作品をつくって、そして、どうなっていくのかしら。今後もどうぞよろしくお願いします!

竹内泰人公式サイト「無重力とザクロドクロ」 http://dokugyunyu.boo.jp/ 
竹内泰人YouTubeチャンネル http://www.youtube.com/user/dokugyunyu
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by moriko_2011 | 2013-04-18 00:20 | 06_コマドリスト・泰人さん

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