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趣味の、長期ゆるゆるインタビュー企画です。 


by moriko_2011

【大学の友人で画家・池口友理】【1年目】 イケグチワールドについて聞いてみる(2/3)

森:なんかゆりちゃんはけっこうもう
  自分のスタイルみたいなのがあるじゃん?絵に。

ゆ:あるかなーわかんない。あるかなー

森:(自分のスタイルがあるかないか)そこは自分では謎なとこ?

ゆ:スタイルっていうか。なに描いても
  自分が描いたってばれる絵になるなーとは思ってるよ。

森:笑。

ゆ:ばれるわこれはって。

森:イケグチが描いたぞって(ばれる)。

ゆ:器用じゃないっていうか。
  デザイナーとかイラストレーターの方がもっと器用に(描きわけられる)。
  今日はロシア風みたいな。

森:笑。

ゆ:ないか!ロシア風とか(いうテイストは)ないかもしんないけど。

森:あると思う。

ゆ:あるよね。ロシア風とかヨーロッパ風とか描けるかもしれないけど、
  なんか、わたしは、何描いても

森:イケグチ風?

ゆ:なんかこう残っちゃうというか。

森:残っちゃう(笑)

ゆ:器用じゃないと思う。なんか…出ちゃう。

森:(対象への)ほとばしる愛が(笑)

ゆ:笑。そう、愛が。愛であふれとる。

森:ふーむ。

ゆ:まあ、みんなそういうとこあるだろうけどね。

森:そうだね。なんとなくね、テイストが残るというか。
  学校で勉強してたのはデザインだったじゃん?
  それと絵を描くことってさ、同じ感じ?全然違う感じ?

ゆ:全然違うと思う。
  なんか、学校は、もう、2回生ぐらいで、こら違うなと思った。

森:笑。そうなの?

ゆ:わたしこのまま進んでいく自信がないなと思って。
  だんだん課題も難しくなってくるし、もうついてけないと思って、
  とりあえず日本脱出!と思って留学して。

森:うんうん。

ゆ:で、(留学から)帰ってきて、まあ、嫌なりに課題は(やった)。

森:嫌なりに(笑)

ゆ:いや、なんかもうホテルのCI(コーポレートアイデンティティ)とかいう課題とかあって。

森:うん、あったねあったね。

各自で対象となるホテルを設定して(架空のものでも実在のものでも可)、そのホテルのCI(コーポレートアイデンティティ)/VI(ヴィジュアルアイデンティティ)を定義し、アイテムなどを一式デザインするという課題が、大学3回生のときにありました。ロゴやパンフレット、ポスター、アクセサリ類のパッケージやホテルの公式アイテム、館内のピクトグラムなど、何をどこまでつくりこむかも自由だった気がします。わたしも、正直この課題の作品は過去の汚点で封印しておきたい感じです(笑)今やったら全然違うんだけどな。

ゆ:もう、なになに?って感じで。どうしよう?みたいな感じ。
  で、まあ(3回生からゼミが始まるから)研究室に入ったんやけど。
  ゼミの先生にいろいろ教えてもらって。

森:うんうん。

ゆ:ホテルのCIも自分のやりたいようにやれるように(先生に)
  アドバイスしてもらったりとかして。っていうのが、こう、3回生。
  3回生はまあなんなく(課題も)こなしたわけですよ。

森:(デザインの課題をやるのが)無理と思いながらも。

ゆ:で、4回生が(課題はほぼなくて)卒制だから、自由にやっていいじゃん。
  やりたいようにやろう!デザインとかちょっともう忘れよう(と思って)。

森:なんだコンセプトとかって。そんなん知らないって。

ゆ:そうそう。やりたいようにやろうと思ってやってたら、
  (卒業制作には)テーマ審査、中間審査と審査があって、
  しゃべんなきゃいけないじゃん。

大学4回生は、ほぼ卒業制作に費やします。何をやっても自由なのですが、ただ創作活動をすればよいのではなく、これまで学んできた「デザイン」が根幹にあることが前提条件となっています。課題(テーマ)を抽出して、それに対する答えを検証して、最終的なアウトプット(制作物なり論文なりカタチは自由)を出すこと。最終的な制作物の完成度ももちろんですが、テーマ設定とアウトプットにいたるまでのプロセスが重要になります。そのため(というか最終的にぐだぐだなものを提出することにならないように)、卒業制作には最終審査だけでなく、テーマ審査、中間審査と三段階のプレゼンが設定されています。

森:うんうん。

ゆ:あれが、すっごい嫌で。

森:笑。

ゆ:やりたいようにやってんのに
  なんでわたしは説明しなきゃいけないの、とか
  説明すればするほどダサくなるんじゃないかと思って、
  やだわーと思ってたけど。

森:うんうん。

ゆ:それもまあゼミの先生のアドバイスというか、
 「やると決めたんだからやりなさいよ」という。

森:おおー

ゆ:「夜間(コースで卒業に必須じゃないの)だから
  (卒業制作を)やらないってのも手だよ」っていうのは先生に言われてて。

森:そっか、そうだよね。

ゆりちゃんは夜間コースに在籍していました。昼間コースは、卒業するのに卒業制作の単位が必須ですが、夜間コースは必須ではありません。なので、卒業制作をやってもやらなくてもどちらでも卒業できるのですが、ほとんどの子がやっていた気がします。

ゆ:うん。「いや、でもやりまーす」とか言って。
  言ったわりにはすごいいやがってるっていう。

森:(制作はいいけど)審査が苦痛って。

ゆ:そうそう。そんなんで「やると決めたらやりなさい」という厳しい指導のもと。

森:おお(厳しい指導が)!

ゆ:で、(卒業制作を)やったら、もういろんなことがふっきれちゃって。
  もうデザイナーじゃないわ、わたしは。どうしようと。
  で、今(の画家活動)にいたると。

森:それは卒制の…制作途中で(ふっきれたの)?

ゆ:うん。制作してるときもめちゃくちゃおもしろかったし。

森:うんうん。

ゆ:なんかもう、なに?デザインしてるときは
  もう不安でしょうがないというか。

森:笑。

ゆ:(デザイン課題のときは)週一回の草案チェックが、もう、
  わたしこれでいいのか?と、なんの自信もないというか。
  (卒制のときは)そういうのがなんか無かったから。
  もう、こりゃ楽しいわって。

森:テーマ審査が夏とかだっけ?

ゆ:うん、7月じゃないかな。

森:その段階では、構想というか企画はもう固まってた感じ?

ゆりちゃんの卒業制作の作品は、ベースとなるキリンの絵を一枚描いて、それを100枚模写し、画像加工のソフトでそれらをすべて重ね合わせるというものでした。同じモノを同じように描いているはずなのに一枚として全く同じには描けない。人間の手作業のあいまいさやブレを可視化してみせる。重ね合わせた加工後のキリンの絵はなんとも不思議な雰囲気を放っていたし、一緒に展示されている実際の100枚のキリンの絵はなかなか圧巻でした。こちらでご覧いただけますよ。→ http://ikeguchiyuri.com/works/kirin/index.html

ゆ:うん。同じものをいっぱいつくるっていうのは決まってて。
  そんときはでも5種類ぐらい。
  キリンの絵と自画像もいっぱい描くぞーみたいな。
  あと陶芸でつくったオブジェもいっぱい作るぞーみたいな。

森:立体もあったんだ。

ゆ:すごいいろんなことをいっぱいやるっていうテーマで出してたけど、
  中間審査で、いや、もうこれは時間がないって。

森:笑。

ゆ:こんなにやってたらどれもがいっぱいじゃなくなるってなって、
  で、キリン(の絵)にしぼって。
  しかも、本当はキリンじゃなくて、
  動物園の動物(の絵)を全部やるみたいなことを考えてたのに、
  けっきょくキリンしか(作品にはならなかった)。

森:キリン一点で。

ゆ:もうちょっと莫大な計画が収縮した。

森:いやいや、(作品が)研ぎすまされたんだよ(笑)

ゆ:だから、どっかの審査で
 「なんであなた(が選んだモチーフ)はキリンなんだ?」って聞かれて。

森:なんて答えたの?

ゆ:「い、い、いやーキリン好きなんです」みたいな。
  「動物園にいる動物で一番輝いていたのがキリンです!」みたいな。
  うそじゃないけど。キリンから描いたのは、
  確かに動物園で一番輝いてたのがキリンだったから。

森:首も長いしね。

ゆ:カラフルだし。カラフル?

森:グラフィカルだよね、たしかに(笑)。

ゆ:そう。だから(当初の構想からは)だいぶ規模を縮小した感じなんですよ。
  なんか、なんだろう。(留学で卒業が一年ずれたから)
  3回生のときに、自分の元友達っていうか
  現友達っていうかみんなが卒制(を)やってて、
  それがけっこう刺激にはなった。
  わたしも次やんなきゃなんないんだなっていうのを
  3回生のときに自覚してたっていうか。

森:(卒業制作の作品は)一生の軸になるって言ってたしね。先生も。

ゆ:先輩が(卒業制作を)やってるのともまた違う目で見てたっていうか。
  元同級生っていうか、わたしもこの学年だったはずの子が
  (卒業制作を)すごいがんばってるのを見て、
 「あ、これはわたしもやらねばならん!」と(思った)。

森:やらねばならん!と。卒業するからには。

ゆ:そう、覚えてるよ!新聞広告の。笑いをなんとかっていう(←わたしの卒業制作の作品)

森:ありがとうございます。

ゆ:覚えてる。

森:あれは自分の(本当に好きなもの、興味のあるものが対象というか)原点かもって思うな。卒制は。
  なにやってもいいっていうとやっぱそういうとこに行き着くのかな。

ゆ:ねえ、自由だと自分が出るんだろうね。

森:うーん、そうだろうね。

ゆ:ホテルのCIとかはさ、ホテル好きじゃないと、
  何も出てこなくないか。そんなことないか。
  ホテル泊まった経験もまだ人生で4回ぐらいですけど
  みたいな人にはなかなかむずかしいと思うんだけど。

森:そうだね、うん。
  なんかさ、大学のときはさ、本当にデザインの基礎というか、
  浅くじゃないけど、広くいろんなことをって感じじゃん。
  社会に出て、こういうのはやったことがないとか
  そういうことがないからすごくよかったなとは思うけど。
  でも、社会に出て仕事をするとなると、わりと
  自分の得意分野で勝負していけるんだなっていうのが衝撃的だった。
  なんか、そんなにいろんな分野をやるもんでもないんだーって思いながら(仕事してる)。

ゆ:そうなのか。

森:わりと。やっぱ一人の人間ができる仕事って限られてんじゃん。

ゆ:笑。

森:苦手分野はそれが得意な人にまかせておけばいいだなと思った。

ゆ:なるほど。

森:でも知識として知っておいたほうがいいから、
  (どんな課題でも)一回は体験しておいてよかったなと思う。
  わたしもさ、プロダクトとかインテリアの課題とかもう全然興味がなくて。

ゆ:わかる。

森:でも、だからこそわたしがその昔つくったのは
  こういう作品なんだな、みたいなのがあったり。
  意外と(プロダクトやインテリアを得意とする人に)
  それがおもしろいねって言われたりすることもあるし。

ゆ:自分の得意分野に(むりやり)もってくる(からおもしろいものができる)。

森:そうそうそう(笑)
  うん、なんか振り返ってみればってのはけっこうあるな。

ゆ:そうか。

ちょっと長くなりましたが、
ゆりちゃんのターニングポイントについて聞いたこのあたりでその3へと続きます。
by moriko_2011 | 2012-06-15 06:48 | 03_画家・ゆりちゃん

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00_はじめに
01_幼なじみのモガちゃん
02_元上司のMさん
03_画家・ゆりちゃん
04_会社の先輩・Wさん
05_大学の友人・近ちゃん
06_コマドリスト・泰人さん
07_部活の友人・ナオミ
08_社会人の先輩・Mさん
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